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魔族幹部会議

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークまでして頂いてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

※クリスマス閑話https://ncode.syosetu.com/n8527ev/185/ 昨日間違えて投稿してしまいました^^;

ですがとても素敵な挿絵頂戴して挿入しております^^是非お読みくださいー

「さて、まずはシャリア。詳細を皆に話してくれ」


「かしこまりました」


 捜索魔法による影響からようやく落ち着いた面々。気絶していた部下達も復活して会議室から退室していったのを見計らって、おもむろにガトーが、魔族幹部であるシャリアに指示を出した。彼女はナリヤ同様、魔物増加の原因を探る調査隊の責任者の一人である。


「元々ケーラ様は、ナリヤ様の音信不通の理由と、近年急激に増加した魔物の理由を調査するため、人族の都市アクーに向かったのですが、その結果、隷属の腕輪を我々魔族が神官達に渡していた事、魔薬を用いて魔物を故意に発生させていた事が、ケーラ様の使役する魔物、モルドーと、先程帰ってきたナリヤ様の使役している魔物、ヘンによって分かりました」


 その発表に驚く面々。


「いや。シャリアちょっと待て。魔物を発生? 魔薬ってそもそもそんな効果あったか?」先程ガトーに質問された、ケナスがシャリアに質問した。皆ケナスの疑問に頷いている。魔薬の製造方法は知らずとも、幹部達はその効果が何か、事前に知っていたようであるのだが。


「その疑問は最もだ。確かに我々の共通認識では、魔薬とは洗脳と魔物化、この二つしか知らない」そこでガトーをチラっと見るシャリア。


「魔物増加の方法は、書物庫に置いてある資料を見れば分かる事なんだ」シャリアの意図を汲んだガトーが、說明を追加した。


「その方法とやらは、聞いても宜しいのですか?」


「……人族の血肉を使う」


「なんですと?」ケナスが驚きの声を上げる。それに呼応したように他の幹部達も一斉に驚いた表情をしている。


「と言う事は、魔薬製造のために、人族が殺されていた、という事なのでしょうか?」


「シャリア。その点何か分かったかい?」


「サンプルを調べた結果、どうやら人族の女性を使っていたようなのです。モルドーから預かったサンプルは小さかったので、もしかしたらたまたまなのかも知れませんが」


「そう」シャリアの答えを聞いて、顎に手を置き黙り込むガトー。何か引っかかったようである。


「隷属の腕輪って人族の神官達にバラ撒かれていたってヘンが報告してたよね? 何に使っていたか、それは聞いたの?」


「はい。主に神官の男共が、孤児院の女性を隷属していたようです」その言葉だけで、何を目的として隷属の腕輪が使われていたか、すぐに把握できたガトーと幹部達。


「人族は本当クズだな」「しかも神官? 奴らは神に仕える身なんだろ?」「やはり前の戦いの時我々が攻め落としておくべきだったんだ」


「……何か言ったかい?」最後の言葉を発した幹部をギロリと睨むガトー。


「あ! い、いえ、その! 過去のガトー様のご決断に意義を呈しているわけではありません!」焦った幹部の人間は、慌てて言い訳をした。


 彼らのガトーに対する畏怖の度合いを見ても、上下関係がはっきりしているのが見て取れるのだが、魔族は完全実力主義なのである。魔族の誰かがガトーに戦いを挑み、勝利すれば、その魔族がガトーに変わって魔王を名乗る事が出来るのである。だが、今のこの世界でガトーに勝てる魔族は一人としていない。


 約五年前、勇者カオル率いる討伐メンバーがやってきた時、ガトーは正直カオルの提案を喜んだ。カオルだけならまだしも、ヴァロックにゲイルとアイラといった四人相手に、さすがに勝てる気はしなかったガトー。もし当時、彼女達と戦って自分が倒されれば、新たに別の魔王が誕生していただろう。そうなれば、自分の家族の身に危険が及ぶ可能性がある。


 ガトーが和平を受け入れた背景には、人知れぬ彼のそんな思いもあったのである。


 ふとそんな事を思い出しながら、幹部達の慌てようを黙ってみているガトー。そこへ汗だくになりながら慌ててやってきた、腹の出た巨漢の魔族の男が、会議室の入り口をノックもせず開けた。


「ルナート。遅かったね」ルナートと呼ばれた男の、焦燥の表情を気に留めず、更にノックもせず入ってきた事をも咎めもせず、笑顔で挨拶をするガトー。但し目は笑っていないのだが。


「で? 何やってたの?」


「お、遅れてしまい、も、申し訳、御座いま、せん」ゼェ、ゼェと息を切らせ、冬で寒いはずなのに汗を滴らせながら、まずは謝罪するルナートと呼ばれた魔族の男。


「うん。分かった。で? 何やってたの?」若干イラっとした表情で再度質問するガトー。笑顔のままで。相変わらず目は笑っていないが。


「実験をしておりました」


「実験? 何の?」


「新たな脅威に耐えうるための、で御座います」


「新たな脅威?」


「ガトー様は、人族に勇者が現れたのをご存知でしょうか? それは災厄が現れると同じ事。そのための新たな戦力の研究をしていたのです。つい研究に没頭していて、馳せ参じるのが遅れてしまいました」少し息が落ち着いてきた様子のルナート。ふう、と一息ついて説明をした。


「誰がそんな事頼んだの?」勇者が現れた? メルギドの書簡とは別なのかな? 首を傾げるガトー。


「いえ。……独断で行っておりました」どこか緊張している様子のルナート。


「ギズロットも関係してるの?」


「ギズロット? ですか? そう言えばいないようですが……」そう言いながら既に着席している幹部達を見渡す。席が二つ空席なのが確認出来たようである。


「まあいいや。分かった。とりあえずこっち入ってきて」


 どうやら許して貰えた、と思ったルナート。ホッとした表情で会議室の中に入っていく。だがその瞬間、ドン、と音がしてルナートが会議室の入り口から外で吹っ飛び、ズガーンと大きな音を立て、会議室の外の壁にめり込んだ。


「ゴバァ!」迸る鮮血。ルナートの口から大量の血が溢れ出た。そして前のめりにドスンと、巨体が音を立てて倒れた。


「あんま舐めてると次は命ないよ」机に頬杖をついて、うつ伏せで倒れ込んでいるルナートを見ながら、無表情に話すガトー。相変わらず座ったままだが、背中からは黒い触手のよううなものが、蛇のように一本ウネウネ動いている。どうやらそれでルナートを攻撃したようだ。そして幹部達は何が起こったのか全く分からなかった様子。皆、余りの攻撃の速さに理解が追いつかなかったのだ。だが、ルナートを見て、そこでガトーが攻撃したのが分かったようである。


「も、申し、訳、あり、ませ、ん、でし、た」何とか起き上がりながら謝罪するルナート。どうやら肋骨数本は折れ、それが肺に刺さったのだろう、脂汗をびっしょり額に掻きながら、苦しそうに息をしつつ。そして会議室の外にいた複数の部下の魔族達が、急いでルナートの元に駆けつけ、光属性クリスタルを使ってルナートにヒールを施した。


「あーあ。もう。そんな事で光属性クリスタル使っちゃ勿体無いだろ?」その様子を見てガトーが部下達に注意した。彼らとしては善意の判断だったのだが、まさか注意されるとは思わず、ギクっとする。だが、既にルナートの怪我は回復してしまった。


「ストックが無くなったら、メルギドにお願いしなきゃならなくなるんだからさあ」ため息混じりに話すガトー。


「も、申し訳ございません」余計な事をしてしまった、そう思いガタガタ恐怖に震えながら謝罪する部下の魔族。


「まあいいや。しょうがない。後片付けしといてね」ヒラヒラと手を振り、気にするなと伝えるガトー。どうやら許して貰えたようでホッとする部下達。それから指示された通り、急いでルナートが流した血の掃除や、陥没した壁の修繕をし始めた。


 そしてガトーの攻撃を受け、緊張に震えながらも、見つからないよう顔を下に向け、つい我慢ならずに口角を上げニヤリと嗤う、ルナートであった。





明日の更新は、当方の事情により夕方予定ですm(__)m


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