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プラムの役目と新たな脅威

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークまでして頂いてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

※今回更新が遅くなり申し訳ございません。また、片桐綾花の挿絵を

頂戴しました^^とても素敵な絵ですので、宜しければ活動報告に

添付しておりますので、ご覧頂きたくm(__)m

 ※※※


「これ、メディーのほぼ全員じゃないの?」その場所にいる人数を見て、ため息混じりで呆れたように呟くプラム。


「お、お前は!……。魔族のプラムだろ? ほ、ほら、俺が分かるか? 何度も孤児を融通した……」


「ああ。覚えてますよ」


「ついさっき、何故かここの警備が一斉にいなくなったんだ。今なら逃げられる! 出してくれないか!」


「うーん、今逃げられるかなあ?」


「それはどういう意味だ?」


「ま、とりあえずギルド本部には誰もいないし、……だから僕がこうやってここに来る事が出来たんだけど、とりあえず皆さん、上の広間に行きますか」そう言って魔族の少年プラムは、既に殺したギルド職員が持っていた鍵を使い、牢屋内に閉じ込められていた白服の男達を、次々に開放していった。


「あ、まだ外へ逃げちゃダメですよ。表には冒険者とギルド職員が沢山いますからね。勝手に外に出ず広間で待機しといてください」そう大声で、我先に逃げようとした白服の男達、大神官含む神官達に釘を刺すプラム。そして正に駆け出そうとしていた数人の大神官達は、プラムの言葉を聞いてピタリと足を止め、大人しく言う通りにした。


 プラムは、今正に外で魔物と戦っている冒険者達に見つからないよう、こっそりギルド本部の地下にある牢屋にやってきていたのである。そこに捕えられている神官達がいるのを知っていたためだ。だが、こんなに沢山の神官達がいるとは思っていなかったようだが。しかしそれは寧ろ、プラムにとって都合の良い事だったりする。そして表の騒動のおかげで、今は運良くギルド職員も殆どいない。いたのは牢屋を監視していたニ~三人のギルド職員だけだったので、冒険者ではない職員はプラムに抵抗出来ず、容易にギルド職員達を殺し口封じをしたプラム。本来この牢屋は、警備隊所属の冒険者が監視しているのだが、今は非常事態という事もあって、代わりにギルド職員が監視していたのも、プラムにとっては好都合だった。


 最も、全て仕組んだ事なのだが。


 そして普段は冒険者で賑わうギルド本部の一階大広間にも、今は全員外の魔物達と交戦中なのでガラリとしている。普段窓口に座っている職員までも、戦っている冒険者達のサポートをするため出払っている。それも事前にプラムは知っていたので、一旦ここに神官達を集めたのである。


「で、これからどうするのだ? 逃げるにしても外の騒動が収まらないと難しいだろ?」大体百五十人程度の神官達のうちの一人がギルド本部のドアをチラリと見ながら質問する。外で何が起こっているのか神官達は知らないが、何やら叫び声や衝撃音が壁越しにも聞こえてくる。なので何かしらの争いが起こっているくらいは分かるようだ。


「それより、この手枷を早く外してくれんか? 痛くてかなわん」他の神官の一人も、未だ付けられている手枷を差し出しながら声を掛けた。神官達全員、未だ手枷は外されていない。


「そうですねえ。とりあえず皆さん。横一列に並んで下さい。人数が多いので」その言葉を合図に、プラムが総勢百五十人程の神官達にそう指示をした。


「おお、そうだな。一人で手枷を外すには行儀よく並んでた方が手間が省けるだろう」そう理解した大神官の一人が、他の者にも指示しながら、言われた通り横一列に並んだ。かなり広いギルド本部。ぎりぎり横一列に並ぶ事が出来たようだ。


 それを確認したプラムは、彼らの後ろに回り込む。そして黒い翼をバサっとはためかせ、ホバリングのようにフワリと少し浮かび、ギルド本部の隅に置いていたらしい大きな袋をいつの間にか手にし、例の紫色の球を取り出し、横一列に並んだ神官達と並列に飛びながら、それを神官達にどんどんぶつけていった。


「おわ!」「何だ?」「こ、これは?」後ろの首元に何かの衝撃を受け、一斉に驚きの声を上げる神官達。


「ま、まさかこれは……」「知ってる人いたんだね」そして全員の首筋に紫色の球をぶつけ終わったプラムは、ふう、と一息つきながらも、無表情で呟く。


「グ、グロオオ……」「ギャアアア!!」そして徐々に魔物化する百五十人程の神官達。ガキ、ボキキと骨を軋ませながら少しずつ体が大きくなる。その過程で手枷はバキと外れていく。


「よし。次はギズロット様に合流だな。あ、そうだ、風魔法で連絡しとかないとな」神官達が徐々に魔物化していくのを、フフ、と嗤いながら見つめながら、一人呟くプラム。そして魔物化した神官達に襲われないよう、急いで裏口から外へ出て、その場から空へ飛び立ち離れていった。


 ※※※


「むう。行ってしまったか」夕闇が迫る大空の中を飛んでいってモルドーを見送りながら呟くグオール。モルドーの話によると、どうやら飛んでいった先にも魔物がいるらしい。それならすぐに追いかけるべきなのだろうが、何やら悩んでいるようである。急いで駆けつけたはいいが既に魔物達は討伐された後。既に百人余りの騎馬以外の、ファンダル隊長率いる歩兵達も追いついており、グオールに指示される前に先に、魔物達の死骸や瓦礫の後片付けをやり始めている。正直勇み足になってしまった感は否めない。


「我々も向かいたいが正確な場所が分からん……。一緒に行けば良かったのだが」またも出遅れてしまった。それが悔しいらしいグオール。


「ナリヤ、と言ったな? とりあえず状況を教えて貰えないか?」モルドーが言っていた魔物も気になるが、先にここの状況把握をしようと思ったグオールは、ナリヤに声を掛ける。だが、どうやらナリヤには聞こえていない。とある一点を見つめ心配そうな顔をしている。


「……えー、オッホン!」


「ハッ! え、えーと、何でしょう?」グオールの咳払いでハッとするナリヤ。


「どうかしたのか?」


「あ、ええ。レムルスが……」


「レムルス? もしかして、神殿妃のご子息か? ここにいるのか? 彼がどうした?」そう言いながら、ナリヤの視線の先を見ると、そこには丁度ガク、と立膝をつき方で息をしている白服の男、レムルスがいた。


「レムルス! 大丈夫か?」それを見たナリヤが、慌ててレムルスに駆け寄った。


「あ、ああ、ナリヤ。ハハ、流石に魔力が切れちゃったよ」そう言いながらナリヤの肩を借り立ち上がる。


「そうか。レムルス殿は冒険者の怪我の治療をしておられたのか」ナリヤが駆け出した先を見て、レムルスの事を気にかけていたのに気づいたグオール。


「ああ。グオール将軍、お久しぶりです」顔を青ざめさせ、獅子獣人のグオールにゼェゼェ荒い息を吐きながら、ナリヤに肩を借りてつつ、頭だけ下げ挨拶をした。


「一人で治療をさせてしまい、済まなかったな」そんな疲労困憊のレムルスに、申し訳なさそうに謝るナリヤ。そして、レムルスさっき将軍って言ったな。この獅子獣人は将軍だったのか? 鎧をつけ騎馬に乗っていたから王城の兵士でも位が高いのは分かっていたが、と思っていたりする。


「いいんだ。これが僕の役目だから」力なく笑いながら気にしないで、と気遣うナリヤに声を掛けるレムルス。


「……」


 優しさに溢れるレムルスの微笑。自分を陥れ陵辱の限りを尽くしたあの神官とは全く違う。力は弱く頼りないが、正義感の強さや自らを省みない行動力に、ナリヤは思うところがあるようだ。


 そんな、ナリヤのレムルスを見つめる視線が気に入らない一人の男が、ムッとして二人の元にやってきた。彼も既にレムルスによって傷が癒えている。


「神官ならギルド本部の地下に沢山いるだろ。別にレムルス一人に頼らなくても、奴らに治療させれば良かったんだ。ナリヤ、俺がレムルスを担ぐ」グンターは若干苛立ちを交えた口調でギルド本部を指さし、そして仏頂面でナリヤから奪うように、レムルスの肩を担いだ。


「ああ。その手があったね。僕必死で気づかなかったよ。グンター有難う」「……うるせー」グンターに担がれながらお礼を言うレムルス。一方嫉妬心から出た行動なのに、素直な態度でお礼を言われ気不味そうなグンター。


「まあとりあえず、レムルスのおかげで冒険者の殆どは回復したようだな」同じくレムルスに治療を受け元気になったキロットが、うーん、と伸びをし、地面に転がっていた自身の武器ハルバードを拾い上げた。他の冒険者達、それにギルド職員達も魔物が全滅した事をようやく把握出来たようで、ホッと肩を撫で下ろしている。


「冒険者達よ! この度はご苦労であった! 儂は王城直属兵士隊将軍のグオール! 皆には追って懸賞金を渡す事をこのグオールの名に誓って約束しよう! 後片付けは我ら兵士達が承る! 冒険者達は休んでくれ!」


 そこで全体を見渡し、グオールが大声で発言した。その内容に、おおおお! と沸き立つギルド本部前。


「さて、一旦ギルド本部に戻るか。冒険者の皆も中で一休みするといいよ」そこで冒険者達に弓や矢を提供するため、一緒に出てきていたギルド職員のヤックムが声を掛けた。他のギルド職員もヤックムの言葉で、ようやく事態が収拾した事を確信し笑顔になる。そして先にギルド本部に戻っていくヤックムに続き、他のギルド職員達も向かっていった。


 だが突然、パン、と何かが弾ける音がした。続いてパン、パン、パン、連続で乾いた音が響く。


「ん?」その音に皆ギルド本部の方を向く。するとそこには、足元にボトリと落ちるヤックムや、他のギルド職員達の首が転がっていた。そして首の付根から突如噴水のように血が上空に向かって吹き上がる。そしてゆっくりとヤックムの体が、ギルド職員達が、うつ伏せにバタン、バタンと倒れていった。


「!」異常事態を感じたナリヤ含む冒険者達。既に開いている入り口からは、「ギェ、ギェ、ギェ」と奇妙な嗤い声をあげながら、耳が手のひらくらいに大きく、鷲鼻の、腹が出て腕が異常に長い、体長2m程の紫色の魔物が、ワラワラと沢山現れた。




次回は明後日投稿予定です。

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