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街のオモチャ達が待たずに居たにも関わらず待ちくたびれそうになった頃、遠くの方からリリーを呼ぶブリキッドの声が聞こえます。
「もう!遅いわよブリキッド」
「姫、無事で何より。
まあそう怒らずに。
ほら、今日はとってもきれいに作れたんだ!」
ブリキッドはそう言って、リリーへそれとは思えないほどにきれいに形造られた泥団子を手渡しました。それに飽きれながらも、リリーは両手でそっと受け取りました。溜め息をつきながら、今日こそ彼へ文句を言おうと彼女が見上げると、そこにはもうブリキッドは居らずに、料理に夢中になっていました。
「ちょっとブリキッド!
いい加減私の話を聞いてよ」
「怒っても姫は美しいね」
「・・・、もう」
「でもドラリオンはどうして、姫を拐おうとするのかな?」
いつものように唐揚げを頬張りながら、ブリキッドが問うとおじさんなオモチャが答えます。
「姫様がキレイだからじゃないか?
まあそんなことどうでもいい!
呑もう!たまには呑めブリキッド!」
いつものようにそれを拒み、ジュースを飲み干してブリキッドは時計塔へ帰って行きました。それを見送った後、リリーは城も城へ帰りオモチャ達は宴を片し、彼等の日常を終わらせます。そう、これが彼等の日常でした。