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助っ人合流

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 ※※※


「はあ!」跪いているギガントサイクロプスの頭を狙い、空高く飛び上がって斬りかかる健人。だがそれを「グオオ!」と太い腕でバチン、と振り払う。吹っ飛ばされるもうまくブーストを使い、壁にぶつかりそうになった瞬間に足で踏みとどまり、「まだまだ!」とまたも一直線にギガントサイクロプスの頭目がけてロケットのように飛んで行く健人。


「シャドウバインド」だが、今度はギズロットが健人に黒い蜘蛛の糸のような網を被せ、ギガントサイクロプスに加勢してきた。「クッ!」何とかそれを躱すが、「ガアアア!」と次にギガントサイクロプスの拳が上空から降ってきた。「くっそぉ!」躱せない。仕方なしにブーストとプレッシャーを使い、左腕に取り付けているスモールシールドでガシイ、と拳を何とか受け止めた。


「グオオオオオ」そのまま拳を下へギリギリと押し込むギガントサイクロプス。ボコン、と健人もろともその場がクレーターのようにへこむ。「うぐぐ……きつい」オリハルコン製の盾がギシギシ軋む。相当硬い素材のはずなのに今にも割れそうに悲鳴を上げている。同時に健人の腕や足の骨からもミシミシ音が聞こえてくる。健人はつい、ガクン、と立て膝をついてしまった。


 やばい、潰される。そう思った瞬間、フッと体が軽くなった。巨大な拳が急に消えたのだ「ぷはあ! 何があった?」息を吐き出しながらキョロキョロする健人。


「何だお前か。ケーラ様は、ああ、あちらにおられ……な、なんだ! あの巨大な猫は!」びっくり仰天しているのはあの吸血鬼さんでした。モルドーは何かがギガントサイクロプスと戦っているのが見えたので、とりあえず魔物に蹴りを入れ吹っ飛ばしたのだ。それで健人が巨大な拳に圧から逃れられたのである。


「……」助け出したのが健人だった事よりも、巨大白猫がギガントサイクロプスと戯れ……もとい、戦っているのを見て口をあんぐり開けて未だ固まっているモルドー。


「……そもそも、ギガントサイクロプスが二体もいる事でさえ驚いたというのに。あの猫の魔物は何なのだ?」


「あれは魔物じゃないんです。俺の仲間ですよ。そしてありがとうございます」と、モルドーを見て事態を把握した健人が、お礼を言いながら立ち上がる。


「ふん。お前に礼を言われる覚えはないわ。お前が助かったのはたまたまだ。しかし……、あれは稀に見る神獣ではないのか?」さすが長生きしているだけあって、神獣を知っていたモルドー。よくご存じで、と笑顔で返事する健人。まさかの助っ人に若干顔がほころんでいる。


「クッ! モルドーか」そこで、未だ空中で様子を窺っていたギズロットが声を発する。もうすぐ健人を殺せそうだったところを邪魔され悔しそうに。そして不意打ちを食らい数メートル飛ばされたギガントサイクロプスも、起き上がりざま怒りの表情を隠す事なく、「グロオオオオ」と殺気を発しながらモルドーをその一つ目で睨む。


「しかしギガントサイクロプスとはな。闇の効果がなければさすがの私も倒すのはきついだろう。しかもそれが二体もいるとは。だが、あちらは神獣が相手しているのか。……ふむ。なら不本意だが、お前と共に先にこちらを倒す方が良さそうだ。ケーラ様はどうやら、あちらにいた方が安全のようだしな」だが、そんなギガントサイクロプスの殺気や睨みを気にする様子もないモルドー。状況を冷静に分析しながらちらりと健人を見やる。


「ええ、仰る通りです。ケーラとリリアムはあっちにいますが、どうやら手を出す必要はなさそうなので」


『そんな事ないにゃ! そろそろ巨大化が切れそうだにゃ!』


『え? マジか?』『マジだにゃ!』突然白猫から念話が飛んできて焦る健人。巨大化が切れそうな状態だというではないか。どうやら戦いながらも健人の言葉が聞こえていた巨大白猫。因みに白猫はギガントサイクロプスに対し、傍からは何だかじゃれているように見えなくもないが、それでも今は完全に抑え込んでいる。リリアムとケーラはそんな巨大白猫を、傍からずっと見守っているだけだ。下手に手出ししたら寧ろ邪魔になる、と思っているからだ。しかし、巨大白猫はずっと何かしらの攻撃を仕掛けているものの、ギガントサイクロプスに対し致命傷になるようなダメージを与えるに至っていないようだ。


『真白! とりあえず動きを止めろ! 俺みたいにそっちも足の腱を切れ!』


『マシロさん! ボクも手伝う!』そこで、二人の会話を聞いていたケーラが念話に混ざる。


『わかったにゃ! ケーラとリリアムにも神獣効果を付与するにゃ! 二人同時に腱を切って欲しいにゃ! でも付与すると巨大化の時間が短縮するにゃ! だからチャンスは一回だけだにゃ!』『了解だよ!』


 そしてケーラは念話の聞こえないリリアムに説明する。「……足の腱ね。マシロさんの神獣効果付与がつくなら出来るわね」「でも、マシロさんすぐ小さくなるらしいから、失敗は許されないよ」


 分かったわ、とリリアムはケーラに返事し、そして二人見合わせ決意の籠もった表情で頷く。その様子を見た巨大白猫は、「にゃああああ!」と大きく一鳴き。すると、ケーラとリリアムの武器が眩く光った。


『健人様! ケーラとリリアムにも神獣効果付与しちゃったにゃ! だから健人様の刀の効果も、もうすぐで切れるにゃ!』


 マジか。……そうか今まで俺だけその効果を付けてたのは、三人共にそれをやっちゃうともたないからなのか。と、自分だけ神獣効果付与受けていた理由がここでわかった健人。要する、神獣効果とやらの制限時間が分散される、という事なのだ。一人だけなら長い時間、神獣効果は保たれるが、三人に付与する事で、その時間がグンと短くなるのである。


「モルドーさん。この魔物は光属性も闇属性も効かないんですが、俺のこの刀には神獣効果が付与されてるのでダメージを与えられるんです。でも、それももうじき切れるみたいなんです。なので早く倒さないと。しかも猫の巨大化がそろそろ終わるようなんです」


「ふむ。思ったより切羽詰まっているのだな。お前と共に戦うのは不本意だが仕方ない。では私が抑えよう。お前はその神獣効果とやらが付いた刀で、ギガントサイクロプスを攻撃しろ」


 分かりました、と健人が返事するなり、モルドーはバサ、と翼をはためかせ未だ跪いて睨んでいるギガントサイクロプスの顔面辺りまで飛翔した。そして空中で制止し横の長さ数メートルはありそうな程羽を広げ、「受け取れぃ!」と大声で叫び、黒い水のようなものを一気にそこから吐き出した。


「チッ!」巻き込まれそうになったギズロットは急いで更に上空に逃げるが、ギガントサイクロプスは躱す間もなくそれを一身に浴びてしまった。そしてその黒い水はベッタリとギガントサイクロプスの顔を覆う。「フグ? グホアアアア!」まるで黒いスライムのように顔面全体に貼り付く黒い水。そのせいで呼吸が出来ず苦しそうに、その貼り付いた黒い粘液となったものを何とか引き剥がそうとするギガントサイクロプス。


 それを確認した健人は、一度刀を鞘に収めて一気にギガントサイクロプスに駆けて行く。そして「はあ!」と跪いている胴体辺りに潜り込み、そこから真上に居合斬り一閃。スパンとギガントサイクロプスの横腹を切り裂いた。ブシャアと鮮血が切り口から迸る。


「ゴフォオオオオ!」目が見えない状態で突如腹部を襲った激痛に驚きながら、しかも未だ息ができない状況で、より苦しみの声を上げるギガントサイクロプス。「まだまだあ!」更に健人が飛び上がり、またも一旦鞘に収めた刀で、更に今度は真下から右肩辺りをスパン、と居合斬りで一刀。巨大な右腕がズドーン、と地面に落ちた。またもそこから噴水のように血が迸る。


「ガ、ガフ、フグフゥ……」腹部の怪我が致命傷となり、更に大量の血を失った事から、ズドーン、と地響きをさせギガントサイクロプスが力なく崩れ落ちる。そこでようやく、モルドーの黒い粘液が顔から剥がれるが、ギガントサイクロプスの一つ目は生気を失いつつあるのが見て取れた。


「トドメだ!」そこで健人が更に刀をその一つ目にブスリと突き刺す。「ガ、ガアアアアアアア!!」断末魔の叫びを上げ、助けを乞うように残った左腕を空に持ち上げるも、すぐさまズドーンとその腕が力なく地面に叩きつけられ、ギガントサイクロプスは事切れた。そこで、健人の刀は光を失い、元のくすんだ銅色に戻った。



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