またもデーモンそして新展開?
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ありがたいこってす(´;ω;`)ウゥゥ
たる様作 真白と健人
管澤捻様作 ケーラとリリアム
「先行ってるぞ!」王妃はここにいて助かっていた事は分かったが、魔物がいると聞いては放っておけない。被害が拡大する前に倒さないといけないと思った健人は、リリアムに声を掛けた。
「無理よ! ドノヴァンはデーモンになったのよ! あなた達が行ったところでどうにもならないわ!」そんな健人にソフィアが大声で制止した。デーモンはとても強力な魔物だ。たかが三人の冒険者が向かったところで、対処できるわけがない。そう思ったのだ。
「お母様。デーモンなら倒した事がありますのよ。この三人で」
「「え?」」リリアムの一言に、まさか、と言う顔をするソフィアとライリー。デーモンは最低でもレベル65はある最強の魔物。隊長格で兵士の中で最も強いとされるファンダルが十人いて、ようやく抑えられるといったくらいの魔物なのに、倒した事がある? 三人で?
「そうだ。グオール将軍は?」「はっ! 別の者が呼びに向かいました」リリアムの言葉を訝しがりながら、ライリーはふと思い出したように兵士に確認した。
「と、言う事は、グオール将軍がデーモンと戦っているのか」それに気づいたライリーが不味いな、と顔をしかめる。確かにグオール将軍は強い。兵士隊隊長のファンダルより格上の存在だが、それでも彼だけで倒すのは流石に厳しい。グオール将軍の他に兵士がその場に複数いても難しいだろう。
「とにかく急ごう」「そうだね」健人の声掛けに応えるケーラ。確かにデーモンを倒した事はある三人だが、強敵には違いない。ある程度戦力になる自分達も行ったほうがいい。何か言いかけたソフィアを兵士達とライリーに任せ、とりあえずリリアムを含めた健人達三人は、王妃の部屋に急いだ。
※※※
「ぐおおお!!」既に腕が元通りくっついているデーモンが振り回す槍を、何とか盾で受け止めるグオール。ガイン、ガインと金属同士のぶつかる鈍い音が王妃の部屋の中に響き渡る。そして余裕のデーモンに対し、グオールは必死になってギリギリのところで何とか受け止め、またはいなしている。
「ふん」大した事ないな、と、グオールの必死の形相に対して半ば呆れ顔のデーモン。今度は少し力を込めて、上から一気に槍を振り降ろした。音速に近いそのスピードに、何とか反応して剣で受け止めたグオール。だが、その圧で徐々に押され、立膝をついてしまった。
「うがああ!」そしてその剣戟を抑えられず、そのまま尻餅をついてしまう。隙が出来たグオールの腹めがけて、槍を突いたデーモン。
「シャドウショット!」だが、そこでケーラの放つ黒い弾丸が、デーモンの目に数発当たった。「グラアア?」突然の強力な目くらましにふらつくデーモン。
「大丈夫ですか?」その一瞬の隙に、健人はグオール将軍に急いで近づき、デーモンから引き離した。
「あ、ああ。お前達は誰だ?」出で立ちからどうやら冒険者だろうとは想像できたグオールだが、そもそも一介の冒険者が王妃の部屋まで来ている事自体おかしい。
「グオール将軍。あのデーモンは私達にお任せ下さい。あなたは下がってて」健人がその返事をする前に、グオールにそう言ってビリリとまたもロングドレスのスカートをちぎり、動きやすいようミニにするリリアム。
「リリアム王女殿下! お戻りになっていたのは聞いておりましたが。いやそれより、下がっていろ、とは?」お任せしろ? そんな突拍子もない言葉が聞こえた気がしたが? グオールもメイと同じく、メディーを出てからのりリアムの成長ぶりを知らない。寧ろ以前の、ただのか弱い、魔力が多いだけの王女のイメージのままだ。なのでりリアムの言葉に信じられないといった顔をしている。
「ええ。下がっていて下さい」再度グオールに伝えたところで、突然デーモンが「グルアアアアアア!!!!!」と廊下まで響き渡る程の、物凄い大きな雄叫びを上げた。
「リリアム王女、リリアム王女じゃないかあああ」ニタアと山羊の顔で口角を上げ嬉しそうに嗤うデーモン。まるで獲物を見つけたと言わんばかりに。そしてそのニヤけた口が、耳辺りまで裂け涎がボトボト地面に落ちる。
「やっぱりドノヴァンなのね」自分の名前を呼ばれ納得したリリアム。そして一見おぞましい雰囲気のドノヴァンデーモンに臆する事無く、向き合ってダガーを構える。
「俺の女、俺の女あああ」そう呟きながら、ヘッヘッヘ、とまるで犬の発情期のように呼吸が荒くなるデーモン。その様子に少し引いてしまったリリアムに健人が気づき、サッとリリアムの前に立ち塞がった。
「あ? 貴様は何だ? リリアムは俺の女だ。どけえ! 邪魔をするなあああああ!!!」一気に殺気を滾らせるドノヴァンデーモン。そしてブンと音速に近いスピードで拳が健人に飛んでくる。だが、既に装着していた左腕の盾でそれを右にいなす。「何?」驚くデーモンを尻目に、次にオリハルコンの刀を構え、「はあ!」と居合斬りで横薙ぎに衝撃波を飛ばす健人。
「ウガアア!!」一気に上下真っ二つに分かれるデーモン。
「今だ!」「ええ!」健人のその言葉に一瞬で何か判断出来たリリアム。正に阿吽の呼吸で「ホーリージャベリン!」と唱える。光の槍がデーモンの頭に音も無く飛んで浮遊し、そこから脳天から一気に、上下に別れたデーモンに突き刺さる。「グアアアア!」苦痛で叫ぶデーモン。更にリリアムはそのまま「ホーリートーンズ」を唱える。デーモンに刺さったままのジャベリンから、無数の聖なる茨が一斉に爆発したかのように迸る。ビシイとデーモンの体の内側から、一気にサボテンの針のように、小さな無数の穴が空いた。このリリアムの攻撃は以前デーモンを倒した時と同じだ。
「ウガアアアアア!!!!」身動きもできず更なる激痛で絶叫を上げるデーモン。
「やっぱり前のデーモンより弱いね」ケーラが構えたまま呟く。以前アクーの外の道で、ムウージュを追いかけた時に遭遇した、健人とケーラを瀕死に追い込んだデーモンは、事前に沢山の人間や馬を喰らい力をつけていた。そのおかげでそのデーモンは、少しばかりレベルも上がっていたのだ。だが、このドノヴァンデーモンはまだ成り立てで、そして人を喰らった訳ではない。なので健人達が以前倒したデーモンより弱いのである。
その上健人達三人は、その時にデーモンを倒した事でレベルが上っている。なので前回と同じく、リリアムがとどめを刺した方法で攻撃すれば倒せると考えたのである。
「……でもおかしいわ。生気が抜けないみたい」「……ほんとだね」臨戦態勢を崩さないまま、リリアムとケーラが言葉を交わす。ホーリートーンズのせいで身動きが取れないデーモンだが、未だ縦長の瞳はギョロリとこちらを睨み、殺気は収まっていない。そして徐々にホーリートーンズの効果が薄れていくと同時に、デーモンの体に空いている無数の小さな穴が徐々に閉じていく。更に、既に上下に分断されていた体は元通りにくっついている。
「ドノヴァンって確か大神官だろ? 光属性の耐性があるんじゃないか?」健人の言葉にハッと気づくケーラとリリアム。
「なるほど。じゃあ、闇で試してみるよ」次にケーラが一歩前に出た。シューシューと音を立て、徐々にホーリートーンズで空いた穴が塞がっていくのを待たずに、ケーラがトンファー二つを、長い方を銃身に見立てて突き出した。そしてどんどん魔力を長い方の銃口に見立てたところに溜めていく。その中心から黒い円盤が広がっていく。
「いっけえーー! シャドウビーム!」ズキューム! と、とある有名な白いモ○ルスーツの持っているライフルが放つビームみたいな音を立てながら、トンファーの先から黒い光が飛んでいきデーモンを襲う。但し、ケーラはデーモンの体全部に当たるように意識して、やや縦の扇形に拡散するよう放った。
「グ、グオ」咄嗟にデーモンも口を開いて黒い光を放ち抵抗しようとするも、ケーラのシャドウビームの方が速かった。間に合わず全身に黒い光を食らうデーモン。
「ゴロアアアアア!!」激痛に叫ぶデーモン。更にその威力のせいでふっ飛ばされ、奥の壁にズガーンと激突した。
「……倒せないね」結構な魔力を使ったので、ふう、と一息ついてトンファーを下ろすケーラ。そしてケーラの言う通り、ダメージはあったようだが致命傷には至っていない様子だ。
『ご主人様。ちょっと細工するにゃ』そこで後ろの方で様子を見ていた白猫が、念話で健人に声を掛けた。
『細工?』『とりあえず普通に攻撃してみてほしいにゃ』健人の返事にすぐ答える白猫。
突然の白猫の提案が気になったが、とりあえず言われた通り、オリハルコンの刀をスラリと抜いた健人。
「はあ!」そして奥の方で床に座った状態になっているデーモンに一気に近寄り、袈裟斬りに斬りかかった。するとその瞬間、健人の刀が、白く、まるでライト○イバーのように光った。そしてそのままデーモンを一刀両断。
「ガ、ガアア……」斬れたところからシューシュー紫の煙が立ち昇り、フッとデーモンの目から生気が消えた。
「……どういう事だ?」リリアムでもケーラでも決定打にならなかったのに、何故自分は出来た? 不思議に思って再度刀を見ると、光は消えていた。
『細工って何したんだ?』『あ。またもやレベルがあがったにゃ。これで説明できるにゃ』
健人が念話で白猫に質問したタイミングで、それに答えずレベルが上った、と嬉しそうに白猫が念話で呟く。
そして、そんな三人の戦いぶりに、ずっと尻もちをついたまま口をあんぐり開けて唖然としているグオール。
「本当に、本当に三人だけでデーモンを倒した……」そして信じられないといった表情のまま呟いた。
更にグオールは、白猫を見て普通の猫じゃない事に気づく。健人の刀が光った瞬間、白猫も全身、光に包まれたのを見ていたからだ。
「……もしかしてその猫、神獣ではないのか?」
※※※
『まだ見習いだけどにゃー』何だかテレテレしている白猫。
リリアムがファンダルの腕を治療している間、グオールが発した言葉に、念話で白猫が健人に答えた。
『しんじゅう? って何だ?』さっぱり意味がわからない。心中? いやきっと意味は違う。だが、それ以外で聞いた事のない言葉に戸惑う健人。
『神の獣と書いて神獣だにゃ。健人様』あ、健人様って言えたにゃん、と嬉しそうにする白猫。
『え? 真白、今俺の事健人様って……』神の獣、という不可思議な言葉より、(健人様)と言われた事に反応する健人。
『どうしてかにゃん?』首をコテンと傾げる白猫。どうも当人、もとい当猫にもよく分からないらしい。レベルが上がったからかにゃ? と呟きながら。
「あ、えーと、お主達は……」「あ、リリアム王女と共に旅をしていた冒険者の健人です」「ケーラです」
部屋の入口の外で、デーモンの死骸を前に、白猫と見つめ合いながらずっと黙っている健人を不思議に思って声を掛けたグオールが、二人に声を掛けた。さっきは緊迫した状況だったので自己紹介が出来なかったので、このタイミングで初めて名乗った二人。
「なるほど。だから王城の中にいたのか。儂はグオール。獅子の獣人だ」宜しく、と握手を求めるグオールに初めましてと挨拶し、握手に応じる健人。そう言えば真白以外の獣人に、面と向かって話するのは初めてだ、とふと思う健人。
「で、その猫だが、やはり神獣なのか?」そして挨拶してすぐに質問するグオール。何か気になっているようである。
「本人は見習い、と言っているようです」
「……やはり意思疎通出来るんだな」ふーむ、と顎髭を触りながら考え込む様子のグオール。見習い、という事の意味は不明だが、それでも神獣だとは認めている。意思疎通出来るのは、この猫がただの猫ではない証拠だ、と心の中で考えながら。一方健人は、この獣人グオール将軍が何を知っているのか、もっと知りたくなった。
「すみません。神獣って何ですか?」
「我々獣人に伝わる逸話で、神の力を携えた獣を神獣と言うのだ。というか、そこに神獣らしきものがいるのに、その事も知らなかったのか?」
「この猫と意思疎通出来たのが、つい最近なんです」
「そうか。まあ、そもそも神獣自体、相当珍しいんだがな。儂も見るのは初めてだ」なるほど、とそう言ってマジマジと白猫に顔を近づけ見てみるグオール。スンスンとライオン顔の鼻を動かしながら。そんなグオールに少しビクっとしながらも、何となく見つめられているのを我慢している白猫。何だか恥ずかしいらしい?
『そうだにゃ。さっき白い蜘蛛の糸みたいなので捕まりそうになったのを解いたり、今健人様の武器に付与したりしたのも、神獣効果にゃ』謁見の間でライリーがホーリーバインドを唱えるも、それを消去した事、さっきのデーモンとの戦いで、刃が光った事、これらは全て、自分が起こした現象だと説明する白猫。
『それが神獣効果、か』しかし、神獣、神の獣という大層な生き物に変わったと言う事は、もしかしたら、真白には戻れないのだろうか?
「我々獣人の古くからの言い伝えでな、神獣は主に忠誠を誓い、主を神の力で命がけで守るそうだ。そして、人の姿にもなれるらしい」そこでグオールから、健人が聞き逃がせない衝撃の事実が語られた。
「……え?」人の姿になれる?