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リア充もげろ

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

ブックマークしてお待ち頂いている方々、感謝ですm(__)m

次話で第四章終了です。途切れず続けて第五章更新しますので、

お付き合い頂ければ幸いです。

 涙が未だポタポタと床に落ちる。そして堰を切ったように、紅く美しい瞳から溢れて頬を流れていく。もう我慢出来ない。抑えられない。無理に笑顔を作ろうとすればするほど、逆効果になってしまう。笑顔は誤魔化し。笑顔を作るという事は、自分の気持ちを裏切っている事になるから。それほど強い決意で覚悟で、それほど強い想いだったのに。それは叶わなかった。

 

 だが、そんな悲壮なケーラの気持ちとは裏腹に、健人はそろそろ家に帰らないといけないのでそわそわしている。昨日彼女になったばかりのリリアムが今夜家に来るからだ。


 少し焦りの表情を浮かべながら、黙ってケーラの泣いている姿を見ている健人。健気で可愛い。ケーラって強がりなんだよな。守ってやりたくなる。このままいると、あらぬ方向に進んでしまいそうになる。それはまずいので、そろそろお暇した方がいい。


 しかし、一人こうやって泣いているケーラを、このまま放置していいのか? 放っておけない。真白やリリアムにはない想い。愛おしい。守ってやりたい。こんな気持ち初めてだ。


 ……真白は一緒にいて楽しい。友達のような、恋人のような感じ。

 

 ……リリアムは一緒にいて落ち着く。夫婦のような感覚。

 

 ……ケーラは? ああ、そうか。守ってやりたい。放っておけない。妹のような感情。それだ。


 突如、気づいた自分の気持ち。そしてアッハッハと突然笑い出す健人。ビクっとして驚き泣いて腫れている目で健人を見るケーラ。


「ど、どうしたの?」いきなり笑い出した健人を不思議そうに見るケーラ。


「ケーラ。おいで」その問いに答えず、そう言ってみる健人。


 意味がわからないが、とりあえず言われたとおりにおずおずと健人に身を預けるケーラ。今フラれたんじゃなかった? どうしておいで、と優しく言ってくれたんだろう?


「たった今さ、ケーラを好きなったっぽい」


「!」びっくりした顔で、泣きはらした瞳で健人を見るケーラ。「ど、どうして? どういう事?」と狼狽えている。好きと言ってくれたけど、良く分からない。


「色々気付いたからだな」


「何に気付いたの?」


 怯えるような瞳。喜んでいいのかどうか良く分からない。でも、今は想い人の胸の中にいて、その人は自分を優しく抱きしめてくれている。混乱している。


「俺が実は贅沢者だって事」


「良く分からないよ」正解が知りたいケーラ。


「そうだろうな。まあ、そこはどうでもいいかも。で、ケーラ、俺も覚悟を決めたよ。()()は俺が守る」


  ボッと火が着いたように、一瞬で顔が真っ赤になるケーラ。お前って言われた。パパにも言われた事ないのに。そしてどうしよう、嬉しすぎる。


 健人は気付いた。いや、正確には気づかないようにしていただけだった。今日の市場での件で、ケーラを守れなかった自分に腹を立てた理由。仲間だから、という単純な理由ではなかった。この子を守りたいんだって思った。それは、多分本来持つ男の本能。真白は自分を守るためにこの世界に来た。だから彼女を守るという意識は最初から殆どなかった。リリアムに対してもそうだ。寧ろリリアムは、共に生きるという解釈がしっくりくる。彼女は夫婦みたいな感じだ。


 当然この二人に危機が迫ったら、全力で守る。それは間違いない。だが、ケーラにはこの二人にはない、庇護欲を駆り立てられる感覚がある。ケーラは魔族だからそれなりに強いが、性格は脆く危うい。子どもっぽい。健気で一生懸命で、可憐な彼女は、守ってやりたい衝動に駆られる。それが恋心になった健人。


 初めて会った時、彼女に殺気を向けた時の事、そして今日、市場で男性に襲われた事、それを考えると、この子は守ってあげないといけない。これからも人族の都市を旅をするのだから。それは責任感とは違うものだ。一人の男として彼女を守りたいのだ。

 

 贅沢者というのは、三者三様に個性の違う美女達を、自分の隙間を埋めるように、恋人に出来る自分自身が贅沢だと気付いたという事。だが、それはケーラにもリリアムにも、そして真白にも関係ない。


「うん。そうだな。ケーラ。お前を守ってやりたくなったんだ。それが惚れたって事だというのに気づいたんだ」ガシガシケーラの頭を撫でる健人。照れ隠しでもある。


「な、何だよ、フッたくせに。時間くれって言ったくせに」そう言いながら涙目で嬉しそうな顔をしているケーラ。


「嫌か?」


 ふるふる首を横に振るケーラ。そしてケーラを優しく見つめる。見つめ合うもちょっと照れがある健人。そしてケーラの口にキスをした。そして口を離した瞬間、ギュッと強く抱きつくケーラ。


そして、


「う、うええ~ん」ケーラは子どものように泣き出した。


「ヒック、ヒック」


 それから暫く泣き続け、嗚咽しているケーラ。健人はその様子を優しい眼差しで頭を撫でながら黙って見ている。


「えへへへへへ~」そして目に涙を溜め、嬉しそうに笑うケーラ。ようやく自分の想いが叶った現実に、気持ちが追いついてきたようだ。


「大好き! タケト大好き!」


 そして何度もキスをする。だが、このままだと、今度はケーラとイチャコラ始めそうなので、とりあえずケーラを落ち着かせる。リリアムが家に来る前に帰らないといけない。


「とりあえず、家帰って真白にご飯あげたりしないと行けないから、家に帰るな」


 何度もキスされ、息継ぎができず、はあはあ言いながら話す健人。


「ボクも行きたい」


「今日はダメだ。ああ、分かってるって。明日また時間取るから。今日は勘弁してくれ」


「ええ~。……分かった。仕方ないなあ。タケトは約束守る人だから大丈夫だしね」


 想いは叶ったからそれで良しとしよう。そう心の中で言い聞かせるケーラ。そしてまたもキスをした。


「ほんとは離れたくない」


 ギュッと健人に抱きつき、ジーッと潤んだ瞳で見つめる超絶美少女。


「……なんでケーラってそう、可愛いんだよ」可憐な視線と可愛い仕草に負けた健人。


 そしていきなりケーラをお姫様抱っこし、ベッドに放った。ボフンとベッドで弾むケーラ。「ふきゃ」っと変な声が出てしまう。そしておもむろに仰向けにベッドに寝転がっているケーラの上に跨る健人。我慢出来なくなってしまった。


 健人が今自分の体の上に跨っている。顔がトマトのように真っ赤になる。これから何をするか分かったケーラ。


 ※※※


「もう行っちゃうの?」裸でシーツに包まって、着替えている健人を見ながら寂しそうに言葉を掛けるケーラ。


「さっきも言ったけど、家に帰らないと行けないから」ごめん、と言いながら急いで着替えを済ませる健人。


「そっか」しょぼんとするケーラ。初めて繋がった今日は、ずっと一緒にいてほしいのに。


「また明日会えるって」そう言って手を振り、急いでケーラのいた部屋を出た健人。そして宿から慌ただしく外に出る。急いで家に向かう。そろそろリリアムが家に来る。


「何とか間に合えばいいが」ブーストとアクセルを唱える。そう言えば戦い以外で能力を使うのは初めてだ。そんな事を考えながらも、緊急事態だから仕方ないと割り切る。一気に加速する健人。一応人目を気にして屋根を伝う。まるで忍者のようだな、と呟きながら。そしてものの数分で家に着いた。馬より速い。多分車と競り合っても勝てるかも知れない。ちょっと人外になってきた気もする健人。とりあえずまだリリアムは来ていないようでホッとする。


 ふう、と一息ついて、家の扉を開ける。「にゃん!」気付いた白猫が健人を出迎える。それを神妙な面持ちで抱っこする健人。


「真白。ごめん。ケーラとも恋人になってしまった」抱っこしながら白猫を見つめて報告し、頭を下げる。


「……」猫にジト目が出来るかどうかわからないが、正にそんな感じで健人を見つける白猫。


 そこで家の扉が開いた。「タケト、いるかしら?」


「いるよー」奥から返事する健人。声がしたので白猫をおろし、そして入り口まで出迎える。そしてリリアムが遠慮なく健人にキスをする。


「おかえり、でいいのかな?」


「ウフフ。ただいま」


 新婚夫婦のようなやり取りが嬉しくて、笑顔になるリリアム。そしてうんしょ、と荷物を家に入れようとする。


「ほんとに持ってきたんだな」そう言いながら手伝う健人。今日からアクーをでるまでの間、健人の家に泊まる予定のリリアム。とりあえず荷物は一旦、ドラムセットなどを置いている部屋に入れた。


「あのさ、ちょっと話があるんだけど」荷物を入れ終わって、健人が神妙な面持ちでリリアムに話しかける。


「……ケーラもなの?」すぐに気づいたリリアム。


「女って凄いね」感心する健人。バレました。


「はあ、まあ、そうなるとは心のどこかで思ってたわ」ため息をつくリリアム。


「でさ、悪いんだけど」


 ※※※


「お腹減ったなあ」


 未だ裸でシーツに包まっているケーラ。想い人は自分の初めてを奪って、そしてさっさと帰ってしまった。嬉しい。それは間違いない。ようやく報われた気持ち。ようやく繋がった想い。健人に語った話は嘘じゃない。だから、本当に嬉しい。


 でも、寂しい。


「せめて、今日くらいは一緒にいて欲しかった」ベッドで人差し指をくるくるしているケーラ。白猫に餌をあげないといけないのは仕方ない。だってタケトの大事なマシロさんだから。でも、ケーラとしては、ただの猫だと思っているので、一日くらいご飯抜いてもいいんじゃないか、とも思ったりもする。健人が急いで帰ったのは、それが本来の理由ではないのだが、ケーラは知らない。


 そろそろベッドから出てご飯食べないと。はあ、とため息をつきながら、そう思って着替えようとベッドから降りると、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。誰だろ? 


「俺だ。健人だ」


 その声を聞いた途端、裸のまま勢いよくドアを開けるケーラ。そこには息を切らせて立っている想い人がいた。目から涙があふれる。そのまま裸で抱きつくケーラ。


「ちょっと、まずいぞその格好」


「じゃあ、早く入って」帰ってきてくれた。それが嬉しくてたまらない。


 そして部屋に入って扉を締める。ずっと裸で健人に抱きついたまま、ヒックヒックと泣き出すケーラ。寂しかった想いと、帰ってきてくれた嬉しさが溢れる。


「逢いたかった。寂しかった」


「ごめんな」優しく頭を撫でる。「今日はずっと一緒にいるから」


「うん。どこへも行かないで」


 ※※※


「はあ。まあ、仕方がないわね」


 一人健人の家で愚痴るリリアム。白猫がリリアムの目の前で、食事を取っている。この後片付けも私がやるのね、そう思いながら白猫を見ている。彼女は王女なので、普段身の回りの事はメイドがやってくれていたので、雑用は余りした事ない。


  優しい健人は、ケーラを一人置いて行く事が出来なかった。だから、既に関係を持ったリリアムに一旦断るために家に来て、そしてすぐケーラの元に戻っていった。今晩も一緒にいれると期待していたため、健人がいないのが余計に残念に思うリリアムだが、もしケーラの立場だったら、今日彼がいないのはさすがに可哀想だ。そう思うと、諦めもつくのだった。


「でも、これからどうしようかしら? 多分ケーラもこの家に来るわよね? あ、でも、メディーに行くから、その間はこの家は使わないわね」


 白猫と自分しかいない家の中を見渡しながら、たまには全く誰もいない、一人というのも経験するのもありか、と考えたりするリリアム。


「だって、ケーラがずっとそうだったものね」


 ※※※


 唇に優しい感触を感じた。心地良い温もりとともに。まだこの心地良さを楽しんでいたいが。明るい日差しが窓から差し込んでくるのが朧気ながら分かる。そろそろ朝のようだ。


「大好き」


 そう呟く可憐な声が微かに聞こえる。そしてギュッと自分の体が、柔らかい気持ちいい感覚に包まれる。


「起きてたのか」


「うん。ずっと見てた。幸せ過ぎて」


 その笑顔はまるでひまわりのよう。顔全体で嬉しさを、幸せを表現しているかのような笑顔だ。昨晩またも沢山致してしまいました。ケーラは初めてだったというのに、計六回致したと思います。本当にごめんなさい。誰に謝っているのか分からないが。とりあえずごめんなさい。


 結局ケーラともこうなってしまった。後悔は……、もう後悔って何か分からなくなりました。そしてまたもや流されたなあ、と思ったりしている。だが、リリアムと同じく、ケーラの覚悟と決意も相当なものなのは間違いない。そしてケーラも、同じく愛おしく可愛く思ったのは間違いないので、ケーラの覚悟も背負おうと思った健人だった。


 真白が昔、自分と離れるかも知れないと覚悟して告白してくれた決意。リリアムの、自分の王族と言う立場を捨てると言ってまで、悲壮な覚悟と決意で伝えてくれた想い、ケーラの、自分が魔王の娘で生死に関わるかも知れないという、覚悟と決意で伝えてくれた気持ち。


 これら全てを受け入れ、三人を等しく恋人として付き合う事の重さ。なるほど、だから複数恋人がいるのは男の甲斐性なのか。三人の美女と恋仲になる事は、周りからすればとても羨ましいだろうが、その反面、相当なリスクを負う事に、改めて気づいた健人。彼は真面目だからこそ、彼女達の想いに全力で応えるだろう。


 幸せそうな笑顔を向けている超絶美少女の頭を優しく抱き寄せる。されるがままに抱き寄せられるケーラ。その想い人を見つめる瞳は幸せにあふれている。美しい双丘が健人の胸に当たる。白く美しい太ももが健人の脚に絡まる。


「まーた元気になってる」フフっといたずらっぽく笑うケーラ。


「ケーラが可愛いせいだ」


 そしてまたもや、朝っぱらから始まりましたとさ。

どうしてこうなった・・・・・・。

この二人の恋の行方はもっと引っ張るつもりだったのに( ノД`)シクシク…

鈍感主人公じゃないから、どうしても上手くいってしまう><

まあ、私の文章力の無さも原因でしょうが^^;


因みにタイトルは作者の心の叫び? のようなそうでないような。

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