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神獣さん本領発揮っぽい

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークまでして頂いてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

『真白。さっき話してた事だけど、本当に大丈夫なんだな?』


『大丈夫だにゃ。音波も見たにゃ? あんな事以前は出来なかったはずだにゃ。だから心配ないにゃん!』クルリと健人に向き直り、後ろ足だけで立ってサムズアップ? みたいに前足をビシィ! と健人に向ける白猫。


 そんな何だか余裕な白猫を見て、分かったよ、と小さく微笑みを返す健人。そして意を決した表情で巨大な二体のギガントサイクロプスを見上げる。こんなデカイ魔物と戦った事はないが、放置する訳にはいかない。もう既に多くに人達がこの魔物に殺されてしまった。


 リリアムの家族の事を考えても止めなければいけない。それが出来るのはきっと自分達だけだろう。それは決して健人の驕りではない。王城内でドノヴァンデーモンと、王城最強と言われるグオール将軍が戦っているのを見ている健人。あの将軍でさえ、()()()()だった。だから、そう素直に思っているだけだ。


 そして先程、リリアムとケーラが光属性と闇属性で、弱点であるはずの大きな一つ目を攻撃したが、どちらの魔法も効かなかった。なのでドノヴァンデーモンの時のように、神獣効果と言う、白猫の能力を借りるよりほかに、この巨大生物を倒す方法はない。そしてそれが可能なのは健人達だけだ。だから自分達でなんとかしようと思っているのである。


 そうあれこれ考えながらギガントサイクロプスの様子を、健人達が緊張の面持ちで見上げていると、またも健人達に向かって拳を振るうために遥か上空に振り上げる。そしてすぐに上から下にズドーンと、直径3mはありそうな拳を叩きつけた。だが、今度は三人と一匹共にサイドステップで右横に避けた。途端にズウゥン、と地響きが起こり、健人達はまるで地震のように地面が震えたの感じ、改めて凄まじい破壊力だと驚愕する。


「はえー、やっぱ凄いね」「……何とかしなければ行けないのだけど、私達に出来るのかしら? しかも二体も」


「……でも、やるしかない」呆気に取られている二人とは対称的に、グッと手に持つ刀に力を込め、決意表明のように語る健人。そして白猫から事前に聞いていた、とある作戦を実行しようと二人に指示する。


「ケーラ。リリアム。二人は真白と一緒に、もう一匹を相手してくれ。倒そうとしなくていい。抑えておくだけでいいから」


「え?」「まさか、タケト一人で一匹と戦うの?」


 健人の無謀とも言える申し出に驚く二人。そんな二人を真剣な表情で見返す健人。そして何か言おうとしたところで、再度ギガントサイクロプスが拳を健人達目掛けて振り下ろしてきた。今度はそれに合わせて健人は前に飛び込み、二人と一匹はまたもバックステップ。ズウゥンと地響きが響き渡り、そこで健人とリリアム、ケーラは別れてしまった。


「なにゃあああ!」そこで白猫の叫び声。すると健人の持つオリハルコンの刀が、白い光に覆われた。それから白猫は、リリアム達の元へスタタと走っていく。そして念話が聞こえるよう、リリアムの頭にぴょんと乗る。


『ケーラ。リリアム、健人様の言う通りにするにゃ。もう一匹の方に行くにゃ』


「え? で、でも大丈夫なのかしら?」「マシロさん、そう言ってもタケト一人じゃ……」


『いいから二人共早くするにゃ! 健人様の折角の行動が無駄になるにゃ!』


 珍しい白猫の叱咤。その様子を見て慌ててもう一匹のギガントサイクロプスへ駆けだす二人。それでも当然気になる二人は、後ろめたそうに健人に振り返りつつ。そしてその気持ちは、本来健人を守るためにこの世界に来た白猫も同じ。だが、どこか白猫は決意したような表情で、二人とは違い健人を一切見ないようにしている。見てしまうと気になってしまうからだろう。そんな二人と一匹の様子を確認した健人は、よし、と小さく呟いた。


「勇気と蛮勇は違うぞ? 人族の男」あの人族の男一人でギガントサイクロプスと戦うのか? 巨大な魔物の耳元、上空から、黒い翼をはためかせ、様子を見ていたギズロットが、一人向き合う健人に若干呆れたように声を掛ける。


「そんなん分かってるわ」久々の関西弁で返す健人。この世界にやってきてから約一年間、相当数の魔物を退治してきて、戦闘には慣れてきた健人。だが、こんな巨大な魔物を相手にするのは初めてだ。しかもケーラからは相当強いと聞いている。緊張しないわけはない。


「お前程度塵に等しいが、邪魔立てするなら殺すまでだ」そう言ってギガントサイクロプスに、健人を殺すよう命じるギズロット。瞬間、大きな一つ目の瞳がギラリと赤く光り、「ギャオオオオオオオ!!」と咆哮した。そして一気に溢れ出す殺気。ゴオオと音を立てながら、ギガントサイクロプス中心に殺気だけで風が起こり塵が舞う。


 要する今までは単に虫を振り払う程度の攻撃だったのである。これからは、健人を本気で殺しにかかってくる、と言う事だ。


「……これ程か」そしてそんな殺気に当てられ、背中にツーと冷や汗が流れる健人。それでも、キッとギガントサイクロプスから目を離さず見上げている。


 そして再度上空に拳を振り上げた巨大な一つ目。明らかに先程までとは違う力の籠った初動。それを見上げ緊張の面持ちで身構える健人。そしてブーンという風切り音と共に、ギガントサイクロプスは思い切り健人に向けて拳を叩きつけた。巨大な割に音速を越えるようなスピード。ドドーンと先程まで以上に地響き音がこだまする。更にもう片方の拳も振り上げ、同じく風切り音をさせながら健人に叩きつける。それからドドーン、ドドーン、と繰り返し響く地響き。まるで巨木のラッシュが打ち付けられているように。そしてその度、辺りは地震のように上下に大きく揺れた。


 しかし、「グアアア?」いきなり叫ぶギガントサイクロプス。そして「グロアアアア!」と苦悶の表情を浮かべズズーン、と跪いた。


「な、何事だ!」余裕の表情でギガントサイクロプスのラッシュを上空で見ていたギズロットだが、突如苦しそうに跪いたギガントサイクロプスに驚く。


「やっぱりな。人型だから、人間と構造が一緒だと思ったんだよ」ふう、と一息つきながら、巨体が跪く背後から聞こえる健人の声。ラッシュは受けずすり抜けていたのだ。


「ど、どういう事だ!」驚愕しながらも健人に向かい叫ぶギズロット。まさかギガントサイクロプスが跪くとは思っていない。


「腱を切ったんだよ」


「腱? い、いや、それよりも、……切った、だと?」


 ギズロットが驚いているのは、腱を狙った事より、健人がギガントサイクロプスに傷をつけた事だった。先程リリアムとケーラが、弱点だと言われる一つ目を魔法で攻撃しても弾かれたのは、元々ギガントサイクロプスが相当硬い魔物だからだ。光属性と闇属性に強い、というだけが理由ではない。そもそも他の属性の魔法であっても傷がつくはずがない程、この魔物の防御力は高いはずなのである。


 それなのに、健人はそんな防御力の高いギガントサイクロプスに傷をつける事が出来た。その事はギズロットにとってあり得ない事のはずなのだ。


「そんな馬鹿な! 何故そんな事が出来た?」


「それはもう一匹のギガント何とかを見れば分かると思うぞ」


 健人にそう言われてキッともう一匹のギガントサイクロプスを見てみるギズロット。そこには、ほぼ同じくらいの大きさに巨大化した白猫が、「ミギャアアア!」と叫びながら、ギガントサイクロプスとじゃれ合い……、もとい、戦っていた。


「……あれは、あれは一体何だ?」口と目を大きく見開いて驚くギズロット。


「神獣だってさ」


「! し、神獣……だと?」


 ※※※


「言われた通りタケトと距離を取ったわ。で、どうするつもりなのかしら?」


『見てるにゃ。今こそ神獣の力を使うにゃ。実は見習い期間が終わったんだにゃ』


「どういう事?」「見習いって、期間が終われば終わるものなの?」


 そうみたいだにゃー、とか返事する白猫。……でも、何でかは分からないんだにゃー、と誰に言う訳でもなく心の中で呟きながら。そして二人に離れるよう伝えてから、リリアムの頭の上からぴょんと地上に降り立つ。それからずっとその場から動かず、佇んだままになっている、もう一匹のギガントサイクロプスの前で、「にゃ!」と一鳴き。すると、ムクムクムク、と徐々に白猫が大きくなっていった。


「「えええ~~!!」」驚くリリアムとケーラ。綺麗にハモりました。


「な、何なのかしら? これ」「え、えーと、魔物になっちゃったの?」そしてあわあわする二人。


『ち~が~う~にゃ~。大きくなっただ~けにゃ~』変な間延びをさせながら、何だか自慢気にニャッフン、とヒゲをピンとさせる白猫。


 そして驚いたのはリリアムとケーラだけではない。もう一匹のギガントサイクロプスの頭辺りで浮いていた、プラムとそのギガントサイクロプスも、顎が外れそうなほど口をあんぐり開けてびっくりいる。


 実は少し前に、頭の中に誰かからの声が聞こえ、自分の変化を知った白猫。その声は結構重要な事を色々伝えてきた。なのであれこれ問い質したかったのだが、今現在の最優先事項はこの二体の巨大な魔物を倒す事。だからとりあえずこの二体を倒してから、可能であれば聞いてみようと思っている白猫。


 そしてその声から、白猫は神獣になった、と聞いた白猫。そして見習い期間が終わって神獣になった、と白猫から聞いていた健人。その事もあって『私に任せるにゃ! 絶対大丈夫だにゃ!』と言うので、若干不安ながらも白猫にもう一体とリリアムケーラを託したのである。以前ドノヴァンデーモンを倒した時のように、神獣効果と言われる不思議な力で、光属性も闇属性も効かなかった相手に、健人の刀に不思議な光を纏わせる事が出来た経験もあって決意したようである。どのみち、二匹もいるギガントサイクロプス相手にするには、他に方法が思いつかなかったのだが。


 因みに、突如白猫が神獣になったのは、あの光の塊さんが関係していたりするのだが。


 そして神獣になってしまった事で、猫獣人に戻れなくなるのでは? という疑問が健人の頭をよぎりはしたものの、もうなってしまったと言っているので、とりあえずこの場を凌いでから、後で改めてその件について、白猫に聞こうと思っている健人。


「こ、こんなの聞いた事ない! 反則だろ!」それはともかく、プラムは優勢だった状況が一転し、慌てふためきながら悪態をついた。


「……それ、あなたが言うのかしら?」「そっちこそギガントサイクロプス二匹なんて反則だよ!」リリアムとケーラに突っ込まれるプラム。


 そして驚きはしたものの、命令されていないので未だ佇んでいるギガントサイクロプスに、巨大白猫は遠慮なく襲いかかった。『真白キーック! にゃ!』とわざわざ念話で技名を言いながら、後ろ足を使いギガントサイクロプスの顔にドロップキックをかます。「グヒョエハア!」余程びっくりしたのか、変な叫び声を上げズドーン、と仰向けに倒れるギガントサイクロプス。


 それから巨大白猫は大の字になって倒れたギガントサイクロプスにドン、と馬乗り……猫だけど馬乗りし、ギガントサイクロプスの顔を「ふぎゃぎゃぎゃぎゃ!」と鋭い爪で引っ掻いた。「ギャアアアア!」痛みのため大声で叫ぶギガントサイクロプス。そしてようやくそこで、防衛本能が働いたのだろう、ブン、と巨大白猫に殴りかかった。だが、ひょいとそれを上空に躱す巨大白猫。ギガントサイクロプスは躱された事で、自身の拳で自身の胸をドーン、と強打してしまった。


「フグオフオオオ!」またも叫ぶギガントサイクロプス。


『フン! だにゃ! 元ボス猫をなめるにゃ!』スタン、とまたも仰向けに倒れているギガントサイクロプスの腹の上にドン、と自身の重量を加味して乗る。「ウゴオ!」腹に全体重をかけて乗られ、苦悶の表情を浮かべるギガントサイクロプス。そしてニャッフン! する巨大白猫さん。


「……そういや真白ってボス猫やってたって言ってたな」念話を聞き取り、若干呆れながら巨大白猫を見る健人。そしてギズロットはギガントサイクロプスと巨大白猫との格闘を見てポカーンとしている。


 だが、そこで突然、健人に腱を切られ跪いていたギガントサイクロプスが、怒りの表情を浮かべがら健人に横殴りで拳を振るってきた。「不味い!」慌てて腕に付けていたスモールシールドで受ける健人。更に後ろにジャンプして威力を逃がす。そのまま壁にドーンと激突してしまった。


「グウウウウ!」両足の腱を切られ立てずにいるギガントサイクロプスだが、両足を立膝にして起き上がる。そして健人が激突した辺りを、怒りの籠もった一つ目で睨む。


「クッ、油断した」ボロボロと瓦礫が落ちてくるが、大したダメージはない様子の健人。そしてゆっくりその場から立ち上がって、改めてギガントサイクロプスに向き直った。


「そういう事だから、あんた達はここで止める」


「……神獣などと、御伽話の中だけだと思っていたが、まさか実在するとはな。しかもこのタイミングで現れるとは。あの黒髪を木っ端微塵にしろ」舌打ちしながら改めてギガントサイクロプスに命令するギズロット。


「グオオオオオ!!」それを聞いたギガントサイクロプスは、立ち上がれはしないものの、跪いたまま健人に殴りかかった。



更新が遅くなっており申し訳御座いません。

※評価等は最新話の下にて可能です。評価感想レビューを頂ければ奮起出来ます。

宜しくお願い致しますm(__)m

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