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意外と文章量自体は多いはず…24日までには
エクリクシィ・ホープらがどういう天使であるかをはっきりさせたいですね。
訂正:最後の6人は5人でした。
深い日常、自分は天界の中でも良い暮らしをしているといえるだろう。
屋根のある家に食事と制服。衣食住の三拍子が揃っている。
だがどこ出身なのかは聞き忘れたスキロスは言う。
"着るものは制服のみ!"
"食事は質素!!"
"住む場所は共同だからってベッドくらいしか
置けないスペースの狭さ!!!"
そう言われたらそうなの?と
聞かれても自分は満足しているし何も不満も文句もない。
最低限あるんだから生きられる。
最大限より最低限の方がほかのことに構う余地があるというもの。
分かってないな、と薄味のスープと固いパン、薄く焼かれたベーコン。
それら三つをいつものように食べ胃の中にしまうことわずか5分。
早いと言われながら我お先にと食堂を後にする。
良い暮らしなのになぁと思うその反面、自分は天界の中で
自ら就きたいとは思わないという天界審問会の処刑人に就いている。
人を文字通り裁く職務なので責任強かったり人情深いと適正はないそうだ。
まあ自分は責任感はそれなりに強いし人情はあるのでそれが
深すぎたら駄目というだけのことだ。
さて言いそびれたことだが
自分ことアリスィアには家族がいない。
とはいえ元からではなく戦争のときに家族が自分を守って死んだそうだ。
幼少期のことで鮮明には覚えてはいないが確か夜の星空を見るように
倒れていた…はずだ。そう…確かそのはず。
その後は前述通り魔法師団団長に拾われこの職務に当たっている。
魔法師団団長、ティフォナス・ホープには
今も感謝しきれない想いを持っている。
団長に拾われた自分には本当に困ったときにしか公開しないのだが
一応アリスィア・ソルド・ホープという名前がある。
つまり自分は団長の養子として今を生きている。
そのため団長の実息子であるエクリクシィ・ホープとは義兄弟の仲だ。
とは言え身分の上はエクの方が上だ。
良いとは言ったのだがエクと呼ばないと口をきいてくれない。
なので…
「エク…リクシィ様、今回は我らもお供し護衛に当たれと
魔法師団長様が申されています。」
「だ・か・ら!お前とは兄弟なんだから
敬語はいらないって言ってるだろ?!」
次期魔法師団長エクリクシィ・ホープはそう自分に言う。
自分は何も言わず?マークのまま首をかしげていると
エクは何やら叫びながらまたそのことについての説教を始める。
それを遅れてやってきたスキロスと
エクのパートナー達は微笑ましそうに眺める。
「また始まりましたねぇ…」
「そうですね…まったく二人とも可愛らしいです」
「ま、それがうちのリーダーの良いところだしネ」
そうスキロスに一番目に答えたのはルーナという少女。
黒髪にいつも白い手袋をしている。
身長は高めで胸は大きい。
次に反応したのはフォティアと呼ばれる少女だ。
身長は低いがそれに似合わない怪力を持っている。
だが生まれつきの不治の病があるらしく怪力は滅多には使わない。
とまあ今言った二人と前述登場した
クロヌと呼ばれる少女を含めても分かる通り
エクリクシィの仲間は全員が女性だ。
性別の生まれの比率は4:6で女性が多いのは分かるが…まあ。
この話はまた今度に。
「……はぁ。頼むからエクって呼んでくれ、良いな?」
「そんなに求められるのならそう呼びましょう、エク。
で、明日の審問会なのですが…エクには観覧席で見るようにと
魔法師団長様が申し上げております。」
「それは僕も聞いたよ、はぁ。父さんは意地でも
僕を姉ちゃんに…近づけさせないつもりか。」
「マスター、それは……」
言い忘れていたがフォティアはエクのことをマスターと呼んでいる。
理由は不明だがそれは置いとき、
エクはそのことに対して
この場にいる者以外は出払ってるし盗聴してるやつもいないさ。と笑った。
エクとアリスは義姉弟の関係にあるらしい。
自分も最近知ったことなのだが、今回の審問会の被告人となるアリスは
元々不思議の国という常界でも唯一目立っていた国の出身だ。
唯一というのは一切外交をしない外に厳しい法律を持った国だったとされる。
だがその国は突如として崩壊しアリスは
生き残ってホープ家に一時的に拾われたらしい。
そしてその後のアリスはまた突然として消え以降暗躍しているのだとか。
「ちなみに時期は…まあそれこそバラしちゃいけない情報だから
ここにいる皆にも誰にも言わない予定だ。父さんも知らないだろう」
「でもそんな情報をなんで言わないんだい?」
自分の質問に対し何も答えないエクは立ち上がると
「さてと、前日の今日から護衛だろ二人とも」
と指をさして自分とスキロスはなおって敬礼をするように
背筋を伸ばす。するとエクは
「今からメンバー全員で見回りを兼ねた視察に行く。
街の視察だ、ついてこい。」
そう踵を返してエクは制服をルーナから手渡されると羽織り
ルーナとフォティアはエクの横に、
その後ろに二人はつくとそのまま
街へと移動を開始したのだった。
・
がしかし…スキロスはいつしかルーナ、フォティアと話しながら
また自分はエクの横に喋りながら街の市場を巡り歩いていた。
これではまるで…観光だ。
「エク…自分は仕事を怠るためにここに居るのではないのですが…」
「ん?今日明日は僕の護衛だろう?はっ、ならこうして
歩きながら僕を狙う余所者に注意してくれよ?」
と言いながら市場にて買った飴を口に転がすエク
…説得力は皆無だ。今現在エク一行は視察と称して
天界の魔法師団総本部とそれに近しい街でだらだらと
散策している。もちろん自分とスキロスも護衛と称して
一緒にいるのだが。
「ほれ、」
「?これは?」
団子串という甘味らしい。
上に乗っかているのは…黒い蜜?いや種のようなものもある。
匂いは香ばしくその匂いの正体はゴマ…か。
白い花を咲かすとされる植物からとれる種を利用して…か。
しかしこの白い団子…?というのか。
ふぅん…面白いものも作るのだな。
「はむっ…っ!…美味しい…」
「だろ?んじゃあこれで…―共犯だな」
それに自分は食べながら口の中でまた目で溜め息をつく。
しかしこんな美味しいというものは生まれて初めて食べたかもしれない。
少なくとも今まで生きてきた人生の中ではだ。
…あ。無くなってしまったか。
まあしかしこのくらいは材料さえ整えれば自分でも作れるだろう。
と頭の中に自分にしか分からない場所においてある貯金のことを
思い出しながらエクの目を見て話す。
「それでクロヌさんはどこに?」
「ほぇ?!…あー……あいつはなぁ…」
「マスター、そんな目で僕を見ても何も言いません。
ちなみにどこかは言いませんがクロヌは執務作業中です。」
助け舟を出した先のフォティアの答えにエクは額に変な汗をかき始める。
クロヌさんはエクの一番の隣で見守り付き合いをしている女性だ。
本名は確かクロヌ・Hだったか。
天界の中で三番目に有名な名門家ハーヴェストという出身だ。
その出身であるクロヌさん自身は魔法師団の中で歴代の財政政策担当だ。
※魔法師団は天界という国の機関であるためこのような担当が存在する。
警備や裁判と言った民意によって縛られない機関もこの魔法師団の中に
含まれている。つまりは国の一大機関をすべて総括、統括している。
そしてエクはその次期魔法師団の団長。
エク以外に後継者はいないので必然なのだとか。
だがエクはここで時間をつぶしても良いのか?という疑問が浮上するが
それはエクの言葉を振り返ってああ、そうかと納得する。
アリス・シャルロッテ・ホープの一件でエクは命を狙われる危険性が
増大している、そのため自分の仕事のほとんどが出来ないのだとか。
つまり事実上、2日だけ休暇を取っているということになっているのだとか。
だからまあここにいて休暇を満足するのは良いんだが…
「これで何か手の者によって襲われたら…クロヌは怒るでしょうね。
休暇で休むのは良いけどそれで襲われるなら…と。」
「わああああああ……言わないでくれフォティア。
現実を見たくない…」
そうエクは顔を隠しながら叫ぶように下に俯く。
フォティアはまぁまぁと宥めながら歩きはじめると
風がびゅうっといきなり5人を吹き当たる。
それにアリスィアはじっとその先に目を凝らした。
俯いたままのエクにアリスィアは警戒させる。
「エク…怒られることをあとで覚悟してください。」
「…お前まで…はぁ。…あ、そうか。」
とここでエクも気付きスキロスはアリスィアと共に
風の吹いた方向に目を合わせる。
数は1…2…5……いや。10はいるか。
「こんな白昼堂々狙いに来るとは…肝が据わってるなぁ」
と…呑気なエクにフォティアもはぁ、と呑気そうに溜め息をつく。
この場で焦っているのはスキロスと自分だけなのだろう。
ルーナも…まあ焦った表情というかあたふたとした状態にはなっているが。
「どどどどどうしましょうか…!!報告書や始末書…逮捕状など
仕事が増えてしまいます!!」
頭の中で前言撤回。
どうやらルーナもまたエクや自分たちの身を案じてはいなさそうだった。
しかし…魔法師団学校トップと言われたエクリクシィらの
チームはやはりこう…焦りというのがないな。
自分は学校に通うことはなかったがたまに
護衛として一緒にするときに聴いたり見たりしたものだ。
リーダーのエクリクシィ・ホープに
メンバーのクロヌ・H、フォティア・マグナム、ルーナ・ブリトネス。
4人は魔法師団学校唯一の最強だった。
今もその仲の良さは健在だが……
「まさかこのメンツで戦うことになるとはね…!」
代弁してエク自身がそう言った。
そして街道のど真ん中、いや街道の中心である噴水広場。
そこで囲まれた5人はそれぞれの態勢に入った。
時間があれば13日中に投稿します。