聖痕
風呂は、外にあるだけあって眺めもよく温度もちょうどよかった。
脱衣所にいくとリリアが持ってきたアルノンの服だろうが置いてあった。
下着と白のカッターシャツと黒のズボンといったあの男のものらしくない服だが、アルノンの物であっているはずだ。
俺もアルノンも身長は190cm近くあるため、服もそれ相応だ。リリアが着るには大きすぎるのだ。
それにしても、アルノンらしくない服だがあの男これならばあの無駄にイケメンなのが引き立つだろうなと思うのだが……。
とりあえず、リリアが持ってきてくれた服に着替える。カッターシャツのボタンはだらしなく上から2つほど空いてるが肩幅の関係上仕方ない。
「あ。眼帯がない」
ここの住むのだからいずれ言わなけばいけないし気にしないでおこう。
まあ、アルノンはともかくリリアは右目の聖痕には得に触れないだろう。
俺は、脱衣所から出るとリリアに言われた通り玄関に向かう。
因みに俺の右目は見えていない。
だから、眼帯がなくても視界は変わらない。
そのためこの忌々しい右目を抉り出してもいいのだが……。多分、自己再生能力で元に戻るはずだ。
人間になってる今なら、抉り出せるかもしれないが。
右目を抉り出してみようか考えていたら玄関に着いた。
魔族の時と同じように裸足で外にでるとすでにリリアはペガサスを2匹魔法で生成し、待っていた。
リリアに裸足で外に出てきたことを指摘される。今度からは靴というものを履いて出てこいとのことなので履いて外に出ることにしよう。
そして、リリアは俺の顔をまじまじと見る。特に右目をだ。分かっていたことだが、そんなに見られると流石の俺でも恥ずかしい。
「ん?その右目の紋章。もしかして聖痕?」
「ああ」
そういうとリリアは
「まあ、すごい!勇者軍5人の末裔でも聖痕を持っているものは少ないのに!!」
リリアは初めてみたといわんばかりの反応だ。
「あれ?でもなんでアルヴァンが聖痕を持っているの?」
まあ、そうだろうな。
俺は、リリアから目線を外しつぶやく。
「そうだな……。カノンと同じ特殊な血族とでもいうのかな……」
リリアはかなり驚いている。カノンと同じ血族というよりは、親子なんだがな実際は。
「ってことは、剣士アレス様とは同じ血族ってこと!?それとももしかして、兄弟?」
なんか話がぶっ飛んだ気がするが……。
そういえば、なんでカノンと言うとアレスが出てくるのだろうか?
それにアレスとは兄弟ではないはずだ。父であるカノンが出て行ってから1年後に俺たちの元に戻ってきた。その時すでにアレスは勇者軍にいたのだから……。
「何故、カノンの名を出すと俺ではなくアレスが出てくるのだ?」
「何故って。今の人間社会はカノンが魔王アルヴァニスと戦い死んだ後。カノンの息子であるアレス様が先頭となって作ったのよ。カノンの遺言通り魔族と人間が手を取り合る世界を」
なるほど。あの剣士、カノンの息子ということになっていたのか。
カノンの遺言通り―魔族と人間が手を取り合える―世界か……。
そんな世界ができるのなら俺はいらなかっただろう。




