腹ペコ白猫
いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m
ブックマークしてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m
ずっと毎日更新し続けてきましたが、明日は更新できないかもです・・・。
と言うのも、まだまとまっていないのです><
何とかまとめるよう努力しますが、明日もし更新できなかったらごめんなさいm(__)m
『いい臭いだにゃー』
どうやらここは調理場のようだ。美味しそうな臭いが充満している。そういやさっきは食事する寸前だった。毒入りスープのおかげで食べられなかったのだ。それを思い出し余計にお腹が減る白猫。
『あれは毒、というより、ケーラが持ち歩いてるアレに近いにゃ』そう心の中で呟きながら、ふと匂いに釣られ、物陰から出てしまった。
「ん? こんなとこに猫がいやがる」料理人の一人が白猫に気付いた。言い方からして、どうやらあの件は知らないっぽい。
「ごろにゃーご」可愛く甘えた猫なで声を出しながら、料理人にスリスリしてみる白猫。おこぼれに預かりたいのだ。
「ったく。ほら」可愛らしい仕草に、ついやられたらしい料理人は、魚をつまんで白猫にポイと投げた。それを飛び上がって空中でナイスキャッチ。そして「にゃーご」と、まるでありがとう、みたいなイントネーションで鳴く白猫。そして早速がっついた。
「へへっ、可愛いやつだ。どこから入ってきたんだ?」優しく頭を撫でる料理人。本当はご主人様以外に頭を撫でられるのは嫌なのだが、ご飯を貰ったお礼だとばかりに、頑張って辛抱している白猫。
そして貰った魚をぺろりと平らげたところで、慌ただしい様子で執事達が駆け込んできた。
「ここで白い猫見かけなかったか?」息を切らせ料理人に質問する執事の一人。
その言葉を聞いた白猫は、開いた扉からぴゅー、と一目散に逃げていった。
「あ! いたぞ! そっちに逃げたぞ!」急いで追いかける執事達。一方うまく料理人を拐かして? 腹ごしらえが済んだ白猫は絶好調とばかりに執事達からまんまと逃げ遂せた。
『そもそもボス張ってた私がすぐ捕まるわけないにゃん』フフンと、言ったか言わないかは分からないが、キョロキョロしながら探している執事達を小馬鹿にしたような感じで物陰から見つめる白猫。
『しかし、リリアムどこ行ったにゃー』健人かケーラなら居場所が分かるが、リリアムは分からない。闇雲に探すよりも、ヒントを得たほうがいいと思った白猫。向かった先は謁見の間だ。
※※※
「まだ見つからんのか!」バンと玉座を叩き、苛立つメルギド。その怒りの様子に、怯える執事達。
「あなた。あんな小さな猫ちゃん、こんな広いお城の中で見つけるなんて、相当難しいと思うわよ?」ソフィアが執事達の擁護するかのように話しかける。
「確かにお母様の言う通りですね。しかし、どうしてあんな事したんだろう?」不思議そうに考え込むライリー。いきなり何の前触れもなく、お父様のスプーンをキックしたのが、どうも不思議だ。それまでずっと大人しかったのに。しかもその後、後ろ足で立っていたような? そう言えばリリアムが、スープに毒が入っている、と言っていた。だからお父様にスープを飲ませまいとして邪魔をした。だが、本当に毒が入っていたとしても、何故それが分かったのか。
「そう言えば、猫にあるまじき動きをしていたな」ライリーが考え込んでいる様子に、メルギドも白猫の猫らしからぬ動作を思い出した。
「あれはただの猫じゃないのか? まさか、魔族が使役している魔物ではないだろうな?」ふと気づいたようにメルギドが声を出す。
「もしかして、リリアムと同行していた、魔族が関係しているのでしょうか? リリアムと共に旅をしていた冒険者の一人が、魔族だったはずです」
もしそうなら、リリアムはあの猫の主人ではないのかも知れない。猫をあぶり出すために一応リリアムを捕らえはしたが。何だかよく分からなくなってきたライリー。使役された魔物と言うのは、主人ではないリリアムの側にずっといる事が出来るものなのか?
ナリヤにずっと付いていたモルドーのように、魔族によって使役されている魔物は、主人に逆らわなければ、ある程度行動が自由なのであるが、ライリーは人族なので、魔族の使役している魔物に関して、よく知らないのは仕方ないのである。そして、当然ながら、白猫は使役されている魔物ではない。
「失礼致します」ライリーとメルギドとの会話の途中、ビーナルが謁見の間にやってきた。
「丁度良い。ビーナル。リリアムと共にいた冒険者は、まだ城にいるのか?」ビーナルの用件を聞く前に、質問するメルギド。
「ええ。未だ待たせておりますが。それより、リリアム王女殿下は、どうなされたのです?」その確認のために、ビーナルはここに来たのである。
「一緒にいた猫が、我に失礼を働いたので、猫を連れてきたリリアムは隔離の部屋に入れておるのだ。猫は取り逃がしたままだがな。ビーナル。冒険者はまだいるのだな。なら、魔族の者だけここに連れて来い」
「魔族だけ、で御座いますか?」訝しがるビーナル。
「いいから早くしろ!」イライラした様子で怒鳴るメルギド。リリアム王女殿下と一緒にいた猫が、失礼を働いたらしいので、お怒りなのだろう。何を仕出かしたか分からないが。とにかくリリアム王女殿下の件について一応把握したビーナルは、言われた通り、魔族の女だけここに連れてくる事にし、謁見の間を後にした。
※※※
「で? どういう事なのかしら?」腕を組み対峙するリリアム。
「どうもこうもありませんわ」フフ、と笑うメイドのメイ。
「答える気がないのかしら? それとも、お父様やお兄様を洗脳している事が、バレてないとでも思っているのかしら?」カマをかけてみるリリアム。魔薬は本来真ん丸なのに、メイがポケットに入れていた魔薬は、所々削ってあり歪な形をしていた。それは、洗脳のために、魔薬を削り、誰かの血と掛け合わせ、食事に混入した証拠だろうと、リリアムは推測していた。
「驚いた。そこまで分かっておられるのですね」余裕のある態度はそのままだが、それでも明らかに動揺したメイ。まさかリリアムが洗脳の事まで知っているとは思っていなかった。
「その報告のために、私はここに帰ってきたのよ。仲間と共に」やはりスープに魔薬を溶かし、洗脳していた。カマかけは上手くいった。そしてやっぱりそうだったのか、と、色々納得したリリアム。父親や兄の態度の不自然さは、それが理由だと。
「仲間? ああ、タケトさんとケーラさん、ですわね」
「! どうして知っているの?」メイの言葉に驚くリリアム。まさか彼女から二人の名前が出るとは思っていなかった。何か企んでいるのだろうか。
「昼食の準備の前に、会話しましたもの。リリアム王女殿下が、どのようにお変わりになられたか、知りたかったので」メイは事前にリリアムと共に冒険者二人が城内に入ってくるのを知って、情報収集したいがために、わざわざ仕事を放り出して抜け出し、二人を部屋で待機していのだった。残念ながら、大した情報は得られなかったのだが、それでも、相当信頼関係が厚いのは把握できたメイ。
「でもまさか、絶対命令書まで発行したというのに、それに逆らうとは思いませんでしたわ」若干呆れた様子で話すメイ。
「何故あなたがそこまで知っているの?」リリアムの言う通り、一介のメイドが、王直結の絶対命令書の事など、本来知っているはずがない。しかもリリアム個人に充てられた指令書だから、知っているのは極一部の地位の高い者だけのはずだ。
メイはそれに答えず、ダガーを取り出し構えた。もう片手には、あの紫の塊を手に持っている。
「殿下にもこれを口に入れて貰います。幽閉場所がここで本当良かったわ。魔法が使えないですものね」
その言葉に返事せず、黙って身構えるリリアム。いつも使っていたオリハルコンのダガーは既に手元にないので素手ではあるが。
「フフフ。私に逆らえるとお思いですの?」メイは元々王都直属兵士の隊長である。女性ながらに隊長格までのし上がる程の実力者だった。リリアムが十歳になった頃、メイが専属の侍女になった理由は、その実力も認められたからである。容姿端麗な上、王女と言う立場であるリリアムをつけ狙う輩が増えてきたので、警護も出来る上女性であるメイが、侍女に抜擢されたのだった。所作や振る舞いなどは元々問題なかったメイ。そう言った意味で、彼女は侍女として丁度良い人材だったのだ。
歳が離れていて、身分も違う二人だが、当時お年頃だったリリアムは、アイラのように、姉のようにメイを慕っていた。それが今、自分に武器を向けている。
「ええ。出来ると思うわ」あの勇者メンバー剣鬼ヴァロックとアイラに訓練して貰い、更に健人とケーラとの冒険の日々が、リリアムに自信をつけていた。決して自惚れではないだろう。
「お強くなられたようですね。戦う力だけでなく、精神的にも」リリアムと過ごした日々を邂逅しながら、ダガーを構えつつ、優しい微笑みを向けるメイ。先程逃げた時、まさか自分が追い付かれるとは思わなかった。自分と対等に戦えるのは、この王城内ではファンダルくらいなものだ。しかもファンダルのような力自慢とは違い、スピードを使った戦闘スタイルの自分は、当然走る速さにも自信がある。なのに、そんな自分に、この王女殿下は追いついたのだ。
「私とて、あなたと争う事はしたくないわ。今でもお友達だと思っているもの」やや緊張した様子に見えるものの、落ち着いているリリアムに、若干の脅威を感じるメイ。普通親しい間柄の人間が、このように武器を構え明らかに敵対していたら、狼狽え焦り落ち着いていられないはず。なのに自分がダガーを構えているにも関わらず、動揺している素振りも見せない。
このお方を力尽くで抑え込むのは思ったより難しいかもしれない、と思い直すメイ。こんな状態でも冷静に対峙している。冒険者として活動している間、様々な経験を積んだ結果なのだろう。間違いなく精神的に強くなっている。更に、何故かは分からないが、魔薬についても良く知っているようだ。
はあ、とメイがため息をつき、ダガーを地面にカランと落とした。「やめやめ。無理みたい」そして両手を上げ、降参と言ったジェスチャーをし、諦めた様子でそう言った。
「さっき追いつかれた時に、強くなっているのをきちんと認識すべきだったわ。ねえリリアム王女」そしてニッコリ笑うメイ。
「ようやくいつもの砕けた話し方をしてくれたわね。メイ」ダガーを手放したのを見て、戦闘放棄と判断したリリアムも、ホッとした顔で構えを解いた。
「でも、どうしたのかしら? 何か事情があるのでしょう?」姉のように慕い、信頼しているからこそ、ただの敵だとは思っていないリリアム。きっと理由がある。そこを知りたいと思った。
「まあ色々とね」再びため息をつくメイ。
「良かったら話して下さる? お力になれると思うわ。一緒に旅をしていた二人もきっと力になれる」
そうリリアムが話したところで、いきなり何かがリリアムに飛んできた。「なっ!」何とかそれを手の甲で弾きいなすリリアム。手に若干の痛みを感じながら、何が飛んできたのか確認すると、メイの足元にあったはずのダガーだった。
「ウグッ?」そして突如、腹に激痛が走った。それから首に打撃を入れられ、リリアムはそのまま意識を失った。倒れこむリリアムをキャッチするメイ。
「やはりダガーを払う事が出来たわね」彼女は足元に落としていたダガーを蹴りでリリアムに飛ばし、隙が出来たところで一気に近づき、それから鳩尾に拳を入れ、気絶させたのだった
「あの弱かったリリアム王女がここまで成長するとはね。魔法の素質は元々あったから、ライリー王子に頼んでこの隔離の部屋に入れて貰ったけど、まさか格闘で私に対応できるようになっているとは」ふう、と息をつくメイ。
「王女の世話の全てを私に任されているし、ここは人がやってこないから都合が良かったわ」そう呟きながら、メイは気を失ったリリアムを抱きかかえ、ベッドに運んだ。そして先程まで持っていた歪な形をした魔薬と、小瓶に入った誰かの血を取り出した。
しかしそろそろ、隔日更新にした方がいいかも知れない。
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