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修行開始

初投稿から2か月目突入ー(*´▽`*)

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークしてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

拙い文章で我慢して頂いてて恐縮です^^;感想・レビューなどで叱咤頂けたら幸いです。

「これ借りていいの?」目を丸くしながらケーラが健人に確認する。


「いいよ。ちょうど使い手いないし。武器ってのは使って貰ってナンボだと思うしね」と、言いながら、真白が使っていたオリハルコンナックルをケーラに手渡した。


 ケーラは真白と同じ拳闘士タイプだったので丁度良かった。今はヴァロックと共に3人、伯爵邸の闘技場に来ている。アイラとリリアムは、別の部屋で光魔法について勉強しているとの事。因みに白猫は健人が泊る予定の部屋に置いてきている。


「でも、これオリハルコンじゃない? こんな高級品使うの怖いなー」申し訳なさそうに手に取り、そして珍しいのか、直ぐに装着せず上から下からしげしげと眺めるケーラ。


 しかしこの子、こやって話してると、本当に普通の女の子だな。魔族って一括りにして差別しちゃいけないな。反省しながらケーラの様子を、若干微笑ましく見ている健人。


 そして、よほど恐れ多いのか、そーっと慎重にナックルを装備し、そして、とりあえず準備完了~ と弱々しく声を発するケーラ。


「よ、よし。武器つけたよ」そして試合の前から武器のせいで緊張しているケーラ。そのおどおどした様子がちょっと可笑しくてフフっと笑ってしまう健人。


「準備できたか? じゃあ始めるぞ」ヴァロックが二人に闘技場で相対するよう指示する。


「基本ケーラは自分のやり方で戦ってくれ。その中で、闇魔法を中心に使えたら尚良し。タケトは能力使っていいからな。お前もとりあえずはいつも通り魔物狩るやり方でいい」二人に指示するヴァロック。


「因みに怪我しても光属性持ち(アイラとリリアムの事ですね)がいるから、気にせず存分にやれ。じゃあ始め」


 ヴァロックの号令で、まずケーラが「シャドウニードル」と呟く。ケーラ自身の足元の影から、ププププという音と共に沢山の針が健人めがけて飛んでいく。イメージ的にはゲゲゲの〇太郎さんの毛針です。すぐに健人が「アクセル・ブースト・プレッシャー」と使い慣れた能力を解放し、咄嗟に大剣を地面に突きさし、その腹でそれを受けて防ぐ。それを見てケーラが健人の背後に回り、ナックルを健人の顔面に打ち出す。健人は突きさした大剣を中心に、ケーラの反対側に回ってそれをかわす。そして大剣を抜き下からケーラめがけて打ち上げる。それをバックステップで躱すも、今度は健人がブーストとアクセルの能力そのままに、一気にケーラに詰め寄る。


「やるね!」そのスピードに驚きながらも、慌てず健人のボディにアッパーを入れるケーラ。さすがは魔族と言ったところか。だがそのアッパーを大剣の腹で防ぐ。ナックルを防がれたが、すかさずケーラが「シャドウバインド」と唱え、ケーラの足元の影から、複数の黒くて細い触手のようなものが一斉に健人に向かう。そして健人の体の周りをロープで縛るようにぐるぐる巻きにしようとするが、健人はそれに素早く反応する。大剣の刃先を外側に向け、黒い触手を切断し、ぐるぐる巻きを逃れた。


 健人のとっさの判断に軽く舌打ちしつつ、シャドウバインドが通用しなかったので、一旦健人から距離をとろうとバックステップで下がるケーラ。だがそれを読んでいた健人が一気に距離を詰める。慌てたケーラだがその反応に間に合わず、その勢いのまま、健人がケーラの頭を大剣の腹でコンと叩いて「俺の勝ち」と、ケーラに勝利宣言した。


「あちゃー、負けたー。強いねー君」と、そこでペタンと地面にお姉さん座りするケーラ。魔族は基本強いはずなのだが、ケーラは健人に簡単に負けてしまった。それだけ健人が持つ能力が凄いという事なのかも知れない。


「いや、フェイントを混ぜた攻撃は勉強になるよ。ありがとう」そう言って地べたに座っているケーラの手を取る。息を切らせながら、ニコっと美少女スマイルを健人に返し、その手を取って立ち上がるケーラ。


「でも、魔族のボクが一本取られるなんて」そして悔しそうに呟く。魔族はそもそも戦闘力が高い種族なのに、人族である健人にほぼ完敗したのだ。多少魔族というプライドもあっただろうが、ケーラは余り気にしていない様子。それより健人を見る目が変わったような?


 一方その攻防を傍で見ていたヴァロックが一言「ほう」と感心していた。


「ゲイルの言う通り、タケトはカオルの使っていた能力持ってんな。そしてある程度使いこなせてんじゃねーか。そして変わった間合い。これがゲイルの言ってたやつか」


「ただ、能力に頼りすぎだな。間合いも変則的だが、基礎が足らない」それでも、健人の戦い方にそう苦言を付け足すヴァロック。健人の武器の基礎訓練は、ヌビル村でバッツに教えて貰った以降誰にも習っていない。なので健人は能力に依存する戦い方しか知らないから、それで今までやってきたのだった。なので基礎が出来ていないのは当然だ。


「よし。ケーラ、下ってろ。次は俺の番だ」大剣使いなのに何故か拳タコが浮き上がっている両手の拳をガン、ガンとぶつけながら、のっしのっしと健人に歩み寄るヴァロック。剣鬼の名前にたがわず、正に鬼に様な風貌で自分に向かって歩いてくるヴァロックを見て、引き気味の健人。そしてササッとかなりのスピードで避難? したケーラ。


「アハハハ。が、頑張ってねー」引き攣りながら健人にエールを送るケーラ。そういや今更だけど、この赤毛の大男誰だろ? ケーラは健人に向かって歩いていく男が強そうだというのはなんとなく分かったが、それがヴァロックだという事は聞いてない。ずっと会話していたが、偶然にも今まで一切名前が出てきていない。次いでゲイルやアイラについても当然知らない。リリアムも知らない。ケーラは魔族だ。人族の情報に疎いのも仕方ない。だからこの豪邸自体の所有者も、誰のものだか未だに知らなかったりする。


「おし。俺は武器を使わねぇ。お前も能力は使うな。基礎が足らねぇのは分かったから、まずそこを見てやる」そう言って健人と向かい合い、人差し指でコイコイと誘うヴァロック。


 浜辺近くの洞窟から帰ってくる際のヴァロックの化け物ぶりを知っているので、遠慮なく攻めようと決めた健人。そして、自分が能力頼りなのも気づいていたので、ヴァロックが能力を使うなと指示した意図は理解していた。


「じゃあ行きます」一言断って、気合一閃、ヴァロックに大剣を振りかぶった。


 ※※※


「まあこんなもんだろ」大剣と共に地面にゴロンと仰向けに転がった健人を見下ろしながら、汗一つかいていないヴァロックが呟いた。


「はぁ、はぁ、はぁ」一方話す事さえ出来ないほど疲労困憊で転がっている健人。二時間ほど二人で訓練していただろうか。健人の攻撃はヴァロックに全く当たらない。しかもヴァロックは躱していない。健人が遠慮なく攻撃するオリハルコンの大剣を素手で受け止めていたのだ。正確には剣の刃の部分を指で摘まんで止めたり、剣の腹を拳で殴って掃ったりしていたのだが。いくら健人が能力を使っていないと言っても、それでも規格外のパワーである。


 そしてその様子を、闘技場の椅子に座って、膝に肘を乗せ頬杖をついて、ずっと飽きもせずに見ていたケーラ。「あの赤い髪の人化け物だ。そしてタケト君、男気あるじゃん」と、何か感心している様子。


「今日はこれでお開きだ。明日から本格的にやるぞ」そう言ってヴァロックは、地面に転がっている健人を放っておいたまま、一人闘技場を出て行った。これでまだ本格的じゃないのか。心の中で苦笑する健人。そしてヴァロックと入れ替わりで健人の元に駆け寄るケーラ。


「お疲れさん」まだ立ち上がらず仰向けで息を切らし寝転がってる健人に近づき、超絶美少女スマイルでしゃがんで労うケーラ。

「生きてるかーい?」ちょっとふざけたような口ぶりで寝転がっている健人の頭を軽くポンポンと叩く。


「はは。ああ、何とかね」苦し紛れに微笑む健人。「やっぱあの人化け物だわ」


「そういやあの人誰なの?」そういや名前聞いてなかった、と思い出すケーラ。


「ああ。剣鬼ヴァロック様だよ」今更かよ、と思いながらケーラに答える健人。


「え、ええーー! あの勇者メンバーの?」


「ハハ。まあ魔族だし見た事ないだろうし知らなくて当然だよな。因みに、ここの邸宅の家主はゲイルさんで、奥さんはアイラさん、そしてリリアムはアイラさんの妹だよ」


「ええええええええーーーー! ボ、ボク、とんでもないとこに来ちゃったあーー!」正にびっくり仰天という反応のケーラ。あの有名な元勇者メンバーのうちの三人がこの伯爵邸にいる。更に自分に何故か喧嘩腰だったリリアムはアイラの妹。という事は王女って事でもある。凄いメンバーが集まっているところに突然お邪魔してしまっている。


「あちゃー、なんてこったあ」苦虫を噛み潰したような顔で、自分の額をペシっと叩いてやっちまったー、と嘆くケーラ。確かにとんでもないところではあるが、それ以上に何か過剰に反応しているような?


「ふぅ。まあとにかく、修行に付き合ってくれて助かったよ」そしてようやく落ち着き、起き上がってケーラに握手を求める。


「気にしないでー」何故か若干緊張している感じながら、握手に応じるケーラ。


 そこで伯爵邸のメイドが闘技場に入ってきた。「ご夕食をご一緒にいかがでしょうか、と旦那様と奥様が仰っておられます」と、恭しく言葉をかける。


「え? ボクもいいのかな?」頭上に耳があったら嬉しそうにピンと立っているのが見えそうなくらい、テンションがあがるケーラ。


「左様で御座います。お二方とも準備致します」と頭を下げるメイド。


「遠慮なく頂きまーす!」と元気な声で返事するケーラだった。さっきまでの緊張はどこ行ったんでしょうね?









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