5/8
5
そして建物が直りオモチャ達がひと息ついて街が元の形へ戻る頃、鏡の前でリリーは頬に手を当て涙を流します。
「はあ。
どうして、私の肌はこんなにも固いのかしら。
どうして・・・」
そしてまた、翼を羽ばたかせドラリオンはリリーを拐い、街へ降り立ちます。そして待っていましたと言わんばかりに、彼は時計塔に現れます。
「やあ、僕はブリキッド」
そんな彼等の日常は、いつも通り何事もなく滞りなく繰り返されていきました。しかし、それから数日過ぎたある時、日常は途切れます。
いつものようにリリーが窓際に寄り、外を眺めてもドラリオンが拐いに来ません。
「どうして、来ないのかしら」
彼女は自ら城の外へ出て、街のオモチャ達の所へ行きました。そこではオモチャ達も同じ様に戸惑いを露にガチャガチャと騒いでいました。
「何故、ドラリオンは来ない」
「私達は、何をすればいいの?」
「とにかく、ブリキッドを呼ぼう」
時計塔に向かってオモチャ達は叫びましたが、ブリキッドは出てきません。それに呆れたリリーが、いつものように叫びます。