プロローグ
初投稿です。宜しくお願い致します。
誤字脱字その他表現方法など、稚拙で読みにくいところもあるかもしれませんが、
何とか完走したく頑張りますので、生暖かく読んで頂ければ幸いです。
ある日のバイトの帰り道。今日はバイトしていた居酒屋で賄いが出なかったので残念そうに帰っている一人の青年。店主がうっかり忘れていたらしい。たまにあるからまあしゃーない。次回行ったら二日分貰うつもりだし。と、割り切りながら家路を急ぐ。
彼は山辺 健人。二十四歳。フリーターで身長は170cmよりやや高めのやせ型の、ごく普通の青年である。でも毎日筋トレは欠かさないので痩せマッチョという感じ。短めに切りそろえた黒い髪に黒い瞳は日本人の特徴そのまま。趣味を考えれば染めててもいいはずなのだが、黒髪は彼のポリシーらしい。
特段彼は社会人になれなかったわけでも、社会的責任から逃げたいわけでもない。旅行したり趣味の音楽活動をしたいが為に、今まで約三十程度はバイトを経験している。現在も朝はバーガーショップ、昼からはCDショップ、夕方からは飲み屋でバイトを掛け持ちしている。
特に将来の目標もない。今の生活なら社会的責任も必要ないし、彼女は今はいないので結婚も考える必要がない。とある友人は既に所帯持ちで一戸建てを買ったらしいが、まあ幸せなら良かった良かった、と、健人にとっては他人事である。彼は現在、実家を出てアパートで一人暮らししながら、バンドメンバーとたまにライブやったり、貯めたお金で海外旅行に行ったりする。自由気ままにやりたいように生きている。それができるからフリーターをやってる訳なのだが。
そんな彼だが、お気楽なようで実は責任感と正義感がとても強い。なのでバイト先でも彼の人望は結構厚かったりする。実際何度か正社員のお誘いも貰ってはいたが、今はまだ定職に就きたいとも思っていないので、彼はそれらを全て断っていた。
そして今日もいつものように、ブルートゥース接続のイヤホンで、今度のライブで演る予定の曲を聴きながら、帰宅の途についていた。彼のパートはドラムだが、一応オタマジャクシは読めるし書ける。コードも理解出来るので、簡単なギターやキーボードなら弾けなくはない。それでもやっぱり一番好きなのはドラム。今聴いているのは以前スタジオで録音した新曲と、とあるメジャーバンドのコピーだ。コピーはたまにアレンジして曲調を変えたりして遊んだりもするし、それをライブで演ったりもする。音の修正や他のメンバーのミスがないかチェックするのは、彼の日常の一つだった。
賄いがなかったから、今日の晩飯はチキンのタルタル弁当でいいか。コンビニに立ち寄らないとなあ。「ふんふふ~ん」と鼻歌交じりで、耳から聴こえる曲の韻を踏みながら、駅から降りて歩いている健人。家までは駅から十分程度。彼は自転車より歩きのほうが好きなのだ。音楽を聴きながら歩くのは趣味みたいなものらしい。
既に夜の十一時に差し掛かろうとしていたので、街灯が連なって暗い歩道を照らしていた。遅い時間だからだろう。車の往来は少ない。歩道を行き来する人も今はいない。
その車道の横の歩道を、音楽を聴きながら歩いていると、突然自分の目の前から白い猫が車道に飛び出すのが目に入った。
「やばっ!」とつい叫んだ健人。そして飛び出してしまった猫も自分が車道に出てしまい、しまった、と思っているのか、すくんだように車道の真ん中で立ち止まってしまっている。
そこに一台の車が走ってくる。健人は咄嗟に猫を助けるべくガードレールを飛び越え、飛び出していた。そして何とか猫を抱き抱える事が出来た。
しかし、車はかなりのスピードで走ってたため止まれない。「チィ!」逃げられない健人がその場で蹲ると、「ドン!」という大きな音がした。そこでようやく車は止まった。それと同時に健人はゴロゴロと転がった。
ああ、俺轢かれたんだろうな。何故か不思議と冷静に健人はそう思った。
死んだかな? 猫は多分無事だろう。不思議と痛みを感じないな。ああ、次回のライブどうしようか? チケットまだ捌ききれてないや。てか俺の代わりのドラム、あいつら見つけられるのか? 死んだかも知れないのに、凄く冷静沈着にそんな事を考えていた健人。
そして、彼はゴロゴロそのまま転がって、木にぶつかって止まった。
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