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メモ帳で書いていたところunicodeがあるため保存できません、と言われてしまいましたが

そのまま投稿しています。そのため文字化け等があると思います。そのときは教えてください(´・ω・`)

ではではご覧ください!敢えて誰目線なのかは書きませんが。

『…きろ…』


誰かが瞼の外で叫んでいる。

まったく寝ているのだから静かにしてもらえるか。

せっかくの物語ユメの続きだというのに…


「起きろと言っているだろう!!!」


「ぅあっ?!」


すると外の者は無理やり叩き起こすと

寝ているベッドから降ろし床に叩き落とした。

ベッドは二段で自分はその二階にいたのだ。

はぐっ…と胃液が出てくるような痛みを感じながら起き上がると

いつものような顔があったのだった。


「スキロス…か。もう時間かい?」


「ああ、だから起こした。なんだぁ?その目」


「起こすなら三度言ってから起こすようにと自分は言ったんだけどね」


「現に三度言ったが?」


え、と言う自分にスキロスはふんっと鼻を鳴らすと

いつもの制服を手渡すと自分はそれを溜め息を

口の中に零しながら着替え赤く塗られた制服に身を通す。

今日は何人?三人だ、手早く済ますぞ。了解。

とお互い目も合わさずただの世間話のように話すと

自分は立ち上がる。顔ぐらいは洗えよとタオルを手渡され

水を片手にまだ月明かりが照らす夜更けの窓を見ながら

顔を洗うとそれとは違う別の光が後ろをさす。

蠟燭の光を背に顔を拭き終わると自分はタオルを張った糸に吊るし乾かす。


「アリスィア、行くぞ」


「ああ。」


自分、アリスィアの一日が始まる。

蝋燭の灯はとうに消し静かな二人の足音だけが長く広い廊下に木霊する。

横に並びながらスキロスはただ目を瞑り自分はただ半目に

前日に配られた資料に目を落とした。

自分たちの仕事は早朝から始まる。

それはこの天界での裁判を意味する天界審問会の護衛役兼処刑人だ。

主に罪人の護衛役や天界審問会の罪人執行官、天界審判官の護衛。

要は罪人に刑を処すときの裁判官やその一番上の者を守る役だ。

天界審問会では一般公開はあるものの

天界審問会のトップ、魔法師団長が自ら行う際には

命を狙われることがある。そのためいついかなる時に

おいても護衛はいる。それは罪人も同じことで

処刑する前に殺されてしまっては大事な情報を聞けずに

命を落としてしまうかもしれないからだ。

そのために自分はこの責務についている。

幼き頃に魔法師団に拾われその恩から自らこの責務に身を置き生活をしている。

不自由などない、むしろ感謝している。

天界の良いところは孤児が一切いないというところにあるかもしれないな。

ただの独り言を口に含みながら自分はただ歩き踏み出す。

そして階段を下りながらいつものように審問会への扉を開け

準備室へと入るといつも以上に中がガヤガヤとしていた。


「スキロス・フィラカス、到着しました。」


「アリスィア・ソルド、到着しました。」


いつものように挨拶を含めた敬礼を済ませると

そこには見慣れた女性の姿が。


「あら、遅かったわね。二人とも」


「クロヌさん?!何故ここに…?」


魔法師団所属のクロヌという黒色の長髪の少女は

そういうスキロスにええ、と呟くとアリスィアも含め見つめると

見慣れた白と赤に統一された制服で話し始めた。


「つい数時間前、魔法師団総本部より"例の森の少女"が自ら

 投降してきたのよ。いわゆる自首というのかしら?

 それで明日にでも魔法師団団長自らが裁判長となり

 審問会をすることになったの。だからそれを言いにここへ。」


「"例の森の少女"…」


そうスキロスは唇をかみしめながら呟くと

アリスィアはその言葉に目を細めスキロスのように腕組をせず

ただそのまま口の中で呟く。

例の森の少女、アリス・シャルロッテ・ホープ

常界、人間のいる世界から数十、数千万もの子供を

天界魔界の協力者へと引き渡した犯罪者だ。

どういった手で三つの世界を行き来したのか不明だが

どちらにせよ非道極まりない。

だがその彼女自身が自ら投降したとなれば大騒動なのは目に見えていた。

でも何故?……審問会が荒れるのは目に見えている。

自分はあくまでもその荒れた審問会を収めるだけだ。


「スキロス、時間だ。行こう」


「ああ、そうだったか。分かった行こう。」


そう呟くとクロヌにでは、審問会でと。

別れを告げ扉を開く。

やせ細った体をした罪人の横に二人は笑わず動じず無表情のまま

罪人の後ろで逃げず逃げられずの状況を作り出しながら

後ろに手を組む。しかしその手には刃が握られていた。

―いつでも殺せるように、持っているのが処刑人の務めでもあるからだ。


「では審問会を…始める。」


審問会が始まると裁判官となる罪人執行官による

罪名やその処遇による討論が始まる。

とはいえこの審問会に情けはない。

あるとすれば罪人の直接出る声のみ、この声で言われたことについて

罪人執行官ならびに天界審判官は審議しそして処刑の内容が決まる。

魔法の類による妨害は徹底的に行われているため

魔法の行使は罪人には到底無理でしようとしたその時点で

もうすでに罪人は殺されているため、抵抗はできない。

とはいえ殺すのは自分なのだが。

審問会について簡単にまとめると


1 罪人は自ら行ったことについてを話す。

2 罪人執行官は罪人と対話し真偽を問いただしまた処刑の内容提示を行う。

3 1と2を繰り返し罪人もしくは罪人執行官がやめ、と言うまで繰り返す。

4 天界審判官はこのやり取りを含め最後の決断を行う。


この四つとなるだろう。

そしてその間自分やスキロスは主に1と2について罪人が暴れたり

フォローを入れたりする。フォローはあくまでも病気の悪化等

やむを得ないときなどなので特にこれと言った不味いことはない。

いつものように審問会の中での仕事をこなす。

簡単に見えてそうではないと思い考えながら

自分は真剣に気持ちを殺して罪人を見やる。

震える身体を見ているとふとその罪人の首元に目が行ってしまった。

…?自分でもなぜこんな……?首には罪人が掻いたと思われる

傷が見えた。だがその傷が強く既視感を覚えるぶつぶつだった。

だがそれ以上その既視感を求めてはいけないと同時に頭で感じ

目を離す。

審問会は早朝、日が昇り始めたころに終わった。

あの傷をした罪人は結局のところ冤罪の可能性が浮上したために

今回の審問会では殺されずに終わった。

とはいえ他二人は絞首刑でその命を失くしたのだが。

まあそれはいつもの日常の一部となっている。

誰が死のうとも深くは考えない。

これが天界に生きる翼の生えた自分、アリスィアという天使の生き方だ。

今日もまた深い日常が始まる。

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