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やっぱりケーラもですかそーですか

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークまでして頂いてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

※『剣鬼ヴァロックの地球転移』連載中です^^ https://ncode.syosetu.com/n3797fc/

不定期更新ですがお読み頂ければ幸いですm(__)m

「疲れたー」「本当、大変な一日だったな」


 城門から一気に街まで馬で走ってきた二人。当然ながら街の人々は、王族全員が洗脳され、王城内にデーモンが現れたと言うとんでもないトラブルを一切知らないので、普段通りに忙しなく過ごしているのだが、そんな街中の様子と、王城内の騒動との格差に不思議な感じがする健人。


「お腹へったね」「そうだな。宿も探さないとな」あちこち見回している健人を不思議そうに見ながら、そうだねー、とケーラが返事する。既に夕闇が迫ってきている時間帯だ。昼食抜きで様々なトラブルを解決していたのを思い出し、一気に空腹感がもたげてきたケーラ。


 そして二人は、歩いていた街の人に宿屋街なる所があると聞いて、場所を確認してそちらに向かって馬を走らせた。丁度メディーの中心辺りにあるらしい。


「そう言えばギルドにも行かないといけないんだよね?」「そうだった。でも、今日はもう遅いし疲れたし、今度にしよう」


 了解だよ、とケーラが返事する。そして十分ほど馬を走らせると、宿屋が沢山、大通り沿いに軒を連ねている場所が見えてきた。どうやらこの辺りが宿屋街のようだ。さすがメディーと言ったところか、数えるには骨が折りそうなほど沢山の宿屋がある。大通り沿いだけではなく、奥の方にまで宿屋はあるようで、それぞれからワイワイガヤガヤと騒がしい様子が聞こえてくる。これだけたくさんあるにも関わらず、どこも結構繁盛しているようだ。そして貴族が利用するような高級そうな宿から、明らかに見た目安宿であろうというものまで、様々な種類が見受けられる。しかもここの宿屋街だけでなく、もっと高級な宿は王城の近くにあると、さっきの街の人は言っていた。人族の中心地メディーだからこそ、それだけ宿泊を必要とする人が多いという事だろう。


 そして二人にとってはそこまで高級な宿でなくてもいいので、当然この宿屋街で宿を探す。風呂付きの部屋がある宿ならそれでいいのだ。そんなやや特殊な宿も数十軒あるようで、あれこれ悩みながら良さげな宿を二人で選び、そしてそこの馬屋に馬を預け、二人は中に入って受付をした。


「……」そしておもむろに腕を組むケーラ。


「どうした?」そんなケーラを不思議そうに見る健人。そういや腕組むの今日初めてだな、とか思いながら。


「よく考えたら完全に二人きりだね」ニッコリ超絶美少女スマイルで、組んだ腕に力を込めてギューっと抱きつくようにしながら、嬉しそうに答えるケーラ。


 白猫はリリアムのところに置いてきている。何もないだろうが万が一を考え、念話出来るようにするためだ。だからケーラの言う通り、今は白猫もいない完全な二人きりだ。


「……ご飯食べたらすぐ部屋に行こう」なので甘えたくて仕方がない様子のケーラ。


「はいはい」呆れ顔の健人だが、存外乗り気だったりもする。そしてそんな超絶美少女の甘えた様子を独り占めしている健人に、宿で受付を待っている人々のあちこちから「グギギ」と何かの音が聞こえたっぽいのを、健人は見事にスルーしていた。


 ※※※


「大好き~。むふふ~ん」変な声を出して健人に抱きつくケーラ。


「今日は特に甘えてくるな」そんな変な声を出していても、やっぱり可愛いので優しく頭を撫でる健人。


「ねえタケト。明日リリアムに結婚の話するんだよね? ちょっとリリアムが羨ましい。何か先にタケトを取られたような気がして」


「うーん。結婚の話ってより、交際を認めて下さいっていう話だけどな」


「それもリリアムが先で羨ましいよ」そう言いながら、健人の胸に人差し指を突き立て、くるくるするケーラ。


「俺としては、ケーラの親にだって話したいんだけどな」そう言いながら、最近ケーラと二人いる時は習慣になっている、ケーラの角を触る健人。


「……リリアムって、本当タケト大好きだよね」


「どうした突然?」


「洗脳って、そんな簡単に解けるもんじゃないはずなんだよ。いくらリリアムの洗脳が急拵えだったからといって、タケトが語りかけたくらいで洗脳が緩くなるなんて、有り得ないんだよ」


 まあ、リリアムは俺病だからなあ、と、口には出さず心の中で呟く健人。そんな事口走るのは、流石に傲慢だと思ったようである。


「でも、ボクだってリリアムに負けないくらい、タケトの事が大好きだよ」


「もう恥ずかしいとか全く無いんだな」


「ボク、タケトの子ども産みたい。そして一緒に子育てしたい。そしておじいさんおばあさんになるまで、ずーっと一緒にいたい」


「ありがとな。俺もだよ」ポンポンとケーラの頭を優しく叩く健人。この子もリリアムと同じように考えているんだなあ、とか思いながら。


 ホントは独り占めしたいんだけどね、とケーラが小さく呟くも、至近距離だから当然健人に聞こえる。


「でも、本当なら俺は真白だけだったわけだし、複数の人と恋人になっていいからこそ、ケーラともこういう関係になれてるんだぞ?」


「分かってるよ。……ねえ。マシロさんの事は今でも好きなの?」


「……そりゃあ、な」だが、以前と違い、すぐに答えが出なかった健人。


「……」そしてそんな様子を察したケーラ。


「……正直言うと、ケーラとリリアムの存在が、俺の中でかなり大きくなってきてるんだよなあ。真白が人間じゃなくなってから結構経ってるし、そしてその間、二人が俺の心の隙間をずっと埋めてくれてたからなあ」


 本当、俺は贅沢者だ。改めてそう思う健人。ケーラもリリアムも相当な美女だ。勿論真白も相当な美少女なのだが。真白がいないからといって、こうやって変わりに遠慮なく愛していい美女が、二人もいる。


「ケーラ。愛してるよ」そう思ってふと自然と言葉になった。偽らざる健人の気持ちだ。


「!」愛してる、その言葉にびっくりするケーラ。ケーラの顔が一気にトマトのように真っ赤になる。


「……ボクも。ボクもタケトを愛しています」シーツで口元だけ隠して恥ずかしそうに健人を見つめ、それに答えるケーラ。紅い美しい瞳が少しずつ潤んできている。突拍子もなく愛の告白をされ、驚いたのと嬉しい気持ちが混同しているようである。


「エヘヘ。嬉しい」そして今度は健人に抱きつくケーラ。顔は真っ赤で目は潤んだままで。


「そうだね! ボクも贅沢者だよ。こんなに大好きなタケトから、愛してるって言われるんだから。リリアムとかマシロさんとかどうでもいい。ボクがタケトを、世界で一番愛してるから!」


 テンションが上がったケーラを、可愛く思ったタケトが優しく抱き締めキスをする。そしてそのテンションのまま、もっかいおっ始めようとしたところで、


「貴様あああ! 貴様は、貴様はケーラ様に、何をやっているのだあああ!」バリーンと窓ガラスを割って、勢いよくあのコウモリさんが、空気を読まずに入ってきた。


「うわ! 寒い!」窓が割れて冬の寒い風がビュウウと部屋中に入ってきたので、ケーラがベッドのシーツに蹲った。だが、そんな事をお構いなしとばかりに、コウモリさんは驚いた表情の健人を攻撃しようとする。


「こら! モルドー! やめなさい!」だが、そんな怒り狂ったコウモリさんをケーラがシーツに蹲ったまま一喝する。


「し、しかし! コヤツはケーラ様を!」制止されてビクっとなるコウモリ。


「ボクの意思でここにいるんだよ! あ、そうだモルドー、あんたナリヤ姉さんに余計な事言ったよね?」裸で寒いので、シーツに包まりながらギロリと上目遣いで睨むケーラ。


「な、何の事で御座いましょう?」ヤバい。何か分からないがめっさ怒ってる。コウモリさんはケーラが一体何を怒っているのか、頭をフル回転して考えているが、どうやら分からない。


「ナリヤ姉さんに、タケトがボクを誑かしている、とか言ったでしょ?」だが、グルグル頭をフル回転している間に、早々にケーラから答えがやってきた。


「そ、その通りでは?」え? 違うの? とびっくりしているコウモリさん。


「違うよ! ある意味逆だから」


「は?」このお方は何を仰っているのだ? と、つい小さく呟いてしまうコウモリ。


「タケトにボクから大好きだってアプローチして、そしてゲットした大事な大事な未来の旦那様なんだよ!」


「ええええええ?」ケーラからの信じられない告白に、ものっそい呆気にとられるコウモリ。コウモリだけど器用に口をパクパクさせています。


「な、何と言う、恐ろしい事を……」コウモリ口をパクパクさせながらも、器用に本音を口走るコウモリさん。


「もういい加減腹たってきた。使役解除する」恐ろしいって何だよ? とイラっとした口調で呟きながら。


「そ、それだけは! それだけはどうかご勘弁を!」必死な声で許しを請うコウモリ。使役解除されると、理性も知識もないただの弱いコウモリの魔物になってしまう。それだけは絶対に阻止せねば。


「そろそろ許してやれ、ケーラ」そんな騒がしいやり取りをしていた最中、突然部屋の外からドア越しに声が聞こえてきた。


「え? もしかしてナリヤ姉さん?」そしてよ良く知っているその声に驚くケーラ。


「ああそうだ。あー、それと、タケト。聞こえるか? 最中に邪魔立てして悪かったが、出来れば着替えて貰えると助かる」ケーラに返事しつつ、ちょっと恥ずかしそうな声色で健人にもドア越しで声を掛けるナリヤ。


「あ、はい」妹ケーラとイチャコラしていた現場にお姉さんがやって来ていた。それがとても恥ずかしい健人。言われた通り、いそいそと服を着替えた。それを見て、仕方無さそうにブスーと頬を膨らまし、不機嫌そうに同じく服を着るケーラ。


「モルドーが姉さんを連れてきたのかあ」はあ、とため息をつくケーラ。もうちょっとイチャイチャしたかったのに、せっかく愛の告白をし合って、盛り上がっていたというのに邪魔された。プンスカしているケーラ。


ケーラの言う通り、ナリヤは王城前で別れてから、アグニ側の入口前の村で借りていた馬を返しに行き、そして今度は再びメディー内で馬を調達して、モルドーと合流し、ケーラの居場所をモルドーに教えて貰って、こうやってやって来たのである。


 夜とは言え寝るにはまだ早い時間帯だったので、気にせずやってきたナリヤだったが、まさか健人とこんな早い時間からイチャコラしているとは思わず、困っていたところで、コウモリさんの突撃があったのである。


「まあ、また時間取ってゆっくりしような」着替え終わって優しく頭を撫でる健人。そして嬉しそうにはにかむケーラ。さっきの健人からの告白が、相当嬉しいようである。


 そんな二人の様子を呆然と見つめるコウモリ。まるで夫婦のような雰囲気を醸し出している二人に戸惑っている様子。


「本当にこの二人は心の底から慕い合っているようだ……。信じられん」魔王の娘であるケーラと、人族の黒髪の男との仲睦まじい様子が現実として目の前にある。ケーラの言う事が嘘でなく、人族の男が誑かしていた訳ではない証拠だ。


「……ケーラ様。お覚悟はなされておられるのでしょうな?」真剣な言葉遣いで質問するコウモリ。


「モルドーに言われるまでもないよ」いい加減鬱陶しいなあ、と思ってイラっとした口調になるケーラ。


「ボクはタケトの奥さんになるの! もうこれは決定事項だから!」なのでややキレ気味にモルドーに怒鳴ってしまった。


「なら、私から申し上げる事は何も御座いません。今日参りましたのは、ナリヤ様をお連れするだけでしたので」


「それも分かってるよ。そういやヘンからの返事はいつ頃になりそう?」うんしょ、とショートパンツを履きながら、ふと思い出して質問するケーラ。


「メディーであれば後一ヶ月程度かと」


「思ったより早そうだね。あ、モルドー。そこの窓直しといてね」じゃあ、一ヶ月はメディーから離れないほうがいいかな? とか思いながらコウモリに指示するケーラ。


「……え?」びっくりするコウモリ。どうやって直せば良いのだ? とか呟きながら。でも結局窓は、宿の主人に健人が声を掛け、直して貰ったのでした。お金だけモルドーから徴収して。



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