いざ
「もうアルヴァニスの体は限界です……。リーシェ……」
これは夢だ。何度も何度も繰り返し見た夢。
だがこの夢は俺の身に起こったことで――
「アルヴァニスごめんね。ごめんね」
リーシェと呼ばれた魔族の女性が俺の名前を呼びながらそばで泣いている。その魔族の女性こそ紛れもなく俺の母である。
「かぁ、かあさん……。僕は……まだ……ダイジョ、ウブダ…カラ」
夢の中の俺がせき込むと、夢の中の俺の口からは血ができる。
魔族の王族のみがもつ血の呪い……。
本来なら体の成長とともに薄れていくはずなのだが、何故か俺は体の成長とともに血の呪いが悪化していった。
リーシェの瞳に映る俺は、もう1度大丈夫だからというとそのまま糸の切れた操り人のように力なく倒れこんでいった。
それと同時に俺の意識は現実へと引き戻される。
「はぁはぁ」
「アルヴァン大丈夫?うなされてたようだけど。」
リリアが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「問題ない。昔の夢をみただけだ。」
そうそれならよかったとリリアは俺に返すと
「今日は魔法学園カノンレクイエムの入試でしょ?アルノンが心配だから送ってあるって張り切ってるのよ」
準備ができたら、朝食を食べにおいでとリリアはいうと部屋から出て行った。
しかし、アルノンが張り切ってるとはどういうことだろうか。悪い予感しかしないのだが。
そして、そう。今日こそが俺が待ちに待ったカノンレクイエムの入試試験当日である。もちろん、聖剣に触れるチャンスのある聖痕クラスを狙う。
「俺は、この時を待っていたんだ」
リリアに言われた通り朝食を食べにいく。アルノンの姿がない。
「アルノンは?」
「アルノン準備があるから先に食べってて」
アルノンめいったい何をしているのだ。
荷物をまとめ俺は外でアルノンを待つ。
荷物といっても簡単なものだ。カノンレクイエムには、寮というのもがあるらしいのだが。俺は、転移魔法が使えるし、リリアが寂しいといったので俺はこの要塞から学園に4年間通うことになる。
「おまたせ」
アルノンの声だ。だが、なんか違和感がある。
アルノンの方をみると、金の装飾が入った黒い鎧、頭には赤い色の角を模した装飾が付いた兜をかぶっている。その兜がアルノンの金髪を引き立てていいる。
そして、今のアルノンを例えるなら黒騎士だ。
「あはは。驚いた?驚いたよね??一応、僕今日ね炎雷嵐の魔剣士として呼ばれてるから」
推薦については毎年断ってたんだけど。今年はアルヴァンがいるしね。とアルノンは付け加える。
「んー。それでね。今からカノンレクイエムに行くんだけど…。転移で行くのも一瞬で面白くないから」
アルノンは、突然魔法を展開しただす。
魔法陣の色が赤いことから、炎魔法だ。
「来い!僕のスレイ!!」
魔法陣から現れたのは炎を纏い8本の足をもつ馬。炎の幻獣スレイプニルだ。
そしてそのスレイプニルにもアルノンと同じような装飾の鎧がついている。
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