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一方魔族に動きがあるようで

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークまでして頂いてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

 ※※※


「くっそぅ!」


 もう何度目か分からない、ギルバートの悔しそうな大声。あれから一日かけて周辺を捜索するも、結局綾花は見つからなかった。ロゴルドも何度も空から周辺を捜索したものの、全く見当たらない。そもそも、洗脳の効果により、勝手な行動はできない筈。綾花の身に何か危険が生じて、一旦外出したとしても、戻ってこない事自体おかしいのだ。


「こんな事今まで一度も無かったのに……」明らかにイライラしながら呟くギルバート。


「急に自由に動けるようになったのは、一体何なのだろうな……」そして突然の事態に、ロゴルドも未だ状況を飲み込めていない様子。


「……しかもアヤカ、パーティを抜けたようなんだ」


「何だと?」ギルバートのその言葉に驚くロゴルド。


 この世界では、パーティメンバーが抜けた時、青い煙のようなものが手首から抜けていき、誰が抜けたのか分かるようになっている。実は今日の夕方頃、ギルバートが綾花を捜索中に、突然手首から青い煙のようなものが出ていったのだ。それは綾花がパーティから抜けた証拠である。因みにパーティメンバーが死んだ場合は、パーティ登録は残ったままとなるので、その際生き残ったメンバーが、パーティメンバーから除外する。


 なので、綾花は何処かで事故に遭って死んで戻ってこられないわけではなく、自らの意思で出ていき、しかもパーティメンバーから抜けた、という事だ。


 今二人は、元山賊の根城だったこの一軒家に、綾花の捜索から戻ってきている。既に日は沈み、森の中という事もあって辺りは真っ暗なので、一旦捜索を打ち切ったのだ。


 これまで綾花が単独で魔物討伐の依頼を受け出かけたり、買い出しに出かけたりする際は、必ずギルバートの指示によるものだった。だから指示した業務が終われば必ず綾花は戻ってきていたのだが、今回ギルバートは何も指示していない。綾花の意思で勝手に出ていったのだ。それはいわば、洗脳の効果が切れている可能性が高いと思われるのである。


 アヤカを探すか? それとも魔族の都市に戻るべきか? 簡単な夕食を終え、机を挟んで目の前に座り、ずっと苛ついた表情を見せ一人ブツブツ言っているギルバートを見ながら、ロゴルドは一人黙って考え込んでいる。ギルバートはというと、自らの欲求を、綾花という美少女でようやく解消できそうだったにも関わらず、いなくなった事でそれが不可能となり、しかも今までずっと我慢してきた事もあって、相当ストレスが溜まっている。その上各都市にはギルバートを捕らえるよう通達されているらしいので、都市に行って娼婦を買う事も不可能。


 なので相当イライラしているギルバート。貧乏ゆすりをしながら足をカタカタ言わせている。「なんで僕がこんな目に……!ああくそ!」ずっとブツブツ言いながら苛立ちを顕にしている。


 そんなギルバートを見ながら、こいつも限界だな、と思ったロゴルド。事前にビルグから、この元山賊の家から魔族の都市までの行き方を聞いているので、ここからなら大体三日くらいで、魔族の都市に到着するだろうと言う事は分かっている。


 だが、アヤカを連れて行かず戻って良いものか。しかしながら、明日以降もアヤカを探そうとしても、ギルバートがこんな状態だ。洗脳をしているのはギルバートだ。なので元々アヤカと共に魔族の都市に連れて行く予定だったのだがな。


 何にせよ、アヤカがいなくとも、ギルバートも私達には必要だ。なので面倒だが見捨てて置いていく事が出来ないのが難儀だな。ギルバートの苛立つ様子をずっと見ながら、一人黙って思考を巡らすロゴルド。


「人族の都市には行けないし、仕方ない。当初の予定通りこのまま魔族の都市に向かうとしよう。アヤカの事はあちらについてから指示を仰ぐ事にする」色々悩んだ結果、ロゴルドは、綾花無しで魔族の都市に向かおうとギルバートに提案する。だが、


「アヤカがいないんなら僕が魔族の都市に行っても無意味じゃないか!」バン、と机を手のひらで叩き、怒りの矛先をロゴルドに向けるギルバート。


「そうだとしてもどうするつもりだ? お前は人族の都市にさえ入れないんだぞ? 何処か辺境の村に潜んだとしても、都市に通告されれば捕まる。エルフの村は遠いしあいつらは排他的だ。ドワーフの街も遠い。お前の行き場は、今の所魔族の都市くらいしかないぞ?」


「ぐっ!……くそ」ロゴルドの冷静な言葉に、ギリリと歯を噛み締め悔しそうに唸るギルバート。そこで改めて、魔族の都市以外、自分の行く場所の選択肢はない事を理解したようである。


「お前の性癖については我慢して貰うしかしようがない。腐っても神官なのだから、そこは努力しろ」


「ぐぬぬぅ……」やや命令口調のロゴルドの言葉に対し、悔しそうに唇を噛むギルバート。そして血が唇から滲み出す。その様子に、心底呆れた顔をするロゴルド。そもそもこいつに気を使ってやる必要などないのだ。こいつの性癖はこいつ自身で管理すればいい話なのだから、と心の中で呟く。


 そしてロゴルドは、ギルバートを一瞥し、挨拶もせず黙ったまま食堂から出ていき、自分が寝泊まりしている二階の部屋に上がっていった。


 そして部屋に入るなり、ロゴルドに支給されていた、手紙を送るための風魔法のクリスタルを手に取る。これは緊急時のみ使うよう、渡さされていたものだ。余程の連絡でない限りは使わないものだが、今回は必要だと思い、ロゴルドは使う事にしたようである。


 ※※※


「ん?」「どうした?」


 風魔法を受け取り、訝しがるとある魔族の幹部と、もう一人の、その反応が気になった魔族の幹部。因みにこの連絡用の風魔法は、何処か拠点がないと送る事が出来ない仕組みになっている。例えば道中から送るのは不可能なのだ。何か建物があれば送る事が可能な魔法なのである。


「こんな場所に建物があったのか……、ここは、アグニとメディーの間のちょっとズレたところのようだが。どうしてまたこんな辺鄙な場所から、ロゴルドは風魔法を送ってきたのだ?」


「風魔法は元々緊急用に支給していたはず。何か急な連絡でもあったんじゃないのか?」


 そう言われてとりあえず魔法を解き、中に包まれている封書を開けてみる。


「……勇者が逃げたらしい。何故か洗脳が解けた、と書いてある」


「なんだと?」手紙の内容に驚く魔族の幹部。


「しかも行方不明らしい。仕方ないのでギルバートと言う、あの訳ありの神官だけ連れてくるそうだ」


「何故洗脳が解けたのだ? まさかその神官が、光属性魔法で洗脳を解いたのか?」


「いや、それはあり得ない。今までの報告からして、あの神官は欲に塗れた男だ。解くわけがない。だから我々は奴を選んだのだからな」


 そういやそうだったな、と、その言葉に納得するもう一人の魔族の幹部。


「仕方がないな。プラムから連絡が来ている通り、メディーではギズロットが既に始めている。とりあえずその神官だけでも連れてきて貰い、使わせて貰うとするか」


「そうだな。勇者がいないのは厳しいが、もう既に賽は投げられた。……では、我々も行動を開始するか」


 ああ、と返事し決意の籠もった表情になる魔族の幹部二人。これからの行動は、失敗が許されない。そして二人は、ポケットにあの紫色の球を複数忍ばせ、とある場所に向かった。


 ※※※





初投稿から八か月弱……初めて日間ランキングにのりました!異世界転生/転移ランキング255位!

コミカライズされた有名小説をいくつか越えてのランキング入りに、とても感慨深いものを感じております(´;ω;`)

次は100位以内に入れたらいいなあ。

何にせよ、応援して頂いている皆様、有難う御座います!


※明日更新出来るかどうか微妙ですm(__)m

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