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そしてブリキッドは剣を降り下ろし、姫を捕らえているドラリオンの腕を叩きました。その衝撃に、リリーは悲鳴を上げながら飛ばされます。そしてオモチャ達が集まる外側まで飛ばされた彼女は、大きな音と共に墜落しました。
「ちょっとブリキッド!
あなた一度くらい、私を受け止めなさいよ!」
怒るリリーの指差す先で、ブリキッドはそれをじっと見つめてそれは出来ないと素振りをしました。
「姫、それは聞けない願いごと。
ドラリオンで手一杯だ」
それを見ている周りのオモチャ達は、彼の脚を指差して一斉に言いました。
「脚震えてんじゃねーか!」
「当たり前だ!
僕は高いところが恐いのだ!」
「じゃあ上るなよ!」
それを聞いたブリキッドは、呆れるように両手を上げて言いました。
「分かってないな君たちは。
高いところがあれば、上らずにはいられないだろう!」
脚を震わせながら高らかに言い放ったブリキッドを、突然大きな影が覆いました。彼が振り返り見上げると、ドラリオンがブリキッドを踏み潰そうと、大きな脚を上げていました。
「しまった。
脚が震えて動けない」
その言葉に仰天するオモチャ達を他所に、悲鳴と共にブリキッドは思いきり足の下敷きになってしまいました。しかし、今度はドラリオンが悲鳴を上げながら足を上げました。その足には、ブリキッドの持っていた剣が突き刺さっていました。そしてドラリオンは、そのまま飛び去って行きます。
「見たか!
ヒーローは、必ず勝つのだよ!」
「まぐれじゃねーか!」
オモチャ達にガチャガチャ言われながらも、ブリキッドは起き上がりドラリオンを追いかけていきました。
「待てドラリオン!
僕の剣を返せ!」