宇宙コンビニ 俺は宇宙で便利を売る
「いらっしゃいませー」
自動ドアのカラカラとした金属音が鳴る。最近、客は少ない。
宇宙でもエロ本は売れるもんだねーとアダルトコーナーを見ていた。
電子ペーパーの普及は早かった。あの電子端末の中には昔のエロ本が
4千冊くらい入っているらしい、もちろん購入したらパソコンでも読めるし
なかにはVR空間でエッチなことができるものもあるらしい。
最近男友達と遊んでないなーと思いつつ。そろそろ彼氏が欲しいと思っていた。
そんな時
「一発芸1ドルってホントっすか」
と目の前にバナナミルクとエロ本、サンドイッチをカウンターに置いた。若い男が現れた。
「ああ、本当だよ、笑ってもらえたら1ドル店に入る」
まじっすか、とやけに興奮した男はエロ本を私に見せて。
「このポージングやってくれませんかそしたら俺笑うんで」
「そういうのは風俗店でやってください」
「そーゆーもんなんですか」と男はやけに不思議そうな目でこちらを見てきた。
ああ、そういえばこういう客最近増えたな。純粋な人間ではなく。
遺伝子組み換えられた。性欲を持たない種族。
宇宙人もたまに来るけれども、この男はそうだろう。笑いかたすらしらないのだ。
だから笑う、エロいなどというという行為が珍しく、真剣に悩んでいる。
味覚すら怪しい。
「ロニーチョコレートはどうでしょう?」と左においてある菓子コーナーの
方に手のひらを指す。
「ロニー?」と男は首をかしげる。
「さいきん話題のメーカーさんで、とてもおいしいと評判なんです」
「うまい、おいしい……」やはり男は悶々としている。
よほど気になるのだろう昔の人間の感覚が。
男はロニーチョコレートを手に取る。
「一発芸もお願いします」
やはりそうくるか……私は覚悟を決めて芸を準備する、その間0.52秒
「いきますよ、見よわが一発芸、バルバルのニガニガショー」
男は笑わなかった。しかし確かに聞いた。店の監視カメラルームから高い笑い声が聞こえた。
一発芸はうれなかったが、男は何か満足そうに帰っていった。
「ありがとうございました」
一発芸さえ通じぬ世の中になっているかもしれない。
奥のほうから店長さんが出てきてまだ笑っている。
「あれ俺は好きなんだよね。毎回ネタ考えてるの? バルニガだっけ」
「店長さんはそういうのわかるんですね。結構古い遺伝子ですか?」
「企業秘密」と店長さんは言う。毎回この人の思考回路がどうなってるか不思議だ。
元軍人とか元警察官だとは思うのだが。わからないな。
1時間30分くらいで書きました。
久しぶりに書いてみました。感想があったらぜひおしえてください。
アマチュアですが、国語や文章、文体、テンポなどいろいろ教えてくださりますとたすかります。