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勇者カノンの鎮魂歌  作者: 愛一
出会い編
16/23

悪戯

 ペガサスから―嵐弾―を受けること100回以上。

 ペガサスもイライラしているのか俺を確実に狙ってくる。

 まあ、聖痕の反魔法により俺に魔法で傷一つつけることはできないのだが。


 それでも俺は粘り続けた。


 結局、俺がペガサスに乗れたのは辺りが真っ赤に染まった日が落ちる前だった……。


「やっと乗れたぞ!」


 俺が俺らしくもないような無邪気な声でいうと


「すごいわね。私が昼食よっと言っても反応しないくらいの集中力。それに1日でペガサスに乗れるようになるなんて……」


 リリアは夕食の準備をするから、日が暮れる前に風呂に入って俺に言った。


 俺の体は、気づけばベタベタ状態だった、来ているアルノンの服は汗で張り付いてしまっているのだから断る理由もなく、俺は風呂に入ってくるとリリアに返す。


 廊下を真っ直ぐに行く。

 夕暮れ時だけあり不気味な要塞の部屋がより一層不気味だ。

 

 脱衣所につくと驚いたことにボロボロだった俺の服が綺麗になり置いてあった。

 一体どうやったのやら。


 そんなことよりも、このベタベタと体に纏わりつく服を急いで脱ぎ風呂場に行く。

 夕暮れまで時間がない。


 浴槽につかると水面に自分の姿が映る。

 どちらかというと母親似の顔だ。魔族の時は、髪が白かったから尚更似ていたが。


 「はぁ、髪が鬱陶しいな」


 一人事をいうと魔剣アビシオンを呼び出す。

 髪を掴み首筋に剣を当てるとそのまま髪を切る。

 切った髪は自然に燃え上がり跡形もなくなった。

 

 もう一度水面に映る自分の姿をみてみる。


 相変わらず母親似だ。しかし、黒髪が短くなったことでどこか父である―カノンに似ている。


「……あいつに似てるな」


 あまり見ていてもと思うので俺は、風呂から上がる。


 風呂から上がると廊下をつたって食卓からはいい匂いがしてした。


 俺は、急いで押しそうな匂いのする方へと向かう。

 

 どうやら、今日のブリンゾベー・ピロヒとジェムロウカのようだ。

 

 リリアは「あら、髪を切ったの」と俺に聞いてくる。

 俺は、軽く頷くとリリアと向かいあうように座りいただきますと言って食べ始める。

 

 俺は自分の分を早々と食べ終わる。


「そこにあるシシュカ食べてもいいか?」


 俺が昼間食べなかった昼食なのだろうと思われる。ジャムが入ったシシュカが奥にある流し台に置いてあった。


「いいわよ。でも、大丈夫かしら……時間がたってるし」


「大丈夫だ。心配はいらない。俺が昼間集中しすぎていたのがいけないんだからな」


 ちなみに、本当に心配はいらない。魔法薬の中でも魔法毒という危険なものがある。1滴でも飲めば中級魔族でも死ぬような薬だ。人間が飲めば、死ぬだろう。

 俺は、それを飲まされたことがあるが死んでないしな。

 まあ、今は人間なんだが……悪かったら無属性魔法―解毒―を使えば大丈夫だろう。


 シシュカを手にすると口に含む。時間がたっているせいか少しパサパサとしたが美味かった。


「本当にリリアの料理は美味い」


 座っているリリアに近づくと、リリアの目線より少し高めに屈むとリリアの額にキスをする。


「ちょ、ちょっと何するのよ……。私にはアルノンが」


 真っ赤になっているリリアはかわいい。

 俺は、フフッと笑いをこらえるとリリアはもうっと言ってくる。

 たまにはこんな子供もぽい悪戯をするのも悪くない。

 アルノンの前でやると怒られそうだがな。


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