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レムルスの想いと親衛隊の皆さん

いつもお読み頂き有難う御座いますm(_ _)m

ブックマークまで付けてお待ち頂いている方々、感謝ですm(_ _)m

 ※※※


「レムルス。容態はどう?」「ああ、ただ単に疲れていただけだから、一眠りさせて貰ったし、今はもう元気だよ」


 そう、良かった、と微笑むリリアムを見て、寝室のベッドで上半身だけ起こした状態のレムルスは、つい顔を赤らめてしまう。


「で、申し訳ないけど、街中の負傷者の回復を手伝って欲しいの。あなたの神殿に居る神官達と一緒に」「そうだな……。確かに神官不足だろうし。分かった。行くよ」そう言いながら、レムルスはリリアムに微笑み返し、ベッドから降り身支度を始める。


「そういやさっきファルールが来て報告してくれたんだけど、……残念ながら、総神殿内にいた神官の殆ども、隷属の腕輪を取り扱っていたようなんだ。あの騒動の前に、どういうわけか皆集まっていたらしくて、あそこに神官は殆どいない」「……そうなのね。じゃあ王都内で治療に当たれるのは、あなたのいた神殿の神官と、私、それとお父様とお兄様くらい、か」


 そこでレムルスが え? と呆気にとられた顔をする。


「まさか。陛下とライリー王子殿下も王城から出て治癒をするの?」「ええ、そうよ。今は人手がいるから英断よね」


「なら、尚更僕が行かないわけにはいかないね」「フフ。そうね」


 そしてレムルスは寒さしのぎのため厚手のガウンを着た。それからレムルスが着替え終わるのを待っているリリアムを、どこか熱の帯びた顔でチラリと見る。


 ……本当、相変わらず美人だよなあリリアム。昔、魔法学校で共に学んでいた頃も、とても可愛らしくて綺麗だったけど、今は更に成長したからか、大人の魅力が相まって、以前よりもっと、美しくなったなあ。


「……どうかしたのかしら?」「え? あ、い、いや、ゴホン! も、もう大丈夫だよ。行こうか」


 レムルスの視線に気付き問いかけるリリアムだが、とりあえずレムルスの言葉に頷き、二人で寝室から出ようとしたところで、どこか決意のこもった口調でレムルスがリリアムに声をかけた。。


「あ、あのさ、リリアム。ある程度片付いたら、その、また、ご飯でも行かないかな?」


「え? ええ。それくらい別にいいんじゃないかしら」「ほ、ほんと? じゃ、じゃあ早く片付けないとね!」


 リリアムの返事で何だか元気になるレムルスに、リリアムは怪訝な顔をしながら一緒に皆がいるであろう、謁見の間に向かった。


 しかしすぐに、リリアムはレムルスの言った意味を理解する。もしかして、デートのお誘いだったのかしら? と。そして早めに、自分はもう心に決めた、結婚さえ考えている相手がいる事を伝えねば、とも思ったリリアム。


 それから二人は、謁見の間にてメルギドや健人達と合流する。そして皆でメディーの街中へ向かった。因みにレムルスは、自身が勤めていた神殿に向かい、神官達を呼びに一旦リリアム達の元を離れた。


 ※※※


「へ、陛下?」「ラ、ライリー殿下も?」


 健人達と共に、豪奢な馬車ではなく、馬に跨がりギルド本部前にやってきたメルギドとライリーに気づいた面々は、皆々一様に驚き慄き、瓦礫撤去をしていた兵士達は作業を止めザッと一斉に跪いた。兵士達の様子を見て、それを手伝っていた都民達も同様に、畏怖した表情で兵士達のマネをしながら跪く。


「よいよい。今は非常事態故、我ら王族がやってきたまでだ。皆面を上げい。そして兵士達よ、これから我とライリー、更にリリアムにて(アナザーヒール)を唱える。お主らもヒールが使えるようになる。それで治療を手伝って貰いたい」


 バリトンボイスで寒風の中、白い息を吐きながら通る声でギルド前にて指示をするメルギド。それを聞いても尚、中々顔を上げられない兵士達だが、意を決したかのように、グオール将軍とファンダル隊長が、先に顔を上げ立ち上がる。それを見た他の兵士達、そして都民達も恐る恐る立ち上がっていった。


「ではライリー、リリアム、良いか?」「「ええ、お父様」」


 メルギドの言葉に返事する二人。そして三人揃って「「「アナザーヒール」」」と唱えた。これは光属性魔法を使えない他の人達をも、治癒魔法ヒールが使えるようになる魔法だ。本来はパーティーメンバーのみ適用する魔法なのだが、王族三人が同時に詠唱する事で、その適用範囲はパーティーメンバーに縛られる事がなくなったようだ。


「よし。ではグオールにファンダル。お前達と数十名の兵士達はヒールを使えるようになった。回復が必要な都民を優先に治療しろ。それでも治療できなかった者は、我らが治療する。更に、後ほど神官達もやってくる予定だ。被害はここだけではないのだろう? 神官達と手分けして都民の治療に当たれ」


 ははぁ、と一斉に頭だけ下げかしこまるグオール他兵士達。そして早速、兵士達は分散し未だ怪我の治療が済んでいない都民達の治療に当たった。グオールは健人達から、別の場所、ギガントサイクロプスと戦った辺りにも怪我人は多数いるだろうと聞き、ファンダルを連れそちらに向かった。


「あ」「ん? どうした?」


 ケーラが何かを見つけハッとする。不思議そうにしている健人だが、ケーラが見つけたのはK・E・L・Aの文字が輝くワッペンを胸につけてる兵士達。すかさずケーラはサッと健人の影に隠れる、も、どうやら遅かった模様。


「おい! お前らケーラさんだ!」「おおおおお!!!」「よっしよっし! ケーラさんが見てる! 喰らえ! 俺の渾身のヒール!」


「……渾身のヒールって何だよ」と呟きながら、諦め顔で仕方なさそうに健人の前に出てくるケーラ。


 そしてそのケーラの呟きツッこみも、どうやら嬉しいようで。ほら! ケーラさんが褒めてくれてるぞ! とか、皆ヒールだ! ヒールをじゃんじゃん使うんだあ! と、雄叫びを上げてます。皆感極まった様子です。


「ま、やる気になってんだからいいんじゃないか?」「どうせタケトは面白がってんでしょ! ボクの気持ちにもなってよ!」


「でも、まんざらでもないんだろ?」「そんなわけないでしょ!」


「……でもケーラ、あの人達確か働き詰めじゃない?」「あ、そうかも」


 リリアムの言う通り、ケーラ親衛隊の皆さんは、ケーラの指示でハーピーとキラービーを見守っていて、急にそれらが自分達に襲いかかって逃げてきて(偶然遭遇したヘンが全滅させたが)、その後そのまま、ギルド本部前の瓦礫の撤去等を手伝っていたのである。なので不眠不休でずっと働いていて、ケーラが現れて元気になってはいるものの、皆一様にやつれ疲弊の色濃く出ているのは間違いない。


「……休ませてあげたらどうかしら?」「えー? ボクが言うのー? ボク関係ないじゃん」


「でも、ケーラが最初指示したんじゃないのか?」「む、そうだった」


 仕方なさそうにケーラは大きく、はあ、とため息を付き、それからすぅー、と息を大きく吸い込んだ。そして「あんた達ー! 休憩しろー!」と大声で叫ぶ。


「おお! ケーラさんから休んでいいとお許しが出たぞ!」「こ、これで、俺達、開放、され、る……」「おい! しっかりしろ! 死ぬなああ!! またケーラさんのダンスが見たいだろー!」


「……ケーラ相変わらず大人気だな」「もう! 他人事みたいに言って! はあでも、どうしてこうなっちゃったんだろ」


 とにかく、ずっと働き詰めだったケーラ親衛隊の皆さんは、ようやく休む事が出来たようで。


「そうだ真白。落ち着いたら神獣の事教えてくれよな」『勿論だにゃ』そこで健人はふと、リリアムの胸にずっと抱かれていた白猫に声を掛ける。当然健人は神獣効果なるものが気になっている。昨晩からの混乱もようやく落ち着き、そこで健人は改めて思い出したようだ。


 そうこうしているうちに、レムルスが自身の勤めていた神殿より、神官達を引き連れやってきた。その数五名と少なかったが、それでも即戦力には違いない。リリアムはそれを見て、自身も都民達の治療を開始した。同時に、健人とケーラは瓦礫の撤去作業の手伝いを再開した。

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