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魔族さん達の会議

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークまでして頂いてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

※『剣鬼ヴァロックの地球転移』連載中です^^ https://ncode.syosetu.com/n3797fc/

不定期更新ですがお読み頂ければ幸いですm(__)m

「……」未だがっくり項垂れているキロット。


「ま、しょうがねーよ。諦めろ」多分こっちが素なのだろう、軽口のグンターが、キロットの大きな肩をポンポンと叩いて慰める。


「でもよお、でもよお……」なんだかウジウジしている身長190cmで筋骨隆々のキロット。背中の小さな黒い羽が力なくパタパタはためている。ちょっと可愛いかも知れない。


「女々しい男は嫌い」そして必要ないのに更に追い打ちをかけるケーラ。殺すような勢いで。そしてケーラの一撃にぐはあ、と何かを食らったようなゼスチャーをするキロット。またもズーンという音が聞こえそうなくらい落ち込む。あ、肩が震えている。どうやら泣いている模様。羽もシオシオ~と枯れた葉っぱのようになっている。


「まあ、何にせよ、二人に会えたのはタイミング良かったな」そんなやり取りを、ちょっと楽しそうに傍で見ているナリヤ。


 今四人の魔族達は、近くの食堂で朝食を取っている。今日はケーラが、ナリヤに自分が調べてきた事を報告しようと会う約束をしていたのだが、偶然、同じく和平賛成派のキロットとグンターとも会ったので、情報共有しようという事になったのだ。


 大男のくせに、ケーラにフラれ女々しくシクシク泣いているキロットを見ながら、もしタケトが人族だと知ったら、彼はどうするんだろう? と思ったナリヤ。とりあえず暫く黙っておこう、無駄に騒ぎを起こす必要はない、と、心に決めた模様。


「ケッ、グンターはいいよなあ。お前はナリ……」恨み節のように呟こうとしたキロットの言葉を遮るように、グンターのグーパンチがキロットの顎に綺麗に入った。


「妬んで俺を裏切るな」あ、危ねぇ、と呟くグンター。


 そして殴られ床にひれ伏したまま、起き上がらないキロット。キロットの方が図体が大きいのに、線の細いグンターのパンチを受けて立ち上がれない様子。どうやら精神的ダメージが相当大きいようです。


「いきなりどうしたのだ?」いきなりキロットを殴ったグンターを不思議そうに見るナリヤ。そんな二人のやり取りがよく分からなくて、可愛らしくコテンと首を傾げる。ケーラと共に超絶美女姉妹として魔族内で有名だっただけあって、ナリヤも相当美人なのである。そんなナリヤの可愛らしい仕草に、理由を答えられず顔を真赤にして黙ってしまうグンター。


「……ふーん。そういう事か」そして察した妹さん。


「そういう事って、何だ?」ナリヤが不思議に思ってケーラに聞くも、なんでもないよー、とニヤニヤしながら返す。


「ま、頑張れ」そしてポンと、グンターの肩を叩くケーラ。気づかれてしまい余計に押し黙ってしまう、純情なグンター。


「ま、とりあえず、話しよう」「そうだな」そして超絶美女二人は、男二人のやり取りをコントを見てるみたいに楽しみながら? 朝食をぱくついた。


 ※※※


「魔薬と隷属の腕輪、か」さっきまでのコントのようなやり取りから一転、キロットとグンターは、真剣で複雑な表情をしている。ケーラから聞いた話は、相当重大な問題だったのだから仕方ないのだが。


 ケーラは、アクーとガジット村で起こった騒動についてのみ、キロットとグンターに話をした。王城での出来事については一切話していない。余計な詮索をされて話が広がるのを防ぎたかったのだ。そしてナリヤには、キロットとグンターがいない時に、改めて話そうと思っているケーラ。ナリヤは元々この調査の責任者だし、全ての情報を伝えておく必要がある。そしてケーラとしては、この二人にも話す事によって、他に情報がないか探りたいのである。


 なので、ナリヤがギルバートに陵辱されていた事も勿論話していない。それでも、キロットとグンターは、事の重大さを理解出来ている。


「でも、魔薬と隷属の腕輪の製造法って……」「ああ、魔王様の書物庫にあるはずだ」


「そういう事。だから大変な事態なんだよ」キロットとグンターのやり取りを肯定するケーラ。魔王の書物庫は、ある程度地位の高い、一部の魔族しか入れない場所である。と言う事は、それなりの身分の魔族が、書物庫から製造法を入手したと言う事である。


「ケーラ。アクーやガジット村の神官達に、魔族の誰が隷属の腕輪を渡したか、調べはついてるのか?」真面目な表情でキロットが質問する。フラレて無様な姿を晒していたキロットはそこにはいない。魔族軍の幹部候補の顔だ。


「ガジット村はまだなんだ。だから二人が何か知ってるんじゃないかと思って、話したんだよ。アクーではビルグとロゴルドが神官達に渡してたみたいだけどね」


「あの二人ならあり得るな」「ああ」キロットとグンターも二人の名前は知っている様子。魔族は元々人口自体が少ない。なので顔見知りが多いのも特徴の一つである。そしてビルグとロゴルドは、和平反対派だと言う事を、キロットとグンターも知っていたのである。


「……」そして一人、深刻な顔をして皆のやり取り黙って聞いているナリヤ。彼女は以前、とある人物の洗脳に使うので、彼女の意思ではないものの、魔薬を手に入れるために、和平反対派と接触した事がある。その事はまだケーラにも話していない。そしてそれをこの場で話そうかどうか考えているようである。だが、その事を話すと言う事は、キロットとグンターにも、隷属の腕輪で言いなりになっていた事を明かす事になる。


「……そうだ。そういや最近、ギズロット様を見かけたぞ」ナリヤの悩んだ様子が気になっていたケーラをよそに、キロットがふと思い出したように声を出した。


「「え?」」その言葉に驚いた表情でハモるケーラとナリヤ。


「ギズロットって……」「ああ。あいつは魔王軍の幹部だ。だから人族の都市にいる事自体、不自然だな」


 ケーラの疑問にナリヤが答える。人族と魔族との和平が締結され、然程時は経っていない現状で、ナリヤとケーラ以外の幹部以上の魔族が来ている。その事が引っかかった二人。


 以前の魔族と人族との戦いで、幹部の魔族は人族と率先して最前線で戦っていた。そのため人族にも顔が割れているので多くの人族から個人的な恨みを買っている可能性が高い。余計な争い事を起こさないよう、魔王ガトーの配慮によって、まずは五年前の戦いに関わっていない魔族から、順に人族の都市に関わっていくよう、ガトーから指示されていたのである。そのため、現在各人族の都市にいる魔族には、幹部は一人としていないはずなのである。ナリヤとケーラについては、人族の都市では自分達の素性を一切明かさず、一魔族として振る舞う、という事で、父親である魔王ガトーと約束していたのである。


 それなのに、最前線で戦っていた魔族軍幹部のギズロットが、ここメディーにいる、というのは、おかしな話なのである。


 そしてケーラは本来素性を隠し通す予定だったのだが、健人と恋仲になる際、決意と覚悟を語って教えてしまっている。リリアムにも先日ナリヤと関わった際素性を明かしてしまっているのだが。ナリヤに関しては、ギルバートが隷属の腕輪で無理やり聞き出していたのである。


「それに確か……。そうだ。あれはプラムだ。プラムと一緒だったと思う」キロットが思い出したように付け加えた。プラムは見た目少年のような可愛らしい風貌をしているので、キロットは思い出す事が出来たのだろう。


 プラム、という名前を聞いた途端、ふと視線を下に落とし、気まずそうな表情をするナリヤ。一方ケーラとグンターは、ゴロンは和平反対派であるのに対し、ギズロットは魔族軍幹部で魔王に忠誠を誓っている立場の、和平賛成派である。それなのに共に行動していたという事実に、疑問を感じて顔を見合わせていた。





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