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勇者カノンの鎮魂歌  作者: 愛一
出会い編
6/23

少年=アルヴァニス

 夢を見ていた。


 両親と3人でセルヴァランが管理する森で暮らしていた時のだ……。

 だけどこの後、父さんは家を出て行ってしまう。


 ――俺にある約束をして――


「まっ、待っていかないで…」


「どうしたの!?アルノンーーー来て頂戴」


 俺の意識は知らない女の声により現実に戻される。


 窓からは月明りが入ってきていることからどうやら今は夜のようだ。


「はぁはぁ。ん?ここはどこだ?」


 俺が最初にみたのもは美女と言ってもおかしくないほどの人物。アルノンの妻であろうリリア。

 

 俺が倒れた時いた美女だ。


「ぅ、うあぁ」

 

 俺、情けない。


 反射的に逃げようとするが、ベットの上だったらしく頭から落ちてしまうという。

 

 なんでこんな目にあっているんだ俺…。最悪だ。


「もう。まさか―変装―魔法なんて使ってるなんて。体によくないわよ」


 え。どういうことだよ。―変装―魔法なんて俺使ってないぞ。

 

 そういえば、俺の声高くなってる気がする。

 

 リリアに言われて自分の体を恐る恐る見てみると。


 今の俺はというと……。


 手は、右手じゃ鱗のような甲骨に覆われ爪はなんでも切り裂けそうなほど鋭く、左手は右手のような鱗はところどころ生えてるが人間の手だ。右が白、左が黒のツートンの髪が床を引きずってるということは体が縮んでいのだろう。


 俺の予想が正しければ、俺の右半身はほぼ魔族、左半身はほぼ人間だ。

 多分だが少年と言ってもおかしくない見た目だろう。


「う、嘘だろ!!なんでこの姿になってるんだよ!」


 ほんとに何が起こっているんだ。本来の俺の姿。魔剣と契約したときから俺の体は成長しなくなった。 

 それを魔力により無理やり成長させていたのがさっきの青年の姿だ。

 

 だが、なぜ元に戻っているんだ。


 ん?なんか左手にある契約印が光っている……。


「「ど、どうした(の)!?」」


 呼ばれていつの間にかやってきたアルノンとリリアが口置揃えていう。


「聖剣のやろぉぉぉぉ!俺の魔力を吸い出しているのか!!」


 アルノンとリリアがキョトンとしてるがこの際この2人はどうでもいい。


 それよりもだ。

 俺の魔力は魔剣と聖剣という二本の剣により吸われていることで、絶賛魔力不足中というわけだ。


 このまま、二本の剣に魔力を吸われ続ければ魔法は使えないし、それどころか青年の姿にもなれない。


 俺は、背中にある6枚の翼を広げながら。


「おい。聖剣はどこにある!!あのなまくら剣ぶっ壊してやる。」


 この姿で言っても説得力がないだろうが……。


 俺には、一大事なんだ。


 一応、青年の姿に戻る方法はあるが、俺の魔力は本来の半分になり、魔剣も本来の力の半分しか出せなくなる……。


「ちょ、ちょっと待てくれ」


 リリアは、アルノンにくっついてガタガタ震えている。


「なんだ」


 何故、リリアは震えているのだ。


「魔力が漏れてる。それも恐ろしいほどの……」


 ふむ。魔力不足中なのだが。魔力が漏れてたか。

 というか、これくらいの魔力俺からすると漏れている内に入らないのだが……。人間には強すぎるのか?


 俺は、魔力を少し収めるとアルノンに問う。


「本当に君は何者なんだい?その魔力といい……」


 何もだと言われてもな。俺は――


「アルヴァニスだ。アルヴァニス・サタナキア」


 正確には魔族は名前とファミリーネームの間に父の名が入る。

 理由は、同じ母から生まれても父が違うということがよくあるからだ。魔族が少数しかいないということに関わってるらしいがな。


 そのため、俺の名はアルヴァニス・カノン・サタナキアが正式なのだが。

 なんせ、カノンは勇者の名だから名乗りたくない。


「アルヴァニス・サタナキア……。最後の魔王の名前だね……」


 最後の魔王?まあいい。魔王と呼ばれてた時はあったからな。


 それよりもだ。


「おい。聖剣はどこにある。お前ら人間だろう。あれのある場所くらい知ってるはずだよな」


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