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準備を始めよう

流れ的にもう1話投稿します。


「マシロちゃん! このゴブリン退治が無事終わったらさあ、一緒にアクー行こうよ! 美味しい店教えるからさ」そう真白に話しかけながら真白にグイグイ近寄るバッツ。


「美味しい店は匂いで分かるから結構にゃ。つかウザいにゃ! 殺されたいのかにゃ?」ギロっと睨む真白。バッツは真白が睨んできたのを見て、すぐさま健人の横に逃げた。


「バッツほんとぶれないな」健人は呆れ顔で言う。褒めんなよ! とバッツがニマーと健人を見て言葉を返すが、健人は決して褒めてない。どうしてそうなる? 


「いやさ、どう考えても脈ないよな? もう諦めたら?」


「そうにゃ。私は君に全く興味がないにゃ。 知ってるにゃ? 好きの反対は無関心なのにゃ」


 でも俺は関心ありまくりだぜ! とニカッと満面の笑みでちょっと恥じらいながら話すバッツ。うん。これなんかの病気かもしれない。そして真白の言った言葉に対して、それ反論になってない。


 明らかに気持ち悪いものをみるような顔で、バッツを見る真白。そんな視線でもテレテレしているバッツ。いやそこ、真白の気持ちに気づけよ、と健人がツッコむ。そんなくだらないやり取りをしながら、健人、真白、そしてバッツの3人は、ダンビルとの打ち合わせを終わらせた後、バッツの家に向かっていた。バッツは元冒険者、そして実はバッツの母親も元冒険者だ。それもあって、バッツ達が余り使わない武器も、ある程度家に保管してある。そして今回のゴブリン対策には、このバッツの母親も参加する事になっている。バッツの母親は女性だが、貴重な戦力だ。


「そういや真白ってさ。恋愛感情ってどうなってんの?」前から関心はあった。真白の恋愛感情について。ついでに聞いてみた。


「うーん。よく分からないにゃ。でも明らかに猫とは違うにゃ。それは理性と知性のおかげで分かるにゃ。でも今はどうでもいいにゃー」ほんとに関心がないのが明らかに分かるくらい、めんどくさそうに答えた。


 理性と知性が関係してんなら、そのうち気になるやつでも出てきそうだな。俺はどうなんだ? 俺は真白の事は単なるパートナーとしてしか思ってない。確かに真白はとてつもなく可愛いけど、元猫って知ってるからか、そういう気持ちは沸かないなあ。

初めてみた時は見惚れてしまったけど。今はもう慣れたっぽい。そして慣れると自分の感情ははっきり分かってくるもんだ。そんな事を一人考えている健人。


「猫と違うってどゆこと? 」そしてバッツの質問をめんどくさいからわざとスルーし、そうこうしてるうちにバッツの家にたどり着いた。


「母さんただいまー。お客さんだよー」家の扉を開け中に声を掛けるバッツ。


「おかえりー。あらまあマシロちゃん。あら、タケトも一緒なのね」バッツの母が笑顔で出迎えてくれた。


 健人と真白が共に「「こんにちわー」にゃー」と挨拶する。


「今日はどうしたの? 村長が今日話しした事となにか関係あるの?」


「こいつらに武器を貸してやろうと思ってさ」


「そう。タケトもマシロちゃんも戦うのね。危険なのは……勿論分かっているわよね。分かった。倉庫に行こうか」健人と真白の決意した顔をみて、小さくため息をつき、そして二人を案内するバッツの母。


 健人と真白、そしてバッツも一緒に、倉庫に向かう。すると、家と言うにはやや小さい、高さ3mほどの倉庫が見えてきた。バッツの母が、そこの扉の鍵を開け、健人と真白を中に案内する。


「ここにあるわ。とりあえず手にとってみて、気に入ったのがあったら教えて。手入れしてあげるから。それとバッツ、後で使い方を教えてあげなね」バッツの母がバッツに声を掛ける。


 了解ー、とバッツは母親に答えた。そして健人は初めてこの世界で武器を見た。剣や斧、槍、盾まであった。中世の騎士がつけているような鎧も置いてある。銃、は流石にないみたいだ。こわごわあれこれ触ってみる。鉄だろうか? 冷たさが余計に武器である事を強調しているようだ。


「タケトは戦闘経験あるの?」その様子を見ていたバッツの母が健人に聞く。


「いや、全く無いです」申し訳なさそうに話す健人。


「じゃあ、防御ができる盾と、片手で扱えるショートソードがいいんじゃない?」と言って、それらを健人に手渡した。


 思ったより重い。特に盾。盾は円形で直径50cmくらいか? 腕に固定するためのベルトが内側にある。どうやら鉄で出来ているようだ。


 ショートソードは、ショートと言う割には結構長い気がする。80cmはありそうだ。重さは金属バットくらいか? 何とか片手で振り回せそうだ。これも鉄製のようだ。


「どう? 戦闘経験ないなら、それくらいがちょうどいいと思うけど。とりあえず外に出て動いてみて」


 そう言われて外に出る。倉庫の前は人通りのない5坪程の広さの庭みたいになっている。そこで剣を振り回してみる。ブンと唸る。金属バットを片手で振るイメージだと結構振り回せそうだ。


 剣先を見てみる。暫く置いてあったからか、少しサビがあるようだが、それでも振り下ろしたら、人一人殺傷するには十分な切れ味のようだ。俺はこれで魔物の命を奪うのか。改めて戦慄する健人。


 健人が一人外に出て、剣を振り盾を前に構えてみたりしていると、真白とバッツの母親が出てきた。


「マシロちゃんはこれ一択だねえ」真白が選んだのはナックルだった。


「これはいいにゃ。前から手が痛かったんだにゃー」と嬉しそうに話す真白。真白が選んだナックルは、単に手に握るだけの、突起もない丸い形だったが、拳で戦う真白には十分だった。「これで思い切り殴れるにゃー」ほんとに嬉しそうだ。


 それから防具だ。非力な健人には、鉄の鎧は防御力が高いが、動きが遅くなって寧ろ危ないらしいので、革を幾重にも重ねたような胸当て、腰当て、腕甲、膝当てを貸してくれた。これならまだ軽いし動きやすそうだ。


 真白も同じもので女性用を用意して貰っていた。真白は俊敏な動きするから、尚更軽いほうがいいだろう。


「というか、それ誰も使ってないから二人にあげるわ。バッツもいいでしょ?」


 別にいいよー、と軽い調子で返すバッツ。バッツは庭で特に何をするというわけでもなく立って待っていた。バッツも使わないから要らないそうだが、タダで貰うなんて申し訳ない気がしている二人。


「気にしなくていいのよ。どうせ誰も使ってなかったんだから。こんな平和な村に住んでたら使う機会もないしね。今回が初めてその機会って事になるかしらねえ」フフっと笑う母親。


「そして、これから出来るだけ装備つけて行動するほうがいいわ。動きに慣れるためにね」


 ありがとうございます、とバッツの母にお礼を言う二人。今日から本格的に討伐に向けて訓練スタートだ。




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