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ピンポーン
「ったく…售のやろ………
ゲームしてたのに…はい?」
と鳥栫咲希が高校のときのジャージを着てTシャツ、
アイス棒を加えたまま玄関を開けると
弟の售と幼い顔が残る可愛い女の子が
大きなバッグを持ってー…?
「はぁ?!!女?!!」
「………うるさい…母さんは?」
「仕事でしょーが。
ってなに?售。帰ってきて女連れてきたの?
アンタモテたんだ~」
と玄関で話し込んでると横の
女の子のほうがモジモジしている。
取り敢えずは中にいれることにしたが
「事情は聞くとしよっか。
こんな8時経った夜に女を連れ回すとは…
何?盛っちゃった?」
「な訳よ。」
「あ………えと…初めまして。
同じクラスの天草明音といいます。」
と丁寧にモジモジしながらも明音は挨拶を。
それに釣られて
「ああ。どーも。
售の姉の鳥栫咲希です。
で、今日は何用?」
「それは…その…」
と咲希が聞くと明音は少し黙り
深刻そうな顔を浮かべる。
すると售が話を切り出した。
「明音が最近ストーカーに悩まされてて、
家にも押し掛けて来そうなんだ。
一人暮らしだから怖くて、
一番信頼できる俺を頼ってきたっていうらしいんだよ。」
個人的にアンタは信用にならないと
咲希は呟くが理由が分かったのか、
大きいバッグに手をかけると。
「分かった。
私の部屋使うといいよ。
布団とかは敷くけどしばらく間は
この家に居ていいよ。」
と咲希は笑顔で笑うと明音もモジモジしていたのが
一気に外れとても笑顔ではいっと言った。
すると咲希は。
「アンタがこんな可愛い女の子と知り合いなんて
…羨ましい限りだよ~」
とキラキラが舞うように言った。
售は苦笑いしながらそれに受け答えた。
・
翌日。
本当に明音がいるのかと思いながら目覚めた7時。
2階の自室のベッドにて。
昨日は少し眠れなかったと思っていたらそういえば。
と考えすぐ様下に駆け降りる。
そういや夜勤の母さんに明音を説明していない。
姉は朝に起きることは早々ない。
すっかり忘れてた。と思っていると
リビングからは笑い声が聞こえる。
気持ちのいい笑い声だ。
そろりと開けるとそこには制服の上に
エプロンを着た明音に、
いつもは朝食を作っているor眠っている
母さんがそこにいた。
「あら、售。おはよう。」
「かっ、母さん…えと…」
「明音ちゃんのことは咲希から聞いているわ。
守りなさいよアンタが!
家では私達が守るから。」
と笑っている。
明音は目が合うと笑い駆け寄ってきて
「咲希さんのお陰で説明してくれたの。
もう寝たかなぁ?さっき行ったんだけど。
ああ!もうすぐで学校だから早く食べて!」
と誘導されるがまま朝ごはんを見る。
スクランブルエッグに
綺麗に出来た卵焼きとベーコン。
ロールパンにバターを塗って焼いたのか
ほのかに香るバターの香ばしい匂い。
とてもとてもホテルの朝食のような
豪華と思えるほどの食事だった。
明音は自信満々の笑顔で溢れていた。
「料理まで美味いとか
欠けるとこがないなぁ…明音は。」
「ふふふ…まぁ欠けるとしたら私の弱点でしょう?」
そう言うと笑みが少し外れたので俺は元気付けようと
「誰にでも弱点くらいはあるよ。
うん。誰にでも。
隠しても隠しきれないんだし。
大丈夫だって!
お前の羽は綺麗で見てて感動したからさ。」
そう言うと大事なところに触れられたのか、
明音は顔を赤らめて目がキョロキョロしている。
俺はそれを見て笑い前に進もうとしたそのとき、
明音がその顔を一瞬にして
心配するような顔に歪んだ。
気付いた俺は彼女を路地裏に行かせて
彼女を庇うように、
「どうした?」
ときいた。すると予想外な答えが。
「…妖怪が。」
「妖怪?」
「おい…追いかけてる…‼
こっちに…………!!」
すると明音の手が俺の腕を掴んできたので、
逆に俺は明音の手を掴み返して走り出した。
学校が近くなったそこで明音は立ち止まり
「もう……だめ…いる。」
と指をさした。
だが何かに気付き恐がりの顔から
驚きの顔に変わっている。
俺はその方向を見た。
明らかに黒いマントという
怪しい格好なのに気付いていないのか、
俺と明音しか見えないのか周りがスルーして
学校の玄関へと向かっている。
このままでは………!!
と俺は明音の手を引いてまた駆け出した。
逃げるように。