1
建城396日目を迎えた、ブリリアント城のあるオモチャの王国ブリキングダム。彼等は自ら動き働き、それぞれの役割を果たしながら毎日を過ごしています。そして、ブリキングダムのお姫様リリー。今日も彼女は鏡の前に座り込み、頬に手を当てています。
「はあ、どうして私の肌はこんなにも固いのかしら。
どうして、こんな風に生まれたの。
どうして、こんな風に作られたの。
どうして、こんなことを思うのでしょう」
鏡の前に座り込み、今日も彼女は泣きながら過ごします。そして窓際に歩み外を眺めると、大きな怪物の声が響きます。大きな翼を羽ばたかせ、街中を踏み荒らしながらお城へ向かって行く怪物ドラリオン。
「また私を拐いに来たのね!
どうして何度も何度も来るのよ」
そしてお姫様の部屋の壁を壊し、彼女を鷲掴み飛び立とうとするドラリオンへ、街のオモチャ達がオモチャの槍に石などを投げつけました。怪物は暴れるながら、街中に降り立ちました。しかし降りてきた怪物に、皆は敵いそうにもありません。
「やっぱり、
今日も彼を呼ぶしかないわ。
助けてブリキッドー!」
街で一番高い建物の時計塔のその先で、マントをなびかせ剣を掲げるオモチャが一体。
「やあ、僕はブリキッド。
助けを求める声を聞いてやって来た。
姫、今日も僕が助けてみせる。
おいドラリオン、僕が相手だ!」
怪物へ剣を向ける彼へ、オモチャ達は口々に「早く出てこいよ!」とガチャガチャとしながらも歓声が湧いていきます。
「分かってないな、君たちは。
ヒーローってのは、遅れて登場するものなのさ!」
「とうっ」と飛び降りたブリキッドは、ドラリオンへ一直線に向かって行きました。