家!?
転移の先は、この男の家?
いや、家にしてはでかすぎるぞ!光に照らされる緑豊な森に佇む――。
要塞ではないかこれは!!
「ここが僕の家だよ。ん?どうしたの??」
どうしたのではないと思うぞ。どう見ても森に佇む要塞。
正直、俺引いてる。
「驚いているのかな?僕、考古学者でここに研究しながら妻と2人で住んでいるんだ。まあ、僕が王様からもらったものだから僕の家みたいなものだよ」
なんだそれは、研究をしている?王様からもらった?いや、おかしいだろ。なんでこんなのもらえるんだよ!!
と、心の中でツッコミを入れる。
すると突然、目の前の男が深呼吸をすると突然大声で叫びだす。
「リリアーーー。僕だよーーー。面白い人を連れてきた「聞こえているわよ。うるさいわよ!!」」
不意打ちにもほどがあるぞ。
とにかく、かなりの音量で叫ばれたせいで隣にいた俺は、耳鳴りがする……。
要塞の入り口? の方をみると、
「あら、こんにちわ。」
美女ともいえるような人間の女性が。
なんでこんな男といるのか不思議なくらいこの女は美しいぞ。
俺を誘拐した男は、人間にしてはイケメンに入る分類だと思うが……。
自分で考古学者とは言っていたが、恰好が如何にも学者という感じの服装で尚且つ頭にかぶっている学士帽が似合っていない。
というかこの男まだ若いんじゃないのか、服装と歳があっていない気がするんだが……。俺の気のせいか?
ちなみに、目の前の女性はというと。
ほとんど黒に近い深緑色の俺と同じく腰付近まである長い髪に青い瞳。
そして、体に添うように作られた薄いピンクのワンピースが風に吹かれ揺れ、上に白色のカーディガンも同じくヒラヒラと揺れている。
なんとも、美しい。
俺がその光景に見とれていると。
「アルノンが男の方を連れてくるなんて珍しいじゃない。私を他の男にとられるのが嫌でここに閉じ込めたくせに」
おい。どういうことだよ。俺は、横をちらっ冷めた目でみる。
この学者、アルノンというのか。
目線に気づいたのかアルノンが俺の方を向いて二カッと笑う。
悪い予感がする。俺、すごくこの場から逃げたいんだけど……。
と、俺がそっと逃げようと後ろに一歩下がったとき……。
「まあ、あがって頂戴。アルノン以外の男の方と話すの久しぶりなの」
おかしくないか。この美女。かなり力が強いヨ。
捕まえれた右腕が離れないんだけど……。
それとも、元々腕力は強い方ではなかったが人間になってもっと弱くなったか俺。いやでも、隣にいる男に負けるなら分かるが女に負けるはずはない。
変人学者アルノンはというと笑顔だ。ムカつく。
俺は、引きずられるように家の中に美女によって要塞の中へと連行される。
入れの中に足を踏み入れた瞬間だった。
「ぅあっ」
俺の目の前が暗転し情けない声をあげる。
そして、俺の意識は闇の中へと消えていった。