100年前の真実と
リリアの口から放たれた言葉は衝撃的だった。
「地帝クレイム様の収める土地が人間により滅ぼされた……。そして、地帝クレイム様の次はセルヴァラン様を殺そうと人間したの」
理由はなんとなくわかる……。
地帝クレイム様が納めていた土地というのは貴重な鉱石が採れる地竜の墓場と言われる場所であろう。
セルヴァランのこの森を狙う理由は貴重な動植理物がいるからだ。例えば、ドリアードといった植物型の魔物やコカトリスといった純銀の卵を産む魔物だ。
「くっ。俺がいない間に……」
リリアの様子から察するとクレイムは死んだと思われる。
いや、あの男なら自信が死んででもあの場所を守ろうとするだろう。それほど、あの男にとっては思い入れのある場所なのだから。
俺は内心クレイムを殺した人間を殺してやりたい。しかし、人間の今の俺はどうすることもできないだろう。
かといって、魔族の俺でも何ができるわけでもない。
「ただね。嵐竜の森は一部砂漠になったけど……。無事だから……。地帝クレイム様が倒された後。ルミリア様とセネリオ様があの一部砂漠になっているところで人間軍を迎え討ったわ」
ルミリアは、炎帝アゲハと氷帝ミズハの母だったな……。昔は随分と世話になった。
しかし、ルミリアは俺が生まれる前に俺の母をかばって右腕と右翼を失ってたから、子であるミズハに氷帝の座を譲り前線からは引いてたはずだが……。
「ルミリア様はその戦いで死んだそうよ……」
ルミリアも死んだ。だと……。
「くそうっ!俺がいない間に何が起きたというんだ!!勇者は俺が滅ぼした。そして勇者を継承できるやつも今はいないはずだ!」
自分でもわかるほど俺の中から憎悪と共に魔力があふれ出す。
魔剣と今は手元にない聖剣が俺からその魔力を吸い出しているのだが収まらない。
魔力不足中とは思えない量だ。
「ア、アルヴァン。落ち着いて……」
落ち着いていられるわけないだろ。
「でも、悪いことばかりではないの!魔族軍と人間軍はその戦いのあと1つの条約を結んだわ。セルヴァラン様の孫で私の母は、その条約の時に生まれた半人半魔よ。」
なっ。半人半魔だと。
「私とアルノンは、4分の1が魔族なの……」
リリアの力がやたら強かったのはことの為か……。
アルノンもそうなのか。アルノンに人間に珍しい特徴があったのも頷ける。
「なら、条約とは……」
「そうね。条約の内容は詳しくは知らないけど……。それを破れば、次は人間と魔族の全面戦争よ。10000年前と同じくね」
1000年前と同じくか……。
そうなれば、俺はどうすればいいのだろうか。
魔剣の継承者として魔王として魔族につくのか―聖剣の継承者として勇者になり人間につくのかー
正直に言うとどちらにもつきたくない。1000年前魔王も勇者も滅びたのだから――
「だけど、大丈夫よ。そうそうその条約は破られないらしいから。それに昔、アルノンがセルヴァラン様にその条約について食ってかかった時があったけどね」
俺は、何も言い返せない。
セルヴァランにアルノンが食ってかかったということは、あまりいい内容ではないのかもしれない。
「アルヴァンごめんね」
「なぜ……。謝るのだ」
俺の声は震えている。
「ふふ。私はあなたに賭けてみたいの。多分、アルノンもセルヴァラン様も同じ。アルヴァン……。いや、1000年前の英雄アルヴァニス!」




