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真白になりました

頑張って1日1回は更新しますm(__)m

読んで頂いた方感謝ですm(__)m

初心者でへたっぴで申し訳ないですm(__)m

突っ込みどころとかあれば感想などで仰って頂けたら幸いですm(__)m

m(__)mばっかりでm(__)m

 ※※※


 健人を見つけた後、ゴブリンの集団に突っ込んでいく猫。ゴブリン達はあちらから走ってくる何かに一瞬驚いたが、それが人間のメスだと分かると、一様にニヤァと醜悪な笑みを浮かべて臨戦態勢をとった。さっきの人間のオスと違い、人間のメスなら、別の楽しみがある。そう思うとゴブリン達は、ニヤニヤせずにはいられなかった。


 そんなゴブリン達の思いを知ってか知らずか、猫は勢いそのまま、一番手前のゴブリンに飛び蹴りを食らわす。驚いて咄嗟に避けようにも速すぎて避けられないゴブリン。蹴りを顎に食らい、「グォハァ!」と声を上げながら、30mくらい吹っ飛んでいった。


 それを見て驚くと同時に、こいつは強敵だと判断した他のゴブリン達。お互い頷き合いながら、「グギャギャア!」と、残り四匹で一斉に、四方から棍棒を振り上げて猫に襲いかかった。「遅いにゃー。ハエがとまるにゃ」そう言いながら、上にジャンプする猫。四つのこん棒は猫ではなく地面を同時に叩きつける。攻撃したはずの猫がおらず、ゴブリン達がハッと気づいて上空を見上げると、猫が重力そのままに降りてきて開脚蹴りを二匹のゴブリンに食らわした。「グギャア!」鼻を蹴られてふっ飛ぶ二匹のゴブリン。鼻血を撒き散らしながら結構な距離を飛んでいく。そしてそのまま木にぶち当たってノビてしまった。


 残り二匹となったゴブリンは、一旦猫から距離を置いて慎重に様子を窺う。逃げるべきか悩んでいるようである。しかし折角の人間のメスだ。繁殖に使える。さっきの人間のオスよりこっちのほうが価値がある。そう判断した二匹は、改めて猫を攫うべく、ジリジリと猫に迫る。そして二匹同時に、今度は前と後ろから棍棒を振り上げ攻撃した。


「ふんむ!」それを猫は躱さずに、なんと前後ろそれぞれ片手でキャッチした。「グギャ?」驚くゴブリン達。まさか受け止められるとは思っていなかった。いくらゴブリンが単体で弱いとはいえ、両手で振り上げた棍棒を、片手でキャッチ出来るメスの人間など、普通はいない。しかもびくともしない。ゴブリン達は両手なのに。


 そして握った棍棒をそのまま野球投げで片手ずつ「飛んでいけ~にゃー!」と、猫はゴブリンごと二匹同時に投げ飛ばした。



「グ~ギャア~(あ~れ~、みたいなイントネーションです)」と声を出しながら森の方に飛んでいく二匹のゴブリン達。


「ふむ、私の猫パワーは健在みたいだにゃ」人間になっても縄張り張ってた頃のように、喧嘩は強いままで安心した猫。

 

 と、言う訳で、とりあえず猫は健人を襲ったゴブリン達を撃退したのだった。


 ※※※


 あの化け物達を撃退して戻ってきたその美女さんは、自分を猫だと言った。聞き間違いではないはずだ。


 ……猫? 猫ですね、確かに。猫耳ついてるしね。ふと見えたけどお尻の上辺りにも猫っぽく、丸い可愛らしい白い尻尾がついてるしね。うん。助けてくれた美女さんだけど、そういう系の人のようだ。きっと俺は関わらないほうがいい類の人だ。でもこの訳の分からないところに来てからの、初めて会話した人だし、超絶美女さんだし、ここでさよならするのもなあ。


 一人ブツブツ呟きながら、あれこれ考えている健人。


 「……なんか凄く失礼な事考えている気がするのは気のせいかにゃ?」ジロリと睨むように健人を見る猫。


 「え? ああ、気のせいだと思いますよ」なんで気づいたんだ? と焦って話題を変える健人。「というか、お強いですね」


 「そりゃ猫だからにゃー」


 ふふん、と自慢気に胸を張る猫。胸もそれなりにあります。多分Dくらい? 


 「ところでここは何処なんでしょうか? 実は俺、良くわかっていなくて」猫だから強い、と言う意味が分からん、と心の中で想いながら、とりあえず疑問をぶつけてみる健人。


 「あ、そうだろうにゃー。まず私の事わかるかにゃ?」


 健人に()()()()()の知り合いはいない。


 「いや、ごめんなさい。どこかでお会いしましたっけ?」


 「ここに来る前、車に轢かれたのは憶えているかにゃ?」


 「! どうしてそれを? 勿論よく覚えてますけど……」


 「その時()()()()が、私をかばってくれたんだにゃ。そしてご主人様は車に轢かれてしまい、私は助かったんだにゃ。でも私は助けてくれた恩返しがしたくて、私もこの世界にやってきたのにゃ」


 ご主人様? どっかのメイド系のアレも織り込んでのキャラ設定なのかな? ん? 車に轢かれたご主人様? 自分を助けた? 気になるワードに反応した健人。


 「もしかして、俺が助けた猫?」まさかと思い聞いてみる。思い当たるのがそれしかない。


 「正解にゃ!」またもサムズアップ。ビシィという音が聞こえそうなほどの爽快なサムズアップする猫。(理性)と(知性)のおかげで覚えたのだろうか?


 ……えーと? 俺がここに飛ばされたのは、車に轢かれたからで、んでもって目の前の猫耳美女さんは、俺がその時助けた猫で、そして恩返しをしたいからここに来た、と。うん。うまくまとめたはずだけどさっぱり意味が分からない。ん? ご主人様? それ俺の事? 未だ混乱している様子の健人。


「とりあえず、知ってる事、特にこの世界の事、何でもいいから教えてほしいんですが。そしてなんでご主人様?」


「ご主人様なんだから敬語は要らないにゃん。えーと……」そして猫は、光の塊に聞いた事を話した。健人は元の世界で猫だった自分を庇って車に轢かれ、死んでしまった事、初めて自分が感謝と申し訳なさを感じて、光の塊さんが自分を健人の世界に行かせてくれた事、その目的が、全く前とは違うこの世界で、健人が生きていくのを手助けする、恩返しをする事なども。


「そして私を助けてくれたから、私にとってはご主人様なのにゃん」


「それでご主人様ね……。しかしそうか。俺が死んだのは間違いないのか。で、この別の世界に飛ばされて来たって事か。なんやそれ」


「私は一割くらい猫要素残っているらしいにゃ。でもこの世界には、(獣人)という、獣と人の融合みたいな種族がいるそうだにゃ。だから私がここに来ても不都合はないそうだにゃ。私が強いのは、猫の時の能力そのままで、人間になったからみたいだにゃ。あと、ここは魔法が使える世界だそうだにゃ」


 おお魔法! 世界的ベストセラー小説で映画にもなった、U〇Jのアトラクションにもあるアレか! 何とかパト〇ーナーム! とか叫んだりするんだよな? なんかわくわくするな! ラノベとか知らない健人でも、魔法が使えると聞くとテンションが上がるようである。 


 そしてとりあえずここは死後の世界じゃないのは分かった健人。妙に色々リアルだった事も、疲れたり息切れしたり腹減ったりした事も、猫の説明で理解したようである。


「じゃ、じゃあ俺も魔法使えたりするかもな! どうやって使うか知ってる?」子どものようにワクワクしながら質問する健人。


「あー……。あのですにゃ。私が手伝いに来たという事は、そういう才能は無いという事かと……」そんなテンションの健人に対し、申し訳なさそうに答える猫。


「え? 俺魔法使えないの?」


「詳しくは分からないにゃ。でも光の塊さんが、才能が何もないだろうから手助けしてやってほしいって言ってたにゃ……」


 そういや私も魔法使えるのかな? 猫の頭にふと疑問がよぎる。だが、まあ私は要らないかな? 能力高いし。とすぐさま思い直す。 


「……そうですか」猫の説明にがっくり項垂れる健人。「あ、因みに、元の世界には戻れるの?」


「それは無理って言ってたにゃ。ご主人様は向こうで死んでしまったから……」


「そうか。そうだよな。でも、実際はこうやって生きて別の世界に来れたから良かったのかも」


「因みに、こうやって別の世界に来る事を(転移)っていうらしいにゃ」


 なるほど。転移ね。転じて移動する、とかの訳かな? 言葉の意味に納得した様子。


「でも君は死んでないから戻れるんじゃないの?」


「私も戻れないにゃ」


「君は死んだわけでもないのに?」その返事に、健人が驚いた顔をする。


「こうやって、人間になってしまったから無理みたいだにゃ。でも気にしてないにゃ! 元居た猫暮らしより、人間になったのは思ったより気分がいいから全然気にしなくていいにゃ!」


 猫は死んだわけじゃないのに戻れない。健人は申し訳ない気持ちになった。だが、もしあのまま助けなければ、この猫は間違いなく死んでいたのも確かである。猫じゃなくなったとはいえ、死なず新たな猫生(いや、もう人生?)を送る事が出来るのは良かったのかもしれない。


「私は前の世界では人間が怖くて嫌いだったにゃ。理由がないのに私達を攻撃したり殺したりするからにゃ。でも、ご主人様みたいに、何の得もないのに自分の命より私を助けてくれたにゃ。初めて(ありがとう)を知ったにゃ。初めて(力になりたい)と思ったにゃ。その気持ちを私は大切にしたいにゃ。だから全く後悔はしてないにゃ」


 フフ、と微笑む猫耳超絶美少女。またも見惚れそうになる健人だが、何とか理性を奮起させて、表情に出さないように頑張った。


「そしてその気持ちを教えてくれたご主人様に対してこそ、恩返ししなきゃと思ったのにゃ。だから怖くて嫌いだった人間になったけど、ご主人様の力になるなら気にならないのにゃ。それに今は人間も悪くはないと思っているのにゃ」


 そう話ながら、自分が消える間際に、自分に話しかけてくれていた人間のメスの事も思い出す猫。


 遠くを見るようにしながら語るその様子をも、とても可憐で美しく見える。結局見惚れてしまう健人だが、ふと猫がこっちを見た瞬間、サッと目線を外して話しかける。


「そ、そうか。んじゃ素直に俺もありがとうと言うよ。ありがとう。助けてくれた事もありがとう……えーと、名前は?」


「野良だったから名前はないにゃ。ご主人様につけてほしいにゃ」


「そうなんだ。んじゃポチかな」


「それ犬だにゃ! 却下だにゃ!」


 なんでバレた?


「じゃあ、タマ?」


「……それは、まあ猫だけどにゃ、そういうありきたりじゃないのがいいにゃー。というか、せっかくの初めての名前なんだからちゃんと考えてほしいにゃ! 適当は嫌にゃ!」


 結構こだわるんだな。まあ確かにありきたりは可哀相か。初めての名前だしな。仕方ない、と少し考え込む健人。


「……そうだなあ。そういや猫時代は真っ白だったんだっけ? 今も髪も耳も真っ白だし。じゃあ真っ白から真白(ましろ)で」


「おお! ナイスネーミングセンスにゃ! 真白! 私は真白にゃー!!」 


 真白と名付けられた猫は大喜びで「まっしろっ、まっしろっ、わったしの名前っ、にゃーにゃにゃにゃにゃーん」と不思議な歌? を歌い出し、宙返りをした。大はしゃぎだ。「私の初めての名前にゃー!」ほんとに大喜びである。体操選手のように何度も宙返りしている様をみて、ああ、やっぱり猫だったんだな、と呆れるような理解したような気持ちで見つめる健人。名前をつけられるだけでこんなに喜ぶもんなのか。


 でも、あの時助けた猫が、きちんと生きてて良かった。その大はしゃぎの様子を、優しい眼差しで見つめ、心の中でそう思った健人。


「あとさ、俺の事ご主人様って呼ぶの止めてほしいんだけど。俺も真白って名前で呼ぶから、健人って呼んでよ」


「うーん。じゃあ譲歩して健人様と呼ぶにゃ」


 呼ぶにゃって、確定事項なんかい。呆れる健人。まあいいけど。


「んじゃ真白。宜しくね」


「こちらこそよろしくにゃー、健人様」サムズアップ。どうやら彼女のお気に入りのポーズのようだ。


 さて、これからどうするか?





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