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徐々に見えてくる様々な策略

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークしてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m


何とか今日の更新間に合いました^^;


 ※※※


「リリアムどうしたんだろうね? マシロさんもあれから連絡取れないし」


「……」


「タケト? ねえタケト?」返事せず難しい顔をして黙っている健人の腕を掴んで、再度声を掛けるケーラ。


「え? あ、ああ。そうだな」隣に座っているのに、ケーラの言葉が全く聞こえていなかった健人。心ここにあらずと言った様子で、ずっと深刻な顔をしている。二人は今、訓練場から元いた応接室に戻ってきている。ビーナルがリリアムの状況について確認しに行っている最中、この部屋で待機していた。


「……心配、なんだね」ケーラの言葉に黙って頷く健人。その顔は、ケーラが今まで見た事ないような、物凄く不安気な表情だ。


 そんな健人をじっと見つめ、それからコテンと肩に頭を乗せるケーラ。


「心配し過ぎ。そしてリリアム羨ましい」


「何言ってんだ。ケーラが同じ状況だったら」「分かってるよ」健人の言葉を遮るケーラ。自分の事も、リリアムと同じくらい大事に想ってくれているのは良く知っている。それでも甘えたくなったケーラ。


「それでも、こうやって真剣に心配されているリリアムに嫉妬しちゃった。もしかしたら、ボクがガジット村で捕まった時、リリアム同じ気持ちだったのかも」そのまま腕を絡ませるケーラ。


「ごめんな」二人共同じくらい慕っているという、都合のいい状態が申し訳なく思った健人。


「ホント律義の真面目人間」フフっと微笑みながら、チョンと健人の鼻先を人差し指でからかうようにつつき、キスをする超絶美少女。


「ボクにも甘えてね。ボクだってタケトの力になりたい」そして真っ直ぐな紅い美しい瞳で健人を見つめるケーラ。


 ありがとな、と答えながら健人は、ケーラの肩に腕を回す。そして甘えるようにケーラは健人の肩に頭を預ける。二人だけの甘い空気が漂う。だが、それでも健人の顔色は優れない。ケーラの優しさも有り難いが、リリアムが気になってしかたない様子。


「あー。お取込み中のところすまんが」そんな甘い雰囲気を醸し出している二人に耐えかねたかのように、ウオッホン、とわざとらしい咳払いして自分の存在を伝えるビーナル。いつの間にか部屋に入っていて扉の前に立っていた。ノックしたが返事がなかったので入って見たら、二人の世界に入っていて、どちらも気づかなかったのである。


 びっくりして二人は慌てて距離を取る。そしてサッと座ったまま居住まいを正す健人とケーラ。


「「ア、アハハ」」そして二人して苦笑し頭を掻く。ケーラがリリアムを呼び捨てにしていたところは聞かれていないようだが。


「しかし、お前は魔族なのだろう? 人族の男と、その、そういう関係になるのは良いのか?」ケーラに対して質問を投げかけるビーナル。呆れるよりもその事に驚いていた。魔族が人族を見下しているのは良く知っている。壮年の彼は、五年前の和平交渉まで、魔族と何度も戦ってきた歴史を見てきているのだから、二人の関係を不思議に思うのは当然である。


「ええ。いいんです。彼は種族の問題なんか大した事ないって思えるほど、ボクにとって大事な、素敵な人なので」臆面もなく、それでも照れているのだろう、少し頬を赤くしながら、ニコっと美しい笑顔でビーナルに微笑みかけるケーラ。ビーナルの知っている、凶暴な魔族のイメージとは程遠い、まるで天使のようなケーラの笑顔に驚きつつも、この二人はとても仲睦まじい事を理解した。


「それで、リリアム王女はどうしたんですか?」そして改めて真面目な顔になり、質問する健人。


「ああ。どうもリリアム王女殿下と共にいた猫が、陛下に何かやらかしたらしいのだ。だが、未だ捕まっておらんので、同行していたリリアム王女殿下も同罪との事で捕まったようだ。王女殿下が捕まっておれば、猫も主人を探すため隠れているところから現れるだろうと言う理由もあるらしい。そして王女殿下は、今は隔離の部屋にいるらしい」説明しながら、柄のない眼鏡を指でクイと上げるビーナル。


「隔離の部屋? どんな部屋なんですか?」何やら余り聞こえのいい名の部屋ではない。心配になって質問する健人。


「その部屋の中では、どういう理屈か解明されておらんのだが、魔法が使えないのだ。リリアム王女殿下は光属性持ちだから、歯向かえないよう、そこに閉じ込めた、と言う事だろうな」


「なるほど」魔法が使えないだけなら、とりあえず大丈夫だろうと一先ず胸を撫で下ろす健人。それでも、閉じ込められているなら、何とか助けたいと思うのだか。


「それとな、ケーラとか言ったな。陛下がお前にだけ会うと言っておられる」


「ボクだけですか?」驚くケーラ。


「チラっと聞こえたのだが、陛下は猫を、魔族であるお前が使役した魔物か何かだと思ったらしい。それで、猫を探し出すために、お前だけ呼ばれたのだ」


「そうなんですか」マシロさん、一体何やらかしたんだろう? 疑問を感じずにはいられないケーラ。


「真白、あ、いや、あの白い猫は、実は俺が飼い主なんです。猫が王様に何をしたか分かりませんが、何か仕出かしたなら責任は俺にあります」そこで健人が口を挟んだ。


「では、陛下の仰るように、魔物ではないのだな?」クイ、と柄のない眼鏡を指で押し上げ質問するビーナル。


「違います」はっきり否定する健人。ただ、普通の猫ではないのだが。


「ふーむ。そうか。分かった。なら、タケトとか言ったな。お前も陛下のところへ行ったほうがいいな」使役している魔物ではない事を説明させるためにも、ケーラと言う魔族と一緒に、このタケトと言う者も、陛下に会った方が手間が省け説明が早いと思ったビーナル。


 この二人は、リリアム王女殿下を城まで送り届けたらそれで終わりの筈だった。陛下よりそう指示されていた。だが、猫の件は相当お怒りであるし、使役された魔物と誤解している上、飼い主はリリアム王女ではなく、このタケトという冒険者だと言う。なら、陛下の命令に反するとしても、二人を連れて行くのは解決の近道に違いないので、そこはきちんと説明すれば、陛下も納得するだろう。そうビーナルは決めたのである。


「お願いします」そして思わぬ形で王に会える事になった健人。だが、本来の目的、リリアムとの関係について話す事は、どうも出来そうにない気がしていた。リリアムは今、隔離の部屋と言うところにいるわけだから、リリアムいないところで、自分はリリアム王女の彼氏です、なんて話をしても、気狂いだと思われるだけだ。


 何にせよ、本来自分のような庶民が会えるはずのない、メルギド王と面会できるのだから、とりあえずどんな人物か知るにはいい機会だ、と前向きに考える事にした健人だった。


 ※※※


「失礼致します」


 一礼し、姿勢を正して入っていく、白服の男。目の前には、天蓋付きの立派なキングサイズのベッドの上に、痩せた裸の壮年男性と、左腕に木の腕輪をつけた、複数の裸の美女が、シーツ一枚で身を隠し寝そべっている。


「ギズロット様がおいでです」そんな痴態を見ても気にする事なく、慣れた様子で来客の事を伝える白服の男。


「おおそうか。では、行かねばならんな。着替えるので少し待って貰ってくれ」裸のままベッドから飛び降り、そして裸の美女達に、服を着替えさせる壮年の男。


「かしこまりました」そして報告を終え、白服の男は頭を下げ出ていった。


「多分、そろそろだろうな」そう呟きながら、裸の美女達に自らの白いローブを着替えさせ、そしてベッドの脇の机においてあった、飲みかけのワインをグイと一気飲みし、部屋を後にした壮年の男。そして急ぎ足で階下の応接室に向かって行った。


「やあやあ。お待たせしましたかな?」応接室の扉を開け、ニッコリ微笑んで挨拶する壮年の男。


「こうやって会うのは久々だな、ドノヴァン」気にするな、と手をヒラヒラさせる魔族の男こと、ギズロット。


「今日私がわざわざやって来た理由は、まずはムルージュという男についてだ」


「ムルージュ? 確かアクーの神殿の大神官だったはずでしたが?」首を傾げる、ドノヴァンと呼ばれた男。


「そうらしいな。今は我々の研究所にいる」机の上に置かれたお茶を一口飲んで、話を続けるギズロット。


「アクーで失態したらしくてな。ついでと言っては何だが、捕まえて光属性魔法の研究に使わせて貰っているのだよ。お前も大神官なのだろう? 確かムルージュはメディーにもいたはずだ。だから報告したまでだ」


「これはまた律儀にありがとうございます」揉み手をするように手をスリスリしながら、お礼を言うドノヴァン。


「でも、ムルージュとは然程付き合いもないですし、お好きなようにすれば良いかと」


「言われるまでもない。もうそろそろ捨て時だから、魔物にして解き放つ予定だ。まああいつのおかげで、光属性に弱い我々の弱点克服の実験は結構進んだのだがな」


「それは良かったですな。間接的にとは言え、私達もお役に立てて何より」ヘコヘコしながら話すドノヴァン。


「で、今回はこれだ」指をパチンと鳴らすギズロット。それを合図と受け取った、傍らにいたもう一人の魔族の男が、大きな袋から沢山の魔薬を無造作に机に出した。数にして百個はありそうだ。ただ、今まで預かっていた魔薬より、相当小さい。今までのは直径10cmくらいだったのに対して、ここに出されたのは直径2cm程度だ。一見丸薬のように見える。


「これは魔薬ですかな? いつもと同じで宜しいので?」


「いや、実験はもう終わりだ。量産体制も整った。そろそろ、本格的に開始する」そう言ってニタアと嗤うギズロット。口の中がはっきり見えるくらい裂ける口。中の白い鋭い牙を見て、戦慄するドノヴァンだが、それを表情に出すまいと、必死に平静を装いつつ、額に汗を滲ませながら、ニコニコしていた。



ただ、大変恐縮ですが、一旦更新を一週間程止めたいと思いますm(__)m


理由は、

書き溜めがなくなった事

最初の頃書いた小説の修正をやりたい(ご指摘頂いたところが気になった)

新たな小説を書きたいのでプロットを練りたい


初投稿からずっと更新を続けていて、ずっとお読み頂いていた方々には

申し訳ありませんが、ご容赦頂きたく存じます。



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