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健人シェアリング

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークしてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

※やや性表現きついかも知れません。ご了承ください。

これで第四章終わります。今日は二話投稿予定です。

「お帰り」


 静かに、そして若干冷たい声で、リリアムが健人に挨拶する。


「ただいま」それに申し訳なさそうに答える健人。


「ボクもただいま、になるかな?」ケーラも一緒だ。


「リリアム。ごめん」手を合わせて謝る健人。その行動が意味不明なので「?」となっているリリアム。とにかく謝っているのは分かった模様。


「まあ、初めて一人で過ごしたのは、いい経験でしたわ」


 王都にいる時は、いつもメイドか執事がそばにいて、アクーにいる時も、邸宅で同じように身の回りの世話はメイドか執事がしていたので、いつも誰かが周りにいるのが当たり前だったリリアム。身の回りの事も、今まで自分でする事は余りなかった。


「そうだった。俺、王女を一人にしてしまった」今更ながら大変な事をしたのに気づく健人。


「気になさらないで。これからそういう事も増えるでしょうし」そう言ってチラっとケーラを見る。


「ねえ。そこでリリアムに相談なんだけど、これから日替わりで健人を共有しようと思うんだ」リリアムの視線で、ケーラが提案する。


 リリアムとケーラは、二人の覚悟と決意が功を奏して健人と恋仲になった。だが、健人は一人しかいない。なら、順番に仲良くする時間を作ろうという事らしい。


 今まで彼女はいた事はあっても、浮気はした事がない健人。しかも今回は公然と浮気するみたいな事になる。この世界ではそれでもいいらしい。前の世界の常識が引っかかると言えば引っかかる。そしてあっけらかんとケーラが健人の日替わりばんこのお付き合いを提案している。それにちょっと引き気味の健人。でも、それが現実的といえば現実的ではあるのも分かっているが。


 ……これでもし真白が戻ったら、三人ローテーションになるのだろうか? ヘビーなローテーションだ。どっかで聞いた事ある歌がこんな題名だったような気がするが。とにかくそう考えると、体が持つか心配になる健人。


「体力つけないとね」健人の考えを察したのか、リリアムがフフっと微笑みながら健人の腕に絡みつく。


「そうだね。頑張れタケト」同じく反対側の腕に絡みつくケーラ。


 ああ、多分これがハーレムってやつだ。超絶美女二人が自分の彼女。両手に高嶺の花二輪。リア充です。


「何か勿体無いなあ。俺みたいなやつにこんな可愛い子二人だなんて」


「可愛いだなんて。嬉しいわ。でも、それだけの魅力が、タケトにはあるのよ」


「そうだよ。選んだボクの目に狂いはないから、自信持っていいよ」


 二人から称賛され、頭をポリポリ掻きながら照れる健人。


「今日はリリアムでいいか? 昨日すっぽかしてしまったから」


「ちぇー。仕方ない。ボクも昨日はいい思いしたから、譲るよ」


「ウフフ。じゃあ一杯甘えるわね」


 指名されて嬉しそうなリリアム。一方仕方ないとはいえ、ちょっと寂しそうなケーラ。その様子を見て優しく頭をポンポンとする健人。


「明日は一緒にいるからな」ポンポンされて嬉しそうなケーラ。


「そうだね。待った分だけ喜びも倍増だね」そして遠慮なく健人にキスをするケーラ。


「もう! 今日は私の日なのに」そう言って今度はリリアムがキスをする。


 うーん、これは、結構嬉しいぞ? 思わずニヤニヤしてしまう健人。


「ニヤニヤしてるわよ」リリアムに突っ込まれました。


「んじゃボクは一旦宿に戻るよ。それとギルドに行ってくるね」そう言って馬を駆り、健人の家から離れていった。


「そうだ。リリアム。今日は伯爵邸に行きたいんだけど」


「そうね。でも、私はタケトと、その、二人で……」モニョモニョしているリリアム。何か分かった健人。昨晩いるはずだった健人がいなかったのも理由の一つではある。健人はニヤっとしてリリアムをお姫様抱っこして家に入った。


「キャッ」いきなりお姫様抱っこされて驚くリリアムだが、2階のキングサイズベッドが置いてある部屋に運ばれて、自分の言いたい事が伝わったらしく、顔が真っ赤になってしまうのだった。


 ※※※


「不思議ね」


 キングサイズベッドの中で、裸で健人の胸に体を預けているリリアムが呟く。


「何が?」


「性行為の事よ」


「なんやそれ」


「だって、こんなに幸せな気持ちになるなんて、凄いじゃない。知らなかったわ。好きな人に抱かれるって、こんなに心地良いなんて」


「リリアムは詩人だなあ」


「歌が好きだから、かも知れないわね」


 そう言って、健人の胸に手をそっと添える。


「この世界では知らないけど、、前の世界では、性欲を愛欲とも言ってたなあ」


「愛を欲する、か。そうね。何か納得してしまうわ」


 そして健人をじっと見つめる。


「ねえ。愛してる」


「それは早いんじゃないか?」唐突なその言葉にドキっとした健人。


「言ってみただけなの。でも、何かこそばゆいわ。そして恥ずかしい」


 恥ずかしくなって、健人から視線を外すリリアム。でも、ふと何かに気付いて、健人の顔を見上げる。


「ああでも、言ってみて分かったわ。タケトの子どもが欲しいって思うのと、愛してるって言葉を使うのは、似てるわね」


「重いです。ただでさえ王女とこうしてるだけでも相当重いのに、それ以上は耐えられないです」


 今、そこまで期待されたら、メガトン級どころではない重さだ。子どもはさすがに今は考えられない。でも、いつかそういう日が来るだろう。その時真白とリリアムとケーラの関係ってどうなるんだろうか?


「フフフ。分かってるわよ」いたずらっぽく笑い、キスをして、そしてまたもイチャコラする二人でした。


 ※※※


「結局何もせず、朝までずっと一緒にいただけと言うね」


 伯爵邸に行く予定が、結局ずっとイチャコラしてしまい行けなかった。たしかに急ぐ必要はないのだが。今は二人で、健人の家の一階の食卓で朝食を食べている。白猫も食卓の机の上で、好物の魚の干し物にかぶりついている。


「いいじゃない。なりたてホヤホヤのカップルはそんなものよ」そう言ってリリアムは健人にキスをする。向かい合って座っているので、リリアムは食卓の向こう側から体を一杯に伸ばして。


「おはよう! 次はボクのばーん!」


 突然バーン、と家の扉が開いて、ケーラが大声を出しながら入ってきた。


「おはよう、ケーラ。元気一杯だな。とりあえず今日は、ケーラの荷物を宿に取りに行かないとな」突然来たにも関わらず、笑顔で迎える健人。一方リリアムはため息混じりでケーラの様子を見ている。


「やっぱりケーラもタケトの家に来るわよね。まあ、仕方ないか。とりあえず、私は今からゲイルお義兄様のところにでも行くわ」


 そう言って諦めた様子で、リリアムは家を出た。そして繋いでいた馬に跨がり、伯爵邸に走っていった。そして健人は、ケーラの荷物を取りに行くため、繋いでいた馬を準備するため外に出ようとする。


「あ、チョット待って」が、ケーラに引き止められる。


「どうした?」


「うーんと、マシロさんにちゃんと言いたいと思ったんだ」


 そして家に入り、白猫を探すケーラ。食卓の上で健人が用意した、皿に入ったミルクを飲んでいた白猫。健人が再度家に入ってきたのを見つけて「にゃん!」と嬉しそうに鳴く。だが、一緒に入ってきたケーラを見た途端、フン、と首を向こうに向けた。それでも、ケーラは白猫の顔の方に、自分の顔を近づける。


「マシロさん。ボク、タケトとお付き合いする事になりました」そしてペコリと頭を下げるケーラ。それをじっと見つける白猫。「にゃはあ」という、まるでため息のような鳴き声? を発し、ミルクを残したまま、フイと、客室用二階の部屋に上っていった。


「マシロさん、どう思ったかなあ」


「正直何考えてるか分からないけど、でも、どうもある程度理解してるっぽいんだよな」


 二階に上がっていく白猫を見上げつつ、うーんと唸る健人。徐々に元に戻っているのだろうか? それなら嬉しいのだが。


「ねね。一緒にお風呂入りたい」白猫が二階に上がっていくのを見送った後、ケーラが突然、健人の腕に捕まる。


「唐突だな。まだ朝なんだけど。まあいいか。ケーラがしたい事するよ」


 えへへ~、とだらしないフニャけた顔をするケーラ。嬉しそうです。


 ※※※


「そして今日も、結局外出せず、朝までずっとイチャコラしていただけだったとさ」


「誰に話してるの?」


「いや気にしないでくれ。しかし、こんな怠けた生活してちゃダメだな」


今はケーラと二人、キングサイズベッドの中にいる。


「ボクはもっとずっとこのままでいい」


「ダメだって。お姉さん探さないと」


「そうだけど。だって大好きなんだもん」


「可愛いけど、やる事ちゃんとやろうな」


 ケーラの頭を優しく撫でる。ムフフ~と嬉しそうなケーラ。ふと、ケーラの額の両端の角を触ってみる健人。硬い。骨のようだ。色は肌色で、直径3cm程度で然程大きくもないので、ただのこぶにしか見えないが。


「これ、触られてどんな感じ?」


「ん~? 額触られてるのと変わらないかな? 痛くも痒くもないよ」


「しかしケーラって色も白いし、魔族と言われても分かんないよな」


「ボクは珍しいって言われてたよ。羽もないし」


「羽?」


「うん。魔族って大体背中に羽があるんだ。正確には、ボクの場合ないんじゃなくて、退化したみたいだけど。ナリヤ姉さんにもないし。以前襲われたビルグとロゴルドにも、確か羽があるはずだよ。飛べるかどうかまでは分からないけど」


 あの時は全く気づかなかったが、あの二人には羽があるそうだ。そして魔族はそれが普通らしい。ケーラがそう話しながら、綺麗な背中を健人に見せる。触ってみると、確かに羽の名残のような、骨のような感触がある。


「でも、黙ってたらさっぱり分からないな」


「そうかもね。まあ、ボク達の場合、他の種族に肌を見せるなんて事、滅多にないんだけどね」


 そうでした。この人魔族でした。しかも魔王の娘さんでした。バレたら殺される覚悟で、イチャコラしてます。半端ない覚悟で。それは自分自身も命の危険があるという事にもなるのだが。まあ、自分の事はともかく、ケーラは全力で守る、そう決意している健人。


「なんか、有難うな。俺なんかのために」そう考えると、嬉しくてつい自然に感謝の言葉が出てくる。


「おかしいよ。ボクがお礼言いたいのに。ボクの覚悟受け入れてくれた。そして今は、こんなに幸せな気持ちにさせてくれてる。ありがとね」


 裸で超絶美少女スマイルで健人に微笑むケーラ。可愛くて仕方がなくてついギュッと抱きしめてしまう。


「幸せ~。大好きな人にギュッとされて幸せ~」にゅふ~、と言う変な声を出しながら、その心地良さを噛み締めているケーラ。


 そして顔をぴょこっと出して、軽くキスをする。それが可愛くて、またもイチャコラ始める二人でした。


 ※※※


「はあ。やり過ぎだ。絶対やり過ぎだ」


 大きなため息をついて頭を抱えている健人。ここ数日の怠惰な生活に自分自身の事ながら呆れている。というか、二人が可愛すぎるのだ。それも悪い。きっと自分のせいだけではないはずだ。と、責任転嫁してしまう自分に自己嫌悪になって、またも頭を抱える健人。


「てか、どんだけ性欲有り余ってんだ? もしかしてレベル上がってそっちの方も強くなってるとか?」


 その通りだったりします。


「いいじゃない。付き合い始めたカップルなんてそんなもんだと思うよ」


 朝食を取りながら、ケーラがリリアムと同じような事を言う。フォローしようと思ったらしいが、全くフォローになってないのだが。ケーラは健人の横に座っている。ずっと腕を組んでいる。食べにくいはずなのに。


「でも、ケーラとリリアムが全く違うタイプで良かったよ」


「どう違うの?」


「ケーラは元気っ子。天真爛漫で可愛いくて守ってやりたくなる。リリアムはおしとやか。おっとりしていて可愛らしくて、一緒にいて落ち着く。どっちも好きだけどな」


「なるほどねー」


「違うタイプだから、どっちとも恋仲になれた。それは間違いないよ」


「はいはい。次は私の番ね」ノックもなく、いつの間にかリリアムが扉を開け、家に入ってきていた。


「むー。せっかくタケトとラブラブしてたのにー」むくれるケーラ。


「そういう約束でしょ?」


「はあ。タケトがもう一人いたらいいのになー」


 そうブツクサ言いながら、ケーラは健人から離れて、朝食の後片付けをし、そして健人に手を振って、今泊っている宿に戻っていった。


 それから三人は、武器と防具が出来上がる間、ずっとこんな感じで過ごしていた。


 結局、リリアムは荷物を健人の家に持って来たものの、健人の家には泊まらず、ケーラと同じ宿に泊まっていた。以前一人で健人の家で過ごした際、もっと自活出来るようにしたいと思ったのだ。宿のおばちゃんにお願いして、家事を教えて貰ってもいるリリアムだった。ケーラも同じく健人の家に荷物を持ってこず、宿に泊まったままだ。


 そして二人は自分の日になったら、健人の家に来てイチャコラするという、日替わりで通い妻のような感じになっていた。お互い同じ家に住んで、相手のイチャコラの様子が気になるのが嫌だというのもあるのだが。そして健人は空いた時間、ギルドの修練場や自分の家の庭で、ひたすらミスリルの刀で修練をしていた。


 そうやって過ごしながら十日ほど経って、ようやく三人の武器と防具が出来上った。準備は整った。いよいよ王都メディーへ向かう事になる。



今日の夕方頃、第五章投稿します。

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