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真白の変化

いつもお読み頂き有難う御座いますm(__)m

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レビューほしいなあと思ったり思わなかったり^^;

「ケーラ。ごめん。また証拠を消してしまった」ケーラに謝る健人。洞窟前でも、証人である魔族二人に逃げられてしまって、今回も証人になるはずのアヴァンを倒してしまったのだ。


「あれは仕方ないよ。タケトのせいじゃないから気にしないで。どうせ魔物になってしまってるから、倒すしか無かったんだし」


「そうだわ。寧ろ、魔薬を投げつけられて助かった事の方が重要だわ」


 ケーラもリリアムの言葉に同意する。健人が無事な事が、二人にとって一番重要だ。


 ありがとう、そう言って二人に頭を下げる健人。そうだ。魔薬をアヴァンに投げつけられたんだ。リリアムの言葉で思い出す健人。だが、あれは真白が助けてくれた。カバンから白猫を出してみる。


「にゃん!」一声鳴いて、健人の腕からするりと抜け、ぴょんと地面に降り立って、健人の周りをぐるぐる周った。そしてピョンピョンと器用に健人の体を飛び跳ね、頭上に座った。


「にゃんにゃにゃん!」健人の頭の上でご機嫌良さげに鳴く白猫。健人の頭の上で、何かステップ踏んでるっぽいです。


「「「……」」」明らかに様子が変わった白猫に、三人がポカンとしている。


「こんなに鳴くコだっけ?」


「機嫌が良いのかしら? 感情豊かになったような気がするわ」


「だな。でも、一体どうしてこうなった?」


 白猫の変わり様に驚く三人。


「あ。そういや、さっきあの部屋で、俺真白に助けてもらったんだ」あの部屋での、健人とアヴァンとの攻防は、アヴァンが影になっていたので、二人からは見えていなかった。そして以前、真白は元猫で、この世界に来たのは健人を守るためだという事は聞いていた二人だが、それは獣人の時の話だと思っていたので、まさか猫の状態でも、健人を救うとは思っておらず、説明を聞いて再び驚く二人。


「タケトを守る、という気持ちは忘れていなかった、て事なんだろうね」


「そういう事なのかしら。何というか、凄いわね」


 二人は、真白の健人への想いに感心していた。それと同時に、悲しくて寂しい気持ちも沸いてくる二人。


 そしてちょっと目が潤んでいるケーラが、いきなり健人の腕にしがみついた。ついでに、何といつもはそんなケーラに文句を言うだけのリリアムまでも、ケーラの反対側の腕にしがみつく。


 「な、何だ?」美女二人に突然腕を組まれ、びっくりする健人。


「し、心配したんですから」滅多にしない大胆な行動に、つい恥ずかしくなるブロンドの美女。潤んだ瞳で上目遣いで健人を見つめる。


「そうだよ! 今は文句言わないでよね!」反対側の腕に絡まったショートカットの美女も、目を潤ませ上目遣いで健人を見つめる。


「そ、そうか。二人とも心配かけてごめんな。そしてありがとう」


 美女二人の唐突な行動、そしてダブルウルウル上目遣いに、さすがにドギマギする健人。でも気を使ってくれているのは嬉しいので、二人の頭をポンポンとする健人。ポンポンされて二人は頬を赤らめ嬉しそうだ。


 だが、この二人の行動は、実は健人を心配しての事ではなかったりする。真白の存在の大きさを改めて知り、悔しかったのである。真白も健人を強く想っている。それが改めて分かってしまった。だから、健人に甘えたくなったのだった。


 特にリリアムは、獣人だった真白と健人が仲睦まじかった頃を知っている。当時から既に数ヶ月経っているが、白猫の行動で、忘れかけていたあの二人の様子を思い出してしまったのだ。だからこそ、普段控えめなリリアムが、大胆な行動に出たのだった。


 が、美女二人に腕を絡まれているその様子を、健人の頭の上で見た白猫が、「フギャアー!」と鳴き叫び、フーと毛を逆立てて怒った。


 突然の白猫の怒りにびっくりする3人。パっと腕を離す二人。未だフーフー言いながら、健人の頭の上で怒っている。


「どうした? 真白」怒っているようなので、白猫を頭の上から抱き上げ優しく頭を撫でてみる健人。ハッとした様子の白猫が、逆立てていた毛を元に戻し、「うにゃ~ん」と猫なで声を出して健人の顔にスリスリした。


「……嫉妬かなあ?」「……そうみたいね」


「まさか」ハハ、と乾いた笑いをする健人。だが、白猫の怒った理由を考えてみると、そうとしか思えない。しかし、嫉妬したという事は、理性と知性が戻ってきたのだろうか?もしそうなら、一体何故そうなったのだろうか?


「にゃ~ん」甘えるように未だ健人にスリスリしている白猫。確かに以前に比べ、感情表現が豊かになったようだが、理性と知性が戻った、というには、ちょっと違う気がする。より猫らしくなった、とでも言うべきか。


 実は、彼らがまだ気づいていない、とある()が、白猫の変化に繋がっているのだが。


 そして、そんな美女二人と仲良くしている健人を見て、グギギと音のような声のような何かを発し、睨んでいる複数の男兵士達。悲しそうに見つめているリシリー。グレゴーとカインツは呆れた様子だ。


「というか、そうだ、マシロはどうしたのだ?」グレゴーが思い出す。緊急事態だったので部屋にいた時は確認出来なかったが、いつも健人とペアの真白が見当たらない。


「あー。どうやら健人はマシロにフラれたようでしてな」誤解したままのカインツが、勝手に口を挟む。


「いえいえ。違います。これが真白なんです」頬ずりしていた白猫を両手で抱いて、グレゴーとカインツに見せる健人。「にゃーん」と一声鳴く白猫。


「お主は何を言っておるのだ?」グレゴーが、まるで気でも触れたのではないかと、心配そうな顔で健人を見る。まるで可哀想な人を見る視線で。


「そうか。その猫が(新しいマシロ)って事なんだな。そういやさっきマシロって呼んでたな」一方健人の肩をポンポンと慰めるように叩くカインツ。カインツの視線も可哀想な人を見る目だ。まだ何か誤解しています。おかしな方向で。


「いやだから、信じられないかも知れませんけど、この猫が真白なんですって!」カインツの勘違いにちょっとイラっとした健人が、魔族にやられ魔薬を食らい、獣人でなくなった事を簡潔に説明する。ちょっと怒りながら。


「嘘だと思うなら、アイラさんに聞けば分かります。この姿になった瞬間いましたから」


「本当にそうなのか? まあ、確かにアイラ様の名前まで出して嘘つくとは思えないしな。マシロにフラレて猫で心の隙間を埋めようとしているのかと思ったぞ」


「失礼過ぎますよ。そして代わりに猫飼うなんて、そんな惨めな事しませんよ」


「……ほんとにフラレてたら、ボクの入る隙あったかも、なのになあ」ボソッと本音を呟くケーラ。


「そうね」リリアムもつい本音を呟いてしまう。


「え?」そうね、って? 健人に聞こえてしまった。


「あ、え、いえ。その、と、とにかく、孤児達とリシリーさんをどうにかしないと、ですね」


 オホホホ、と貴族らしい高笑いをして、誤魔化そうとするリリアム。確かに、孤児達の事もそうだが、ギルドに報告したり、孤児院の崩れた瓦礫を片付けたり、まだやらないといけない事はある。


 そして、二人の美女と健人とのやり取りを、遠目で見ていたリシリーは、凄く寂しそうな顔をしていたが、健人はそれに気付いていなかった。



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