歌謡詞に恋して(その一)
あとがきを最初にお読み下さい。
なお、私のブログ(http://blog.goo.ne.jp/tokuichit)も閲覧下さいね。
目 次
一.天文・気象
(一)空
(平成二十三年一月)
三つの空
空想ざんまい
(二)太陽・日光
(平成二十三年二月)
ありがとうSUN
四季のあなた
(三)月
(平成二十三年二月)
月の舟
粋な月
(四)星
(平成二十三年二月)
星祭り
泣き笑い星
(五)朝夕
(平成二十三年三月)
朝は必ず
朝霧に消えたあなた
夕焼け富士
たそがれ道
(六)昼夜
(平成二十六年六月ブログ未掲載)
白日夢
月夜の風情
(七)雨
(平成二十六年六月)
応援歌 『復興への道』
よっちゃん
雨の彩り
(八)雪・氷
(平成二十三年五月)
雪模様
未練なき雪達
(九)霧・霞・靄
(平成二十三年五月)
浅間の朝霧
人生の春霞
(十)雲
(平成二十三年六月)
三季の雲
茜雲いのち
(十一)風
(平成二十三年六月)
手鏡(被災地の応援歌 )
風の散歩道
風と男
(十二)寒暖
(平成二十三年七月)
寒暖の旅
星に抱かれて
(十三)晴れる・晴れ
(平成二十三年七月)
天晴れ(あっぱれ )
心晴れ
二.季節・暦日
(一)春
(平成二十三年八月)
花冷え
若草の丘
(二)夏
(平成二十三年八月)
夏の家族
アジアの女
(三)秋
(平成二十三年九月)
里の秋祭り
悲願の彼岸花
(四)冬
(平成二十三年九月)
冬の指輪
鎮魂山
(五)時・年月・期
(平成二十三年十月)
時と齢
谷間の娘
三.地勢・地理・景観
(一)山
(平成二十三年十月)
希望の山
山彦の別れ
(二)野原
(平成二十三年十一月)
関東平野
恋しや栗毛
(三)海、波、潮
(平成二十三年十一月)
愛の海
潮にまみれた男
(四)川・滝
(平成二十三年十二月)
逆さ川
白糸懺悔
(五)谷・崖
(平成二十三年十二月)
渓流巡り
崖の花
(六)みち(道、路、途)
(平成二十四年一月)
男道・女道
涙の旅路
(七)田・畑
(平成二十四年一月)
田毎の月
揺れる菅笠
(八)景色
(平成二十四年二月)
四季のリズム
幽邃慕情
四.自然物・自然現象
(一)水
(平成二十四年二月)
一途な慕情
赤い水の糸・・・・・・・・・51
(二)音・響き
(平成二十四年三月)
四季の声
命の限り
(三)火
(平成二十四年三月)
愛の灯火
命の花火
五.からだ・感覚・容姿・健康
(一)全身
(平成二十四年四月)
小さな母
禿げと白髪の勝負とは
(二)頭・首
(平成二十四年四月)
白い襟足
(三)髪
(平成二十四年五月)
あの笑顔
ランデブーのリズム
(四)顔・ひげ
(平成二十四年五月)
母の心響
えくぼ大臣
(五)目・眉
(平成二十四年六月)
懺悔の花
白い眉
(六)耳
(平成二十四年六月)
耳さん、耳さん
噂のシングルマザー
(七)鼻
(平成二十四年七月)
低い鼻
男エレジー
(八)口・歯
(平成二十四年七月)
娘三変化
八重の響き
(九)息・舌
(平成二十四年八月)
音頭巡り
愛の舌
(十)肩・背・尻
(平成二十四年八月)
女の旅路
(十一)手・腕・指
(平成二十四年八月)
肘鉄行脚
(十二)胸・乳房
(平成二十四年九月)
あの女
乳母何処
(十三)腹・臍
(平成二十四年九月)
二番夢
うわっつら
(十四)腰・足・脚
(平成二十四年十月)
腰ぎんちゃく
一人旅
(十五)肌・血
(平成二十四年十月)
やもめ暮らし
祭三昧
(十六)みる(見、視)
(平成二十四年十一月)
恵風
色付く丘
(十七)みる(見、覧)
(平成二十四年十一月)
彩り(いろどり )
回覧板の独り言
(十八)みる(下見、目先)
(平成二十四年十二月)
下見旅行
目先勝負
(十九)みる(尊敬の覧、診)
(平成二十四年十二月)
覧の窓
開業医哀歌
(二十)みる(瞳、覗く)
(平成二十五年一月)
人工衛星
時に想う
(二十一)聞く、聞こえる
(平成二十五年一月、二月)
白い便り
命の限り
原爆詩
あなたとわたし
(二十二)声
(平成二十五年二月)
海は故郷
一度切りだよ
(二十三) 容貌・容姿
(平成二十五年三月)
顔三昧
花の姿
(二十四)健やか
(平成二十五年三月)
健やか人生
母の心
六.性格・性質
(一)性格・性質
(平成二十五年四月~六月)
武道一筋
魔性の坂
瞳に映るあなた
人生一度切り
赤坂・麻布六本木
悔恨
うぶなお前
腕白坊主とお転婆娘
こんな世の中
後悔人生
一姫二太郎ソング
結婚哀歌
(二)賢い
(平成二十五年七月)
一休さん
僕でよかったら
(三)賢人
(平成二十五年七月)
読み漁る
凡人の道
(四)偉人
(平成二十五年八月)
母の願い
歴史音頭
(五)第一人者
(平成二十五年八月)
洟垂れ名工
ねの歌
一.天文・気象
(一)空
(平成二十三年一月)
三つの空
1 海の空は 潤いお肌
海の空は 青く広がる
海の空は 日々の移ろい
海の空は 季節の変化
海の空は 天地を守る
海の空よ いついつまでも
2 街の空は 荒れたお肌
街の空は 煙にむせび
街の空は 音に悩んで
街の空は 眠りが浅い
街の空は 誰も守れない
街の空よ 生き返れ早く
3 山の空は すっきりお肌
山の空は 嶺を眼下に
山の空は 渓流眺め
山の空は 森を見詰め
山の空は 生き物守る
山の空よ いついつまでも
空想ざんまい
1 空想って 愉しいな
お金も道具も いらないよ
頭一つで 充分だ
夢想 幻想 ファンタジー
何でもござれの この世界
2 空想って 愉しいな
いじめたあいつを 消している
気球に飛び乗り 世界の旅
青い目金髪 コミュニュケーション
何でもござれの この世界
3 空想って 愉しいな
デートも泊まりも 自由だよ
いつのまにやら 子沢山
炊事 洗濯 ノイローゼ
何でもござれの この世界
4 空想って 愉しいな
セレブの世界に 仲間入り
プレイ グルメに 明け暮れて
今では寝たきり メタボボディー
何でもござれの この世界
(二)太陽・日光
(平成二十三年二月)
ありがとうSUN
1 ありがとうSUN さんさんと注ぐ
光の帯 地球は生きる
あなたのお陰
青い空 風去り
海原はるか 生き物生まれ
子を産みて 代々続く 生物世界
2 ありがとうSUN ごくろうさん
長きに渡り 人は生きる
あなたのお陰
喜び怒り 人は生まれ
子を生みて 代々続く 人間世界
3 ありがとうSUN 未来永劫
子孫のために 子孫は生きる
あなたのお陰
テロに戦争 環境破壊
全力上げて なくす世に
英智を絞る 報恩世界
四季のあなた
1 春の陽は 柔らかく 匂いたつ
希望が芽生え ほんわかと
あなたは今 何処で 何をしていますか
出会いは 二十歳の頃でした
2 夏の陽は 激しく 飛び上がる
恋が芽生え ドキドキと
あなたは今 何処で 何をしていますか
出会いは 二十歳の頃でした
3 秋の陽は 爽やかに 頬触れる
愛が芽生え 心疼く
あなたは今 何処で 何をしていますか
出会いは 二十歳の頃でした
4 冬の陽は 雲隠れ 細くなる
別れが芽生え じくじくと
あなたは今 何処で 何をしていますか
出会いは 二十歳の頃でした
(三)月
(平成二十三年二月)
月の舟
1 何処に行くのか 月の舟
私の哀しみ 乗せて行く
流れ流れて 黒き雲
じっと見送る 何時までも
遠くに消える 月の眉
2 何処に行くのか 月の舟
私の喜び 乗せて行く
きらめく星に 囲まれて
じっと見送る 何時までも
遠くに輝く 弓張り月
3 何処に行くのか 月の舟
私の希望 乗せて行く
天の川を 渡り切り
じっと見送る 何時までも
叶えておくれ 望月よ
粋な月
1 上野の山の 夜桜で
ほろ酔いきげん 二人とも
あなたの温もり 手に感じ
歩き続けた 人の波
アーアー 寒さに浮かぶ 春の月
2 墨田の川の 江戸の華
浴衣姿で 二人とも
あなたの温もり 唇に
もまれ続けた 人の波
アーアー 暑さに浮かぶ 夏の月
3 高尾山の 紅葉狩り
景色みとれる 二人とも
あなたの温もり 目に感じ
幸せ溢れる 胸の内
アーアー 微かに浮かぶ 秋の月
4 彼のアパート 雪見酒
予感が走る 二人とも
あなたの温もり 体の芯
寄り添い続けた 心波
アーアー 瞼に浮かぶ 冬の月
(四)星
(平成二十三年二月)
星祭り
1 金鶏の鳴き声 一際高し
赤星見付けた 東の空に
暗くなって 消えてゆく
何を夢見て 眠るのか
ルルルー 星 星達よ
2 西の空に輝く 一番星
宵から夜へと 移りゆく
星の昼間は 星月夜
何を愉しく 語らうのか
ルルルー 星 星達よ
3 天の川に浮かぶ きら星まぶし
織姫牽牛 七夕祭り
一夜を共に 星の宿
何を二人は 想うのか
ルルルー 星 星達よ
泣き笑い星
1 星は泣いてる 僕の心に
夕べ振られた 悲しい僕に
何で何だろう 判らぬ僕に
唇燃えた あの日あの時
あれは夢 これも夢
この世は 幻なのか
そうよー 幻なのよ
2 星は笑ってる 僕の心に
新手の彼女 嬉しい僕に
心結ばれ 和んだ僕に
二人で歩む バラ色の道
あれは幸 これも幸
この世は 希望なのか
そうよー 希望なのよ
(五)朝夕
(平成二十三年三月)
朝は必ず
1 朝が来るよう 地球の何処にでも
自分らしく 今日と言う一日を
精一杯 前向きに生きよう
例え何か 身に振りかかろうとも
朝は必ず 巡り来るのだから
2 朝が来るよう 地球の何処にでも
わたしは春 あなたは夏かしら
彼女は秋 彼は冬になっている
例え季節が それぞれ違っても
朝は必ず 巡り来るのだから
3 朝が来るよう 地球の何処にでも
晴れもあるし 曇りの日も来るね
雨がしとしと 雪が舞う時もある
例え天気が くるくる変わろうとも
朝は必ず 巡り来るのだから
朝霧に消えたあなた
1 朝霧に 消えたあなた
今日もまた 探しに来ました
花咲く丘 せらぎの音
緑萌える 森には小鳥
話しながら 登った山道
アーアーアー あなたは何処にー
2 朝霧に 消えたあなた
今日もまた 探しに来ました
可憐に咲く イワカガミひとつ
雲の海が 眼下に広がる
歌いながら 登った山道
アーアーアー あなたは何処にー
3 朝霧に 消えたあなた
今日もまた 探しに来ました
嶺が続く 何処までも
稲妻光る 移り気天気
寄り添いながら 登った山道
アーアーアー あなたは何処にー
夕焼け富士
1 夕焼け空に 富士の山
遥か彼方に 聳えてる
ちょうちょが ひらひらと
菜の花キャベツ 渡り歩く
共に追ったね あの頃は
小学校の 低学年
2 夕焼け空に 富士の山
遥か彼方に 聳えてる
蝉がミーミー 鳴き叫ぶ
寺や林を 探し行く
共に作った 標本は
小学校の 高学年
3 夕焼け空に 富士の山
遥か彼方に 聳えてる
いちょうに紅葉 色付いて
野球のボールに 恋をして
共に汗した 試合中
中学校の 三年間
たそがれ道
1 たそがれ背負う この俺は
何処で道を 間違えた
ああーそうだよ あの十字路
右に進んで 少年院
ふんぞり返る 空威張り
空に浮かぶは おぼろ月
心すさんだ あの頃は
2 たそがれ背負う この俺は
何処で道を 間違えた
ああーそうだよ あのT字路
左に進んで 刑務所
本好き仲間に 誘われて
読みあさった 本の山
心変わった あの頃に
3 たそがれ背負う この俺は
何処で道を 間違えた
いいえ正しい 一本道
保護司の娘に 恋をして
夜間高校 読み書きを
何時の間にやら 子だくさん
なっていました 保護司職
(六)昼夜
(平成二十六年六月ブログ未掲載)
白日夢
1 春の昼下がり うたたねひと時
タマは隣で 丸く丸くなる
都心からの 転校生
輝く瞳 くるくる回る
胸のトキメキ 初体験
恋の告白 古希の白日夢
2 夏の昼下がり うたたねひと時
タマは隣で 伸び伸びしてる
斜め前の 見惚れたうなじ
色気の香り 漂い迫る
指先震え デートの電話
恋人気取り 古希の白日夢
3 秋の昼下がり うたたねひと時
タマは隣で 憂いをみせる
やっと抜け出す 灰色受験
理想の女に 会わせてくれた
まさかまさかの 癌死の知らせ
仮想夫婦は 古希の白日夢
月夜の風情
1 月夜の風情 心に沁みる
満月見れば 父さん似てる
葡萄作りに 命を懸けて
家ではにこやか 団らん家族
今年も葡萄 待ってるわたし
2 月夜の風情 心に沁みる
三日月見れば 母さん似てる
葡萄子供に 精力向けて
夫唱婦随ぼ おしどり夫婦
今年は彼を 見付けるわたし
3 月夜の風情 心に沁みる
弦月見れば 兄さん似てる
葡萄作りに 命を懸けて
今年は彼に 嫁ぐはわたし
(七)雨
(平成二十六年六月)
平成二十三年三月十一日に起こった東北大震災のため、十五日予定のブログの書き込みは出来ませんでした。二週間後に気持ちも落ち着き、東北への応援歌を創作し、更に恒例の歌謡詞も創り、ブログに掲載したのです。そのブログのHTML編集で何時ものようにワードにコピーしようと操作していたところ、消えてしまいました。原因は分かりません。どこかのキーを押してしまったのでしょう。非常に残念です。ワードには作業の戻りキーがあり、便利ですが、ブログにはないようですので不便と思います。
この歌謡詞集を出版するために三年後に再度創作しました。
応援歌 『復興への道』
1 泥の中で ピカッと光る
手鏡ひとつ 涙がかれる
母さん今 何処にいるのよ
探し探して 早や一ヶ月
アーアー 大震災の 爪痕悲し
2 ボランティアの 炊き出し嬉し
折れた心が ゆるりともたげる
母さん今 何処にいるのよ
月日が過ぎて 仮の葬式
アーアー 皆の励まし 背を押してくれた
3 世界の支援 心が弾む
仮住まいから やっと抜け出した
母さん見てて 生きていきます
パーマを掛ければ ほころぶ笑顔
アーアー 復興への道 歩み続ける
よっちゃん
1 幼馴染みの よっちゃんは
酒と仕事に 飲み込まれ
手遅れ肺癌 旅立った
古希まで三年 未だ早い
心が疼く 涙雨
2 幼馴染みの よっちゃんと
メンコベーゴマ 水遊び
三角ベースで ホームラン
ぱっちり眼で 丸い顔
瞼に浮かぶ 涙雨
3 幼馴染みの よっちゃんは
子宝三人 妻早世
頑固一途の 親分肌
外地の事業 大成功
遺影輝く 涙雨
雨の彩り
1 ドキドキします 初デート
隅田の川面 桜映り
屋台で飲んだ ビールのコク
手製のお握り 分け合った
心浮き浮き 花の雨
2 ドキドキします 初泊り
箱根の温泉 肌震え
差しつ差されつ 酒の味
海鮮料理 分け合った
心浮き浮き 五月雨
3 ドキドキします 初嫁入り
素朴な社 白無垢よ
三々九度の 嬉し味
指輪交換 はめ合った
心浮き浮き 秋の雨
(八)雪・氷(平成二十三年五月)
雪模様
1 降り続く 山雪が
根雪重なり 万年雪
綿雪積もる 綿帽子
雪解け小川に 芽吹く花
森が緑に 小鳥鳴く
ラララー 山が呼んでいる
2 降り続く 里雪が
粉雪舞う 銀世界
名残りの雪の 雪明かり
雪解け道に ランドセル
サラリーマンも 通う道
ラララー 里が呼んでいる
3 降り続く 海雪が
濡れ雪多し 雪吹雪
雪の果てなる 時が来た
雪解け港に 魚船
観光船も 出を待って
ラララー 海が呼んでいる
未練なき雪達
1 雪に未練は ないけれど
あなたに出会った 瀋陽街
カラオケ歌って ダンスした
風呂に入って 背を流す
自宅マンション 夜が更ける
アーアー あれは春の雪
2 雪に未練は ないけれど
魚に出会った 大連港
生簀の素材に 惚れ惚れと
見詰めて食べた シコシコと
ホテルでにっこり 夜が更ける
アーアー あれは紅の雪
3 雪に未練は ないけれど
軍艦出会った 旅順港
日本語駄目と 制止され
日中間の イバラみた
別れたあの娘 どうしてる
アーアー あれは名残り雪
(九)霧・霞・靄
(平成二十三年五月)
浅間の朝霧
1 目覚めれば 朝霧去り 軽井沢
浅間の山は 朝日を浴びて
白樺に 小鳥さえずり 爽やかに
コーヒーの香り 心に沁みる
我一人 机に向い 筆をとる
自然と動く マス目の中を
2 昼下がり 戸外にいでて 道を行く
小川のせせらぎ 春を呼ぶ
名も知らぬ 草花愛でし 腰落とし
語り掛けたる 心のままに
我一人 机に向い 筆をとる
自然と動く マス目の中を
人生の春霞
1 四季の始まり 春霞
芽吹く草木の 音がする
虫もうごめき 顔を出す
蝶が舞う 菜の花に
小川の流れに げんごろう
遠くにおわすは 富士の山
2 子供ら歌う 四季の歌
菜の花畑に 入り日うすれ
我は海の子 白波の
夕焼け小焼けの 赤とんぼ
雪やこんこん あられやと
遠くにおわすは 富士の山
3 大人が歌う 四季の歌
春は転勤 引越しと
夏のボーナス 外れた期待
秋には停年 日が暮れ
冬の寒さが 身に沁みる
遠くにおわすは 富士の山
(十)雲
(平成二十三年六月)
三季の雲
1 ふんわりふわふわ 浮かぶ雲
菜の花蝶々 舞い上がり
ひばりもさえずる 風光る
季節始めの 春がきた
2 むくむくもっこり 湧いた雲
青い海原 カモメ舞う
白波寄せて 砂洗う
こげる太陽 夏がきた
3 すいすいすいすい 進む雲
池のトンボも 流れ舞う
紅葉の香り そこかしこ
来し方想う 秋がきた
茜雲いのち
1 ネオン輝く 片隅で
働き詰めの この私
振られ振られて 流れ着く
中洲 柳ヶ瀬 銀座裏
瞼に浮かぶ 故郷の
丘から眺めた 茜雲
心に秘めて 生きてます
2 酔っ払いの 相手して
ご機嫌取ってる この私
嫌な思いも 我慢して
今宵も更け行く 夜の街
瞼に浮かぶ 故郷の
二人で眺めた 茜雲
心に秘めて 生きてます
(十一)風
(平成二十三年六月)
手鏡(被災地の応援歌)
1 冷たい潮風 頬よぎる
瓦礫をよけて 探し物
砂に刺さった 手鏡は
妻の遺品に なりました
アーアー 弥生空の 苦い過去
2 青い海原 漁に出る
押し頂いた 義捐金
活きる力の 後押しに
子らも元気に なりました
アーアー 弥生空の 今がある
3 可愛い娘 舟出する
皆で辿った この道は
曲がりくねって いたけれど
手鏡妻に 背を押され
アーアー 弥生空の 祝いの日
風の散歩道
1 そよそよそよと 風光る
お花畑を 子らが行く
お手手つないで 歌ってる
共に遊んだ あの頃は
心が純な 幼年期
2 さわさわさわと 風薫る
テントを張って 炊事する
彼女の前で かしこまり
異性に目覚めた その頃は
心ときめく 青春期
3 ひゅーひゅーひゅーと 風冴ゆる
家族を守って 年が去り
仕事の成果 滲み出て
妻に感謝の この頃は
心落ち着く 成年期
風と男
1 風に強さが あろうとも
こちらは根性 負けはせぬ
押して押して 押し返す
これが男の 馬鹿力
やってやろうぜ 男ども
2 風に雨が あろうとも
こちらは根性 負けはせぬ
耐えて耐えて 耐え抜くぞ
これが男の 底力
やってやろうぜ 男ども
3 風に命が あろうとも
こちらは根性 負けはせぬ
立って立って 立ち尽くす
これが男の 生きる道
やってやろうぜ 男ども
(十二)寒暖
(平成二十三年七月)
寒暖の旅
1 ほんわか春が やって来た
悲しい過去に 別れを告げて
夢と希望の 列車に乗って
旅に出ます この私
それは心の 旅路です
2 ぞくぞく冬が やって来た
愉しい過去に 別れを告げて
耐えて耐え抜く 列車に乗って
旅に出ます この私
それは身体の 旅路です
3 不安な未来が やって来た
過去・現在に 別れを告げて
知恵と知識の 列車に乗って
旅に出ます この私
それは挑戦の 旅路です
星に抱かれて
1 春空に 星を眺めよう
夢を語れば キラキラ頷く
明日の一歩が 踏み出せる
ありがとう 春の星よ
2 夏空に 星を眺めよう
恋を語れば キラキラ頷く
そんな仕草に 励まされて
明日の一歩が 踏み出せる
ありがとう 夏の星よ
3 秋空に 星を眺めよう
許しを語れば キラキラ頷く
そんな仕草に 心洗われ
明日の一歩が 踏み出せる
ありがとう 秋の星よ
4 冬空に 星を眺めよう
悩みを語れば キラキラ頷く
そんな仕草に 心癒され
明日への一歩が 踏み出せる
ありがとう 冬の星よ
(十三)晴れる・晴れ
(平成二十三年七月)
天晴れ(あっぱれ)
1 初晴れ迎えし この年は
希望が叶う 胸弾む
地道に歩んだ この私
お天道様が にこやかに
微笑みかけて 頷いた
2 五月晴れ来た この頃に
土台造りが 始まった
地道に貯めた この私
家族みんなも 足し合わせ
槌音高く 柱組む
3 秋晴れ続く この時期に
新築家屋が お目見えだ
みんなの城に 拍手湧く
一家団欒 笑い声
家族の絆 いや高し
心晴れ
1 長い付き合い 何故何故去った
あなたの仕草で 分かった積り
あなたの言葉で 分かった積り
積り積りの 積み重ね
そんな自分に 気が晴れぬ
アーアー この世は ままならぬ
2 長い付き合い 迷惑だった
あなたの態度で 身に沁みたのよ
あなたの優しさ 変わってきたわ
元に戻れぬ 二人なら
別れがお似合い 晴れ晴れよ
アーアー この世は ままならぬ
二.季節・暦日
(一)春
(平成二十三年八月)
花冷え
1 花冷えに 生まれしあなた 弱かった
肩車に乗せられ 町医者へ
巡り来る 春を重ねて 過ぎてゆく
あなた一人で 故郷を去る
2 夫婦とも 春の錦に 包まれて
今日も元気で 畑の仕事
都会の春は ありますか あなたの便り
待ち遠しいの 何時か何時かと
3 春祭り 小さきあなたを 肩車
父さんは今 病の床に
孫連れて 帰っておくれ 今すぐに
会えば病が 飛んで行くのよ
若草の丘
1 若草萌える 丘の上
あなたと寝転び 空を見る
大きな夢を 描いたわ
山に抱かれ あなたにも
列車に飛び乗り 東京へ
ア ア アー 東京へ
2 紫煙くゆらす ベッドの上
一人寝転び 壁を見る
夢が夢が なえてきた
故郷は今 どんな色
あなたは今 何してる
ア ア アー 何してる
3 人に囲まれ 壇の上
喜び溢れ 涙みる
若草の丘 特選よ
あなたに会いたい この私
離れた年月 埋まるのか
ア ア アー 埋まるのか
(二)夏
(平成二十三年八月)
夏の家族
1 夏が始まる ミーンミーン
蝶を追い駆け 野山を巡る
田舎の空気 胸一杯に
浴衣姿で 踊りの輪に
櫓太鼓に 手足を合わせ
2 夏本番は ジージージー
大海原に 入道雲
泳ぎ疲れて 日焼けた家族
西瓜を頬張り ほほ笑み返す
大輪の花 夜空に舞う
3 夏の暮れは オーシンツク
楽しい思い出 過ぎ去って行く
宿題帳 頭が痛い
汗をかきかき 鉛筆なめなめ
父母の助けに 感謝する
アジアの女
1 野山が飛んでく 快速セマウル
ソウル デグ プサン 縦断列車
隣に座った 韓国娘
白いチョゴリに 緑のチマ
一重瞼に 涼しい目元
ガイドブックの にわか仕込み
片言会話に 手真似が入る
アーアー 夏の一人旅
2 台中の リー・ユエ・タン(日月潭)
一周歩いた 山陰の湖
近くにおわす 文化施設
九族文化村 ヤミ族アミ族
伝統衣装で ほほ笑む女性
ふくよか丸顔 癒しのタイプ
ニーハオ ツァイチェン 繰り返す
アーアー 夏の一人旅
3 北京 上海 香港島は
都会的な 婦人パワー
瀋陽・西安 成都・昆明
力みなぎる 農村女
ウイグル チベット 内モングルと
多彩な民族 固有の表情
地球は回る 歳月刻み
アーアー 夏の一人旅
(三)秋
(平成二十三年九月)
里の秋祭り
1 里の紅葉が 色付く頃は
垂れた稲穂が お出迎え
幼馴染の 顔合わせ
昔話に 花が咲く
鎮守の森は 笛太鼓
アーアー友がいる そばにいる
2 秋空澄んで 風吹く頃は
皆の子供が 綱を持つ
揃いの半纏 着こなして
山車の太鼓が 賑やかに
途中で増える 人の数
アーアー友がいる そばにいる
3 西日を浴びて 日焼けの頃は
幼馴染に 汗落ちる
ワッショイワッショイ ワッショイな
神社に戻り 差し上げる
手締めの顔に 絆あり
アーアー友がいる そばにいる
悲願の彼岸花
1 彼岸花 彼岸花
何故に花茎 高くなる
誇り高く 生きてきたわ
判ってもらえぬ 彼がいる
彼の心は 空いていますか
教えておくれ 彼岸花
2 彼岸花 彼岸花
何故葉の前に 花が咲く
華があるとは 思っているわ
判ってもらえぬ 彼がいる
彼の心は 咲いていますか
教えておくれ 彼岸花
3 彼岸花 彼岸花
何故にそんなに 身を焦がす
心に赤色 点しているわ
判ってもらえぬ 彼がいる
彼の心は 何色ですか
教えておくれ 彼岸花
(四)冬
(平成二十三年九月)
冬の指輪
1 闇が迫れば 溢れる光
ここは函館 下界は街よ
頭上きらめく 青いオリオン
巡り会えたわ 優しいあなた
あなたに寄り添い 夢見るわたし
ラララー ララーラー
2 闇が迫れば 流れる光
ここは麻耶山 神戸の街
頭上きらめく 赤い大犬
通い始める 心と心
互いに伸びる 太く赤い糸
ラララー ララーラー
3 闇が迫れば 明かりが灯る
ここは稲佐山 長崎の街
頭上きらめく 黄色い子犬
ついに来ました 婚約指輪
震える手触り いついつまでも
ラララー ララーラー
鎮魂山
1 冬の思い出 蘇る白銀
踏み越え 旭を見る
穂高連峰 目の前に
共に登った 冬山よ
アーアー 笑顔で乾杯 ほろ苦い
2 冬の思い出 懐かしむ
ガスを乗り越え 一歩ずつ
マッターホルン 目の前に
共に登った 冬山よ
アーアー 記念写真 雪焼け顔
3 冬の思い出 胸を刺す
希薄な空気 何のその
チョモランマ 目の前に
共に登った 冬山よ
アーアー 山に抱かれし 友一人
(五)時・年月・期
(平成二十三年十月)
時と齢
1 時を重ねて 齢は増える
生まれ出でた あの時から
男も女も 平等に
地球に住み 続ける限り
アーアー 我が命 地球に根ざし
2 時を重ねて 齢は増える
日々成長し 喜怒哀楽が
通り過ぎて行く あなたも私も
積み重なるは 思い出のページ
アーアー 我が命 地球と共に
3 時を重ねて 齢は増える
心弾めば 身体が燃える
希望目標 いくつになっても
持ち続ける その気力
アーアー 我が命 地球を愛す
谷間の娘
1 ビルの谷間の 陽だまり浴びて
母にしました 携帯電話
イケメン彼氏に 声掛けられた
袋渋谷に 新大久保と
食べて飲んで おしゃべりを
その内母さん 紹介します
2 黄昏時の 古アパートに
母から来ました 宅急便
ワクワクしながら 押し頂いた
梨漬物に 手編みのセーター
大事にしてね あなたの身体
母の面影 瞼に浮かぶ
3 闇に閉ざされ 都会の片隅
母に出したの 携帯メール
去って行ったわ イケメン彼氏
今度は自分で 探すわ彼を
父さんみたいな 垂れ目がいいか
気長に待ってて ねえ、母さん
三.地勢・地理・景観
(一)山
(平成二十三年十月)
希望の山
1 緑萌えるは 春の山
霞棚引く 山の朝
梅が咲いたよ 紅と白
鳥のさえずり そこかしこ
さあ登ろうよ 希望の山へ
2 草木茂るは 夏の山
旭まばゆい 海の朝
波光きらめく 水平線
海鳥の舞 そこかしこ
さあ登ろうよ 希望の山へ
3 紅葉生むは 秋の山
白雲ふんわり 里の朝
柿が色付く 陽を浴びて
祭囃子が そこかしこ
さあ登ろうよ 希望の山へ
4 眠りにつくは 冬の山
凍て付く寒さ 街の朝
自然も人も 耐え忍ぶ
春待つ心 そこかしこ
さあ登ろうよ 希望の山へ
山彦の別れ
1 あなたが好きよ 君が好きだよ
山彦響く 大雪山系
二人の出会い 山小屋だったね
山桜咲き 山鳩が鳴く
ご来光に 誓った二人
2 あなたが好きよ 君が好きだよ
山彦響く 穂高連峰
二人で登った いくつもの山
雪や嵐を 踏み越えて
共に味わう この生き甲斐
3 あなたはいない 君が好きだった
山彦むなし 雲仙岳
二人が別れた 小さなアパート
この世は夢 幻なのか
一人で登る 人生の山
(二)野原
(平成二十三年十一月)
関東平野
1 人は生きる 子孫は続く
北の山並み 日光連山
西に三国 秩父と箱根
幸に恵まれ 景色を愛でる
時は刻まれ 寸暇を惜しむ
夢が拡がる 関東平野
2 人は生きる 子孫は続く
太平洋に 流れ行くのは
利根川荒川 多摩と相模川
幸に恵まれ 波とたわむる
年は過ぎ行く 希望を抱き
夢が拡がる 関東平野
3 人は生きる 子孫は続く
西の台地に 低地の東
奥多摩湖に 霞ヶ浦よ
幸に恵まれ 文化を担う
世紀は進む 悔いなく生きよう
夢が拡がる 関東平野
恋しや栗毛
1 都会の渦に 巻き込まれ
悩み抱えて 背を丸め
あの日あの頃 世話をした
栗毛元気に 食べてるか
ア、アー 今頃は 北の果て
故郷恋し 草野原
2 都会の水に 慣れてきた
友も見付かり 輝く笑顔
あの日あの頃 背に乗った
栗毛元気に 駆けてるか
ア、アー 今頃は 北の果て
故郷恋し 花野原
3 都会の色に 染まりそう
早くも五年 夢のよう
あの日あの頃 共に寝た
栗毛元気に いななくか
ア、アー 今頃は 北の果て
故郷恋し 雪野原
(三)海、波、潮
(平成二十三年十一月)
愛の海
1 あなたと出会った 都会の海
時には荒波 迫り来たわね
揺れに揺れたは 二人の小船
凪を待ちわび じっと耐えたわ
あなたとわたし 何時も一緒
愛の海を 探し求めて
2 あなたと出会った 都会の海
時には寒流 流されたわね
寒さ身に染む 二人の小船
温さ待ちわび じっと耐えたわ
あなたとわたし 何時も一緒
愛の海を 探し求めて
3 あなたと出会った 都会の海
時には渦潮 巻き込まれたわね
地獄に落ちる 二人の小船
天国待ちわび じっと耐えたわ
あなたとわたし 何時も一緒
愛の海を 探し求めて
潮にまみれた男
1 潮にまみれた この身体
荒波越えて 行く先は
暑さひとしお 南の海
鯛に鮪が 飛び跳ねた
月を枕に 夢を見る
アーアー 妻と子供の 笑い顔
2 潮にまみれた この身体
荒波越えて 行く先は
寒さひとしお 北の海
鰤に鰊が 飛び跳ねた
星を枕に 夢を見る
アーアー 母と父の 不安顔
3 潮にまみれた この身体
陸に上がって 行く先は
待ち人多し 一軒家
活き良い魚に 頬寄せた
絆を枕に 夢を見る
アーアー 家族団らん 恵比寿顔
(四)川・滝
(平成二十三年十二月)
逆さ川
1 川には色々 ありますね
源流下り 谷川へ
滝壷落ちて なお続く
合流重ねし 大川と
河口越えて 海原に
私一人が 細き川
2 川には色々 ありますね
きらきら光る ひと雫
喜び集まり 一筋に
清らな流れ 続き行く
時には濁り 澱みます
私一人が 暴れ川
3 川には色々 ありますね
深山に湧き出し 山流が
早川早瀬 下りて行く
川上過ぎし 中流へ
天井川に 尻無し川
私一人が 逆さ川
白糸懺悔
1 滝に打たれた あなたとわたし
何を悩んで ここまで来たの
無我の境地に なれるのかしら
冷たい痛い 身体の叫び
歩き続けた 二人でしたね
アアアー 白糸 絶えることなく
2 滝に打たれた あなたとわたし
何で喧嘩を してきたのかな
無我の境地に なれるのかしら
辛い苦しい 心の叫び
別れてしまった 二人でしたね
アアアー 白糸 絶えることなく
3 滝に打たれた あなたとわたし
何が溝を 深めたのだろう
無我の境地に なれるのかしら
感謝の気持ち 互いの叫び
幸せ道を 探し求めて
アアアー 白糸 絶えるえることなく
(五)谷・崖
(平成二十三年十二月)
渓流巡り
1 石狩川に 春が来た
雪解け水は 冷たかろ
水草求め 小魚が
小鳥さえずる 枝の先
木漏れ日浴びて キラキラと
アーアー 渓流は 生命の泉
2 奥入瀬川に 夏が来た
陽が照る水は ぬるかろよ
餌を求めて 育つ魚
蝉が鳴いてる 幹抱いて
澄んだ大気で キラキラと
アーアー 渓流は 生命の泉
3 四万十川に 秋が来た
和んだ水は 程が良い
故郷求めて 鮭上る
紅葉ささやく 森深し
色の踊りで キラキラと
アーアー 渓流は 生命の泉
4 熊襲の球磨川 冬が来た
幽谷水は 神懸り
春を求めて 魚眠る
小雪ちらほら そこかしこ
水面も重なり キラキラと
アーアー 渓流は 生命の泉
崖の花
1 崖に咲いたわ 名も知らぬ花
風に吹かれて 吹かれて揺れる
じっと待つのよ 風止む時を
あなたはわたし わたしはあなた
崖の花は ポツンとひとつ
2 崖に咲いたわ ピンクの花びら
雨に打たれて 打たれて濡れる
じっと待つのよ 雨止む時を
あなたはわたし わたしはあなた
崖の花は ポツンとひとつ
3 崖に咲いたわ 可憐なお花
日差しを浴びて 笑顔が戻る
じっと待つのよ 希望を胸に
あなたはわたし わたしはあなた
崖の花は ポツンとひとつ
(六)みち(道、路、途)
(平成二十四年一月)
男道・女道
1 男と言うなら 越えてみろ
山道崖道 犬戻り
胸付き八丁 男坂
選び抜いて 突き進め
二股三股 四の辻
前途に輝く 希望の光
2 女だけなら 一歩ずつ
畦道畑道 通い道
ゆるり回るは 女坂
疲れ切ったら 休みとる
浜道磯道 散歩道
行く手に輝く 幸せの途
涙の旅路
1 路傍の地蔵に 手を合わせ
別れたあなたを 思い出す
子供と上手く やってますか
わたしは一人 旅の中
見知らぬ人が 擦れ違う
2 磯の香りに 包まれて
別れたあなたを 思い出す
四人家族の 海遊び
わたしは一人 旅の中
見知らぬ鳥が 空を行く
3 旅路の果てに なりました
涙涸れ尽き 未練なし
裏手の路地で 縄暖簾
わたしは一人 旅の後
馴染みの客に 酌をする
(七)田・畑
(平成二十四年一月)
田毎の月
1 父さん母さん 元気ですか
都会に嫁いだ このわたし
姑の教え 厳しいわ
夫の笑顔に 癒されて
日々の暮らしが 終わります
思い出すのは 田毎の月
2 弟二人 元気ですか
きちんと手伝い してますか
買い物掃除 勉強と
大変でしょうが 頑張って
夢に向って 進んでね
思い出すのは 田毎の月
3 故郷さん 元気ですか
季節に変わりは ないですか
春の菜の花 桜花
夏には潮風 吹きますか
秋の祭りは 賑わうの
思い出すのは 田毎の月
揺れる菅笠
1 手甲脚絆に 赤帯締めて
菅笠揺れる 苗代みどり
畦に並ぶは 子供の笑顔
西の彼方に 富士山聳え
お握り味わい 憩うひと時
アーアー 時は流れゆく 流れゆく
2 辺り一面 輝く稲穂
腰を屈めて ザクッと鎌で
稲わら干して 脱穀すれば
籾が弾んで 踊り落ちる
お握り味わい 憩うひと時
アーアー 時は流れゆく 流れゆく
3 じじとばあばは 星になって
父と母は 孫に手を引かれ
畦に並んで 微笑送る
田植え稲刈り 代々続く
お握り味わい 憩うひと時
アーアー 時は流れゆく 流れゆく
(八)景色
(平成二十四年二月)
四季のリズム
1 ランラランラン ランランラン
お花飾りの おべべ着て
蝶のように 踊りましょ
ひばりがピーチク パーチクと
お日様にこにこ にっこりと
ソーレソレソレ 踊りましょ
2 ランラランラン ランランラン
水玉模様の 水着着て
魚のように 泳ぎましょ
かもめがふわふわ 飛んでいる
入道雲の 親子連れ
ソーレソレソレ 泳ぎましょ
3 ランラランラン ランランラン
赤いはち巻 短パンはき
バンビのように 走りましょ
家族みんなで お弁当
赤勝て白勝て どっちかな
ソーレソレソレ 走りましょ
4 ランラランラン ランランラン
毛糸帽子に 手袋はめ
先生のように 滑りましょ
板とストック ちぐはぐに
そこのけそこのけ 危ないわ
ソーレソレソレ 滑りましょ
幽邃慕情
1 大波小波 幾度か
時には飲まれた こともある
あなたの背中を 追い続け
何時しか凪に なっていた
心に映る アーアー 白砂青松
2 山あり谷あり 幾度か
時には落ちた こともある
あなたの背中を 追い続け
何時しか頂き 立っていた
心に映る アーアー 深山幽谷
3 あなたと結ばれ 幾星霜
心の距離の 伸び縮み
あなたの背中を 追い続け
何時しか絆が 生まれてた
心に映る アーアー 花鳥風月
四.自然物・自然現象
(一)水
(平成二十四年二月)
一途な慕情
1 朝露輝く 療養所
海原昇る ゆらゆら旭
あなたは今頃 何してるかな
私は今では 薬が仲間
早く会いたい 恋するあなた
恋するあなた
2 雨垂れ落ちて 弱気が出たわ
長引く病 不思議に思う
胃潰瘍とは 言われたけれど
不安は募る 今宵もまた
早く会いたい 恋するあなた
恋するあなた
3 つらら伸びてる 冬の黄昏
命の炎 揺らいで消えた
あなたに出会い 愛の歓びを
思いで胸に 天国へと
早く会いたい 恋するあなた
恋するあなた
赤い水の糸
1 どくどく注いだわ あなたのおちょこ
とくとく注いでよ 私のおちょこ
二人の頬は ピンクに染まる
あなたの傍で 温もり感じ
そんな旅が 心を癒す
2 ざーざー雨が 二人を濡らす
慌てて駆け出す 渋谷の街を
下着を買って 穿き替えたわね
夜景を見ながら 夕食愉し
そんな思い出 話の種よ
3 ぴちゃぴちゃ ちゃぷちゃぷ
可愛い長靴 弾んで遊ぶ
赤いランドセル 背中で揺れる
お手々つないだ 幼なじみ
そんな二人が 夫婦になった
(二)音・響き
(平成二十四年三月)
四季の声
1 弥生卯月に 皐月空
菜の花畠に 蝶が舞う
鶯啼くのは 梅の花
ピンクの桜 咲き誇る
希望に燃えて 歩き出す
耳を傾け 春の声
2 水無月文月 葉月空
紫陽花畠に 小雨舞う
蝉が鳴くのは 樫の木か
黄金の向日葵 首を振る
希望の路を 走り出す
耳を広げて 夏の声
3 長月神無月 霜月空
菊の畠に 香り舞う
こおろぎ啼くのは 縁の下
紅葉絨毯 輝けり
希望の成果を もぎり取り
耳を狭めて 秋の声
4 師走睦月に 如月空
葉牡丹畠に 小雪舞う
鶴が鳴くのは 裸枝
白い山茶花 凛と咲く
希望を胸に 誓い立て
耳を閉じ掛け 冬の声
命の限り
1 男と女 響き合う心
男の音色 度胸一筋
女の音色 愛嬌一番
男女の道は 溢れる光
共に進もう 命の限り
2 男と女 響かぬ心
男の本音 意地の無理押し
女の本音 子供優先
家族の道は 喧嘩花盛り
共に争う 命の限り
3 男と女 静かな心
男の芯に 育った絆
女の芯に 生まれた誠
人の道は 長くて短い
共に寄り添う 命の限り
(三)火
(平成二十四年三月)
愛の灯火
1 初の出会いは 居酒屋で
声を掛けられ 飲んだ酒
心うきうき 火照り顔
話す仕草の 愛らしさ
恋の灯火 点いたのね
2 初のデートは 映画館
ラブコメディーに 笑い声
何時しか右手が 握られて
そっと返した 温もりを
恋の灯火 燃え上がる
3 初の泊まりは 京の宿
部屋付き風呂で にこやかに
差しつ差されつ 酒の味
あなた任せの このわたし
愛の灯火 燃え盛る
命の花火
1 シュルシュルパー 咲くは大輪の花
どよめく歓声 我が耳元に
次の点火に 注意を込めて
黒子に徹する この心意気
豪華な作品 命の子供
他人の喜び 我が喜びと
2 シュルシュルー シュルシュルー
シュルシュルー 続く打ち上げ
パーパーパー 咲き乱れる花
玉屋の叫び 我が心に
儚い(はかない)作品 命の子供
他人の喜び 我が喜び
3 シュシュシュー シュシュシュー
クライマックス 仕掛けの花火
何が浮き出る 固唾を呑んでる
富士の山に 満開桜
優雅な作品 命の子供
他人の喜び 我が喜びと
五.からだ・感覚・容姿・健康
(一)全身
(平成二十四年四月)
小さな母
1 生身削って 産んでくれた
小さな母に 頭が下がる
我がまま一杯 反抗してた
そんなわたしを 見捨てもせずに
迎える二十歳 涙に濡れる
2 骨身削って 働いてくれた
小さな母に 頭が下がる
あの日あの時 苦しみ悩んだ
そんなわたしを 抱き締めて
迎える嫁入り 涙に濡れる
3 肌身削って 助けてくれた
小さな母に 頭が下がる
やっとのことで 娘を授かり
そんなわたしに 微笑み返す
迎えた親よ 涙に濡れる
禿げと白髪の勝負とは
1 禿げの頭を 笑わば笑え
白髪頭の 何処が良いのか
洗い簡単 不潔にならず
手入れ簡単 時間要らず
禿げの貫禄 磨きを掛けよ
2 白髪頭を 笑わば笑え
禿げ頭の 何処が良いのか
ふさふさ髪が 頭を守る
ロマンスグレーと もてはやされて
若さの維持に 磨きを掛けよ
3 禿げと白髪を 笑わば笑え
いずれ来るぞよ 覚悟をしとけ
脳の中身が 大事なんだぞ
後悔しても 後の祭りだ
知性・人格 磨きを掛けよ
(二) 頭・首
(平成二十四年四月)
くりくり坊主
1 くりくり坊主 くり坊主
お喋りせずに 前を見て
車が来ないか 確かめよ
青信号に 手を挙げて
二列横断 サッさとね
2 くりくり坊主 くり坊主
お喋りせずに 前を見て
先生の教えに 耳広げ
質問攻めにも 手を挙げて
しっかり答えよ サッさとね
3 くりくり坊主 くり坊主
休み時間だ 外に出て
走り回って 席に着く
放課後ソフトで ホームラン
そんな昔が 懐かしい
白い襟足
1 白い襟足 色気が厚し
左斜めの 中学生
気持ちが揺れる 木の葉のように
好きだと言えぬ 自信のなさに
自分にあきれる 孤独な僕だった
2 熱い想いを 受験に変えて
進む道のり 一直線
高校大学 エリートコース
誘った彼女 友達連れて
純な恋が 終わりを告げた
3 還暦迎え 初のクラス会
気品溢れる 眼鏡の彼女
純な乙女が 蝶になり
当時の想い 言い出せぬまま
第二の彼女が 傍にいたから
(三) 髪
(平成二十四年五月)
あの笑顔
1 柳芽吹いた 校門で
長い黒髪 ふさふさと
握る母の手 温もりが
心の芯を 揺さぶるの
何時も変わらぬ あの笑顔
2 さつき彩る 庭園で
染めた黒髪 歳重ね
夫婦になるの この私
育ててくれて ありがとう
何時も変わらぬ あの笑顔
3 雪がちらほら 病室で
髪の吹雪に 目を見張り
髪を洗って 整える
にっこりにこにこ お辞儀する
何時も変わらぬ あの笑顔
ランデブーのリズム
1 あなたとわたし ふさふさ髪よ
二人寄り添い ランデブー
ランラランラン ランデブー
青空青春 ランデブー
幸せ溢れる エブリディー
2 子供は宝 ニコニコ笑顔
三人寄り添い ランデブー
ランラランラン ランデブー
青空買い物 ランデブー
子育て愉し エブリディー
3 嫁は家族の ニューフェース
四人寄り添い ランデブー
ランラランラン ランデブー
青空ドライブ ランデブー
会話弾ける エブリディー
(四)顔・ひげ
(平成二十四年五月)
母の心響
1 産まれた我が娘に 感謝を捧げ
抱けばほっぺに チューをする
産声高く 響き渡り
おっぱい飲んでは スヤスヤ眠る
母の喜び この上なし
2 産まれた我が娘に 手を焼かされた
叱れば眉間に 皺寄せている
反抗声が 響き渡り
プイと出て行く 遊びの世界
母の悩み この上なし
3 産まれた我が娘に 告白された
見れば満面 笑み浮かべてる
ソプラノ声が 響き渡り
彼の赤ちゃん 動いていると
母の動揺 この上なし
えくぼ大臣
1 えくぼが可愛い 男の子
あの子は菓子屋の 次男坊
お菓子を買いに 妹と
いつも心が 躍ってた
2 えくぼが可愛い 男の子
同じ学校の 二級下
かけっこ速いよ 一等賞
弟ならと 思ってた
3 えくぼが可愛い 男の子
菓子屋の二代目 まるまると
眼鏡掛けて にこやかに
今でも心が 騒ぐのよ
(五)目・眉
(平成二十四年六月)
懺悔の花
1 瞳ちゃん 遅くなって ご免ね
別れた後だが 懺悔をしたい
買い物炊事に 洗濯掃除
こんなに辛く 大変だったとは
初めて知った きみの苦労
2 瞳ちゃん 遅くなって ご免ね
付き合いだからと 飲んで帰って
管を巻いたは 真夜中だった
寝不足のきみ 朝の支度
行ってらっしゃい 見送り笑窪
3 瞳ちゃん 遅くなって ご免ね
残業浸けに 接待ゴルフ
稼いだからと 胡坐をかいた
夫婦の会話 限りなく零
懺悔懺悔の 花が咲いたよ
白い眉
1 白い眉の 老人は
何も語らず 世を去った
戦後になって 嫁貰う
田舎教師は 読み書きを
少ない給与 持ち出して
生徒を連れて おのぼりさん
2 白い眉の 老人は
何も語らず 世を去った
息子が生まれ すくすくと
娘も続いて 幸せか
都見物 二十年
これでやっと 一区切り
3 白い眉の 老人は
何も語らず 世を去った
通夜の席にて 伯父話す
作家になった 息子へと
お前の父は 教官だ
特攻訓練 指導官
(六)耳
(平成二十四年六月)
耳さん、耳さん
1 耳さん耳さん 聞こえるかい
これは多忙な 一日よ
母の包丁 コトコトと
通勤電車の レール音
パソコン打つ手が 軽やかに
残業こなす バブル時
2 耳さん耳さ ん聞こえるかい
これは愉しい 音世界
踊るは音符 五線譜に
童謡唱歌 歌謡曲
民謡ポップス ウエスタン
古典音楽 エトセトラ
3 耳さん耳さん 聞こえるかい
これは素敵な 自然界
さえずるウグイス 梅の花
鳴いてる海鳥 波の上
わびしい森は 春しぐれ
山彦こだまし 虹の橋
噂のシングルマザー
1 小耳に挟んだ 内緒の話
あの娘近頃 化粧が厚い
服も垢抜け 輝き見せる
長い脚で ステップ踏んで
朝の挨拶 笑窪がひとつ
彼が出来たわ 間違いなしと
2 小耳に挟んだ 噂の話
あの娘近頃 歩みが遅い
スカート先に 平たい靴が
お腹ふくれる 日が経つごとに
朝の挨拶 にこやか笑顔
妊娠したわ 間違いなし
3 小耳に挟んだ 驚く話
あの娘近頃 お腹がへこむ
赤子抱いてる その顔沈む
男の影が 何処にも見えず
朝の挨拶 作った笑顔
シングルマザー 間違いなしと
(七) 鼻 (平成二十四年七月)
低い鼻
1 家族そろって 低い鼻
幼稚園の 砂遊び
背はすくすく 伸びてるね
鼻高々よ 背は一番
2 家族そろって 低い鼻
小学校の 運動会
脚はすくすく 伸びてるね
鼻高々よ 走り一番
3 家族そろって 低い鼻
中学校の 学期末
頭はすくすく 伸びてるね
鼻高々よ テスト一番
男エレジー
1 腕を組んで ランデブー
鼻を鳴らすは 誰だっけ
甘え上手な 君だった
コートにバック 買いそろえ
二人は何時しか ゴールイン
2 子供を連れて お買い物
鼻が利くのは 誰だっけ
値引き交渉 君だった
自分と子供に 買いそろえ
尻に敷かれる 涙雨
3 子供巣立って 二人きり
鼻であしらう 誰だっけ
中年太りの 君だった
グルメ旅行の 花盛り
俺は一人で やけ酒か
(八) 口・歯
(平成二十四年七月)
娘三変化
1 おちょぼ口で お下げ髪
笑窪二つ 愛らしい
お手玉おはじき 輪になって
晴れ着姿で 羽根突きを
アアアー 我らが 小町
2 尖り口見せる 乱れ髪
子供四人が 騒ぎ出す
炊事洗濯 目が回る
化粧している 暇はなし
アアアー 我らが 小町
3 口元寂し 白い髪
孫が三人 世話をする
嫁に似てきて ためぐちを
足腰弱り 情けなし
アアアー 我らが 小町
八重の響き
1 笑えば八重歯 こぼれそう
八重の桜は 美しい
八重の椿は 華やかで
八重の牡丹は 艶やかに
八重の響きは 心を洗う
2 笑えば八重歯 こぼれそう
八重の名前は 奥ゆかし
八重の山々 厳かに
八重の潮路に 夢がある
八重の響きは 心を洗う
(九) 息・舌
(平成二十四年八月)
音頭巡り
1 ハアー 住吉良いとこ 一度はおいで
老いも若きも ニコニコ笑顔
隣近所は 大きな家族
助け合うのは お互い様よ
脚を静かに 踊りましょう
サアサ 輪になり 盆踊り 盆踊り
2 ハアー 葛飾良いとこ 一度はおいで
帝釈天に 矢切の渡し
オゾン溢れる水元公園
夢を育む プラネタリウム
息を弾ませ 踊りましょう
サアサ 輪になり 盆踊り 盆踊り
3 ハアー 東京良いとこ 一度はおいで
名所旧跡 数々あれど
世界一なる スカイツリー
自然美残す 高尾の山へ
サアサ 輪になり 盆踊り 盆踊り
愛の舌
1 あなたは毒の 舌を持っていますか
皮肉・非難は 敵を作るだけ
的を得た批評 心に沁みる
立場変えて みれば判る
毒舌吐くなら こしょう代わりに
2 あなたは黙する 舌を持っていますか
只の沈黙 役には立たず
目線合わせが 心に沁みる
立場変えて みれば判る
何も言わずに そっと抱き締める
3 あなたは愛の 舌を持っていますか
慈しむ心 湧き出す言の葉
情を感じて 心に沁みる
立場を変えて みれば判る
地球を愛で 包みましょう
(十)肩・背・尻
(平成二十四年八月)
女の旅路
1 潮騒高し 石廊崎
鴎が一羽 舞い上がる
あなたは何故か うなだれる
そっと肩を 抱き締めた
恋人見下ろす 鰯雲
2 霊峰高し 富士の
霞が一面 立ち込める
あなたは新妻 付いて来る
僕の背中を 見詰めながら
青い空には 希望あり
3 意気軒昂の 山の神
スタイル抜群 太り出す
女女と 子沢山
何時しか自分は 尻の下
夕立上り 虹の空
(十一)手・腕・指
(平成二十四年八月)
肘鉄行脚
1 肘鉄食らった 僕だけど
取り得は一つ 押し相撲
見初めた時は 中学で
スコート姿に 目が眩み
ラリーの応酬 鮮やかかに
2 肘鉄食らった 僕だけど
取り得は一つ 押し相撲
心が踊った 高校で
競泳姿に 惚れ直す
ドルフィンキック しなやかに
3 肘鉄食らった 僕だけど
取り得は一つ 押し相撲
デートの約束 三度目で
仲を取り持つ クラス会
指輪の交換 厳かに
(十二)胸・乳房
(平成二十四年九月)
あの女
1 胸を焦がした あの女は
一人娘の かぎっ子で
寂しさ紛らす スケバンに
向日葵想う あの笑顔
ナナハン後ろで 腰を抱く
2 胸が痛んだ あの女は
突然倒れて 救急車
赤いランプの 手術中
神への祈り 届いたね
スケバン抜けて 大学生
3 胸が踊った あの女は
笑顔で応える プロポーズ
ともに歩んだ 呉服商
子宝三人 恵まれて
青い目産んだ 我が娘
乳母何処
1 私を育てた 乳母何処
風の便りに 西東
訪ね歩いた 幾千里
母の面影 聞きたくて
今日も暮れゆく 秋の空
2 私を育てた 乳母何処
流れる雲と 西東
訪ね歩いた 幾星霜
探し当てたる その女は
天涯孤独な うば桜
3 私を育てた 乳母殿よ
感謝感激 この通り
今では養護の 施設長
母の話に 耳立てる
ともに過そう 残り火を
(十三) 腹・臍
二番夢
1 腹を割った 友一人
雲海見下ろし 夢語る
大志抱いて 山下る
社会の道を 一歩ずつ
希望の光に 照らされて
2 腹を割った 友一人
路地の居酒屋 愚痴が出る
夢は遠すぎ 悲観的
社会の道は 険しくて
希望の光は 暗くなる
3 第二の夢で 良いんだと
肩を叩かれ 励まされ
人生程々 気が楽に
希望の光が 輝いた
うわっつら
1 ほぞを固めた あの時は
大学二年の 文化祭
準ミス舞台 同級生
デートの誘い ドキドキと
ドライブざんまい 西東
2 ほぞを噛んだ あの時は
結婚二年目 出張時
浪費ざんまい 遊び癖
料理の味は 今いちで
毎夜毎夜の 口喧嘩
3 ほぞを固めた あの時は
残業帰りの 居酒屋で
誘った後輩 気配りが
離婚成立 晴々と
バツ一再婚 子宝に
(十四)腰・足・脚
(平成二十四年十月)
腰ぎんちゃく
1 俺は高卒 新人だ
配属先は 糞さらい
マウス ラットに モルモット
帰りはシャワーで 臭い消す
2 俺は高卒 五年目で
夜間大学 卒業し
総務に移って 胸弾む
組合活動 精を出す
3 俺は大卒 二十年
部長の肩書き 鼻高し
腰ぎんちゃくと 言われよと
常務頼って 上目指す
一人旅
1 一人娘に 言い寄られ
涙隠して 嘘を付く
僕はバツ一 資格なし
一年早目に 出会ったら
和菓子握る 手が震え
2 お嬢さんの 苦しさに
消えて行くのも 一つかと
思い悩んで 日が暮れる
可憐過ぎる 立ち姿
心和むは 片笑窪
3 好きな女が いるのです
最後の切り札 口に出す
長い黒髪 泣きじゃくる
あなたのお傍に 仕えたい
脛に傷持つ 一人旅
(十五) 肌・血
(平成二十四年十月)
やもめ暮らし
1 長女の美肌 私の自慢
和服着こなし 優しさ浮かべ
婿と共に 商い呉服
孫の世話に 和みと疲れ
今日も過ぎ行く 夕餉は愉し
2 次女の美肌 私の自慢
流行のミニで 勝気を浮かべ
テレビ出ている 早口のアナ
彼の紹介 何時のことやら
心残りは この娘のことよ
3 三女の雪肌 私の自慢
ちゃっかり娘 笑顔を浮かべ
学生結婚 留学中に
青い目の孫 ベッドの傍に
やもめ暮らしが 静かに流れ
三昧
1 初夏を彩る 空模様
おいらの首には 青筋が
揺れる神輿に 息上がる
掛け声よろしく 威勢良く
祭太鼓に 血が騒ぐ
2 女房子供は 山車を引く
響く太鼓に 急かされて
巡る街中 手を振って
児童加わる 同級生
祭太鼓に 血が騒ぐ
3 祭のはしごに 明け暮れて
鎮守祭に 隣町
三社 神田に 山王様よ
しめは深川 富岡宮
祭太鼓に 血が騒ぐ
(十六) みる(見、視)
(平成二十四年十一月)
恵風
1 赤いセダンで 風を切る
しがない男の 二人旅
今日は東に 明日は西
車中泊で 星を見る
三泊四日の 夏休み
2 赤いセダンで お勤めに
しがない男は サラリーマン
残業重ねて 金を貯め
仕事疲れで 星を見る
振り子のような 毎日さ
3 赤いセダンで 風を切る
磐梯山は 紅葉映え
ヒッチハイクの 女子大生
一目惚れした 麗子さん
婿に入って 専務なり
色付く丘
1 丘の上の 学び舎は
淡いピンクの 花盛り
運動会に 文化祭
泣いた笑った 怒ったね
青春時代 駆け抜けた
視線の先は あなたの笑窪
2 丘の上の 教会は
輝く紅葉の 真っ盛り
指輪交換 ウエディング
泣けた笑えた 嬉しさで
成年時代 駆け抜けた
視線の先は あなたの笑顔
3 丘の上の 病院は
雪化粧の てんこ盛り
糖尿病に 癌告知
泣けた泣けた 悔しさで
老年時代 越せるのか
視線の先は あなたの微笑み
成年時代 駆け抜けた
(十七)みる(見、覧)
(平成二十四年十一月)
彩り(いろどり)
1 春の霞に 二人は浮かぶ
水戸の梅見に 肩寄せ合って
彩り冴える 紅梅白梅
湖の青さに 白鳥映えて
染まるわ私 あなたの色に
2 秋めく空に 二人は思う
高尾の紅葉見 彩り競う
天にも響く 薬王院の読経
心が和む リスのお出まし
染まるわ私 あなたの色に
3 冬の木立に 淋しさ募る
草津の雪見は 手酌酒
冷めてゆくのよ 身体と心
生きる辛さに 背を向けて
流すは私 あなたの色を
回覧板の独り言
1 春秋の空 爽やかな
交通安全 お知らせだ
ハンドルさばき よける人
老いも若きも 脂汗
僕も交じって 車乗り
回覧板の 独り言
2 曇り空が 怪しいな
防災訓練 お知らせだ
老いも若きも 真剣に
僕も交じって はしご車に
回覧板の 独り言
3 晴れ渡る空 眩しいな
今日は祭の お知らせだ
神輿ワッショイ 笛太鼓
老いも若きも 汗をかき
僕も交じって 担ぎたい
回覧板の 独り言
(十八)みる(下見、目先)
(平成二十四年十二月)
下見旅行
1 下見旅行の 愉しみは
気楽な気分で 参ります
春は房総 花ライン
大海原の 静けさよ
魚尽くしに 舌鼓
2 下見旅行の 愉しみは
気心知れた 仲間内
夏は箱根の 山ライン
芦ノ湖巡れば 風涼し
時代の流れ 関所跡
3 下見旅行の 愉しみは
気分爽やか 溌剌と
秋は鎌倉 寺ライン
彩る紅葉 それぞれに
歴史の味は 古都の路
目先勝負
1 ふっくら彼女に 声掛けた 声掛けた
デートの誘いに 胸弾む 胸弾む
何から何まで アッシー君 アッシー君
身体もお金も 泣き出した 泣き出した
目先も読めず 恥ずかしい 恥ずかしい
2 締まったお馬に 運賭けた 運賭けた
号砲一発 胸弾む 胸弾む
第四コーナー 一番手 一番手
逃げ足伸びずに 着外だ 着外だ
目先読めず 悔しいよ 悔しいよ
3 見合いの相手に 一目惚れ 一目惚れ
優しさ溢れて 胸弾む 胸弾む
新婚家庭は バラ色だ バラ色だ
節約してても 心は豊か 心は豊か
目先が読めて 大当たり 大当たり
(十九)みる(尊敬の覧、診)
(平成二十四年十二月)
覧の窓
1 尊覧下され 我が絵画
春は梅桃 桜咲く
夏は紫陽花 向日葵と
秋は紅葉の 彩模様
冬には雪が しんしんとー
2 天覧下され 我が試合
巨人阪神 息を飲み
飛んだサヨナラ ホームラン
ここ一発の 醍醐味
男長嶋 じんじんとー
3 照覧下され 我が人生
オール三の 点をとり
サラリーマンで 凡々と
子供を育て 満足
迷惑掛けずに しゅんしゅんとー
開業医哀歌
1 朝から晩まで 絶え間なく
問診視診に 触診だ
打診聴診 レントゲン
心電計に 採血を
処方書いて 一区切り
昼の休みは 往診に
勤め終わって ホッとする
2 巡って来ました 休診日
心の洗濯 願うなり
家族サービス 手が抜けぬ
今日はドライブ 富士の山
急患叩くは ドアの音
鬼の心で 居留守なり
医者も人の子 身が持たぬ
(二十) みる(瞳、覗く)
(平成二十五年一月)
人工衛星
1 回る回る 地球を回る
人工衛星 瞳をこらし
白雲棚引く 青さ光る海
茶に追われし 緑の陸地
人と共に 息づく生き物
2 回る回る 地球を回る
人工衛星 瞳をこらし
身近な星に またたき見えず
夜のしじまに 明かりが見える
光の花火 オーロラの帯
3 回る回る 地球を回る
人工衛星 瞳をこらし
地球はひとつ 乗り合い船だ
輝く笑顔で 手をつなぎ
一人ひとりが 理想に燃えて
時に想う
1 時には心を 覗いてみよう
喜びの高さ どの位かな
怒りの深さ 底なしか
哀しみの涙 涸れ果ててるか
楽しみの未来 遣って来るのか
心のバランス 知恵の積み重ね
2 時には身体を 覗いてみよう
頭の密度 隙間はないか
胸の働き 順調か
腰の機能に 衰えないか
脚の運びに 若さはあるか
身体のバランス 知恵の積み重ね
3 時には周囲を 覗いてみよう
家族の顔に 笑顔はあるか
隣近所に 挨拶するか
日本の未来に 希望はあるか
世界の仲間に 幸が溢れるか
地球のバランス 知恵の積み重ね
(二十一)聞く、聞こえる
(平成二十五年一月、二月)
白い便り
1 ランドセルしょって ランララン
お手手つないで ランララン
お下げ髪の 女の子
クラス委員の お転婆さん
美代ちゃん今頃 何処にいる
結婚してるか どうなのか
風の便りは まだ聞かぬ
2 胸がドキドキ ランララン
うなじの色気 ランララン
セーラー服の 女子生徒
震える手先で 年賀状
千恵さん今頃 何処にいる
結婚してるか どうなのか
雲の便りは まだ聞かぬ
3 一目惚れで ランララン
気品の微笑み ランララン
白衣姿の 女学生
心弾ませ 初デート
麗子さん今頃 何処にいる
結婚してるか どうなのか
鳥の便りは まだ聞かぬ
命の限り
1 ほら聞こえるでしょう 耳を澄ませば
春虫たちの うごめく音を
芋虫ごろごろ キャベツをパクリ
蝶の姿で 蜜吸いながら
菜の花を舞う 命の限り
2 ほら聞こえるでしょう 耳を澄ませば
夏虫たちの うごめく音を
蝉の幼虫 殻を脱ぎ捨て
地上に登り 樹液を含み
羽音すさまじ 命の限り
3 ほら聞こえるでしょう 耳を澄ませば
秋虫たちの うごめく音を
庭の片隅 下草にやぶ
夜長の床下 鈴虫こおろぎ
音色奏でる 命の限り
4 ほら聞こえるでしょう 耳を澄ませば
冬虫たちの うごめく音を
ぽかぽか陽気に ムラサキシジミ
舞っているよ クビキリギスも
飛び跳ねている 命の限り
原爆詩
1 静かな暗闇 幕が開き
スポットライトに 影一つ
唇動き 声になる
瞼に浮かぶ 地獄絵よ
聞き入るそれは 原爆詩
2 静かな暗闇 すすり泣き
抑揚つけて 流れ行く
声が震える 時もある
叫びが残る 断末魔
聞き取るそれは 原爆詩
3 静かな暗闇 幕が閉じ
明るさ再び 現れる
目頭熱き 人の波
語り継ごうよ 世の人へ
平和の原点 原爆詩
あなたとわたし
1 春の芽吹きに 聞き惚れる
花の彩り 目に眩し
四葉のクローバー 手に採って
あなたのおぐしに 飾ります
あなたとわたし 生きている
2 夏鳥囀り 聞き惚れる
山の緑が 目に沁みる
写真に撮った イワカガミ
あなたの瞳に 飾ります
あなたとわたし 元気です
3 秋風そよと 聞き惚れて
海の青さが 目に映えて
砂に描いた ラブレター
あなたの心に 飾ります
あなたとわたし 幸せね
4 冬の足音 聞き惚れる
雪の白さに 目が潤む
月夜の宿の 温もりを
床の中で 飾ります
あなたとわたし 何時までも
(二十二)声
(平成二十五年二月)
海は故郷
1 凪に恵まれ 初乗り
青空深く 渡り鳥
網引くこの手 震えがち
大漁この目で 大歓声
海はおいらの 故郷さ
2 時化に襲われ 身が縮む
浪の壁が 幾重にも
船底この身 凍り付く
悲鳴を隠す 怒鳴り声
海はおいらの 故郷さ
3 命を賭けた この漁場
天国地獄 紙一重
男供の 絆あり
聞こえる家族の 笑い声
海はおいらの 故郷さ
一度切りだよ
1 声を聞きましょ 心の声を
産まれた時は 記憶にないが
写真見せられ 七五三
母に連れられ 小学生
運動会に 学芸会
知恵が芽生えた 少年時代
2 声を聞きましょ 心の声を
中学高校 机に向かい
友達作って 親から離れ
恋を隠した 受験生
体育祭に 文化祭
進路を決めた 青年時代
3 声を聞きましょ 心の声を
大学入って 自由に過す
職に就いたよ ただなんとなく
時は過ぎ去り 家族を持った
これで良いのか 己の人生
一度切りだよ 成年時代
(二十三) 容貌・容姿
(平成二十五年三月)
顔三昧
1 女の容貌 色々ござる
美人見目好し 器量好し
粋で色香の 帯解き姿
花の姿に 女っ振り
醜女見目悪 お亀お多福
ちんくしゃ姿 お出ましお出まし
最後は心の 磨きの具合
2 男の容貌 色々ござる
美男美男子 男前と
並外れて大きい 立派な魁偉
眉目秀麗 男っ振り
風采上がらぬ 醜男醜漢
ひょっとこ姿 お出ましお出まし
最後は心の 磨きの具合
花の姿
1 花の姿の 面影よ
秋雲棚引く 薬学祭
見惚れるあなたの 才と色
心波立ち 永久になる
僕は二浪の 新入生
2 花の姿の 面影よ
小雪ちらつく 通学路
上擦り声の 呼び掛けを
親しみ湧いて 楽になる
君は僕の 上級生
3 花の姿の 面影よ
桜舞い散る 学び舎に
語った二人の 未来の夢
デートの言い出し 貝になる
僕は結婚 願望者
4 花の姿の 面影よ
友と泳いだ 伊豆の海
暑中見舞いの 返信は
療養中で 星になる
君は心の 恋女房
(二十四)健やか
(平成二十五年三月)
健やか人生
1 勉強嫌いな この俺は
相撲に走りが 大得意
運動会は わが天下
座学学習 地獄だわ
ぴちぴち身体を 持て余す
2 肉体労働 この俺は
野菜作りが 大得意
小松菜長葱 キャベツだよ
市場に運んで 銭稼ぎ
きびきび身体を 持て余す
3 還暦過ぎの この俺は
面倒見が 大得意
寺の総代 自治会と
皆と愉しむ ボランティア
しゃんしゃん身体を 持て余す
母の心
1 粉雪舞い散る プラットホーム
達者何より 親孝行
人に迷惑 掛けてはならぬ
母のいましめ 涙の声で
小さく消える 雪国故郷
2 訛飛び交う 上野の駅よ
勤め先とは 路地裏寿司屋
裏方五年に 出前が三年
やっと始まる 握りの修行
暖簾分は 十三年目
3 郊外路線の 駅裏寿司屋
客の娘と 意気投合
彼女に押され 世帯持つ
大地主の 箱入り娘
孫の笑顔に 母のしわ顔
六.性格・性質
(一)性格・性質
(平成二十五年四月~六月)
武道一筋
1 心意気だよ 人生は
赤点落第 なんのその
稀な経験 良しとして
気風の良さで 突き通す
武道一筋 まっしぐら
2 ど根性だよ 人生は
離婚重なり なんのその
稀な経験 良しとして
正義感で 突き通す
武道一筋 まっしぐら
3 人の出会いだ 人生は
叩き上げたる 先輩の
刑事魂が 乗り移り
出戻り娘と 結ばれて
総監賞は 数知れず
魔性の坂
1 ネオンの渦に 誘われて
女一人が 生きてゆく
疲れ果てたる この身体
帰るアパート 坂道で
瞼に浮かぶ 故郷よ
2 ネオンの渦に 巻き込まれ
魔性身に付け 生きてゆく
心殺して 笑顔見せ
帰るアパート 坂道で
瞼に浮かぶ 弟よ
3 ネオンの渦に 浮き上がる
貯めに貯める このお金
長患いの 手術代
帰るアパート 電話受け
嗚咽交じりの 母の声
瞳に映るあなた
1 あなたの勝気に 賭けてみた
あっと言う間に 係長
課長になって マイホーム
私の目には 狂いなし
これから先も 楽しみよ
2 あなたの気概に 惚れたのよ
方針転換 引き伸ばし
新薬開発 おめでとう
私の目には 狂いなし
これから先も 楽しみよ
3 あなたの甲斐性信じたの
運も引き寄せ 波に乗る
着いた所は トップ部屋
私の目にも 狂いあり
これから先が 怖いのよ
人生一度切り
1 明るく賑やか けっこうだ
一度や二度の 失敗に
くじけず前に 進もうよ
拡がる期待 その先に
どうせ人生 一度切り 一度切りー
2 陽気で元気 けっこうだ
一度や二度の 病にも
くじけず前に 進もうよ
拡がる希望 その先に
どうせ人生 一度切り 一度切りー
3 気さく大らか けっこうだ
一度や二度の 不幸にも
挫けず前に 進もうよ
拡がる夢が その先に
どうせ人生 一度切り 一度切りー
赤坂・麻布六本木
1 素直な心 溢れる児童
揺れるカバンが 坂を駆ける
木々の緑葉 光に溶ける
鳥のさえずり 耳に爽やか
ここは赤坂 麻布六本木
2 昔気質の 海鮮丼屋
揺れる暖簾が 老舗をかもす
並ぶお客に 笑顔がみられ
味が冴えて 弾むお喋り
ここは赤坂 麻布六本木
3 ネオンの海に 沈むビルの群れ
揺れる夜風が 季節を運ぶ
大人のオアシス 巷に拡がり
異人も混じる 癒しのひと時
ここは赤坂 麻布六本木
悔恨
1 喫茶店の 片隅で
好きな女と 語らった
同級生の 真面目さん
本命振られ 気落ち時
清く別れて 幾年ぞ
2 大学時代の 六年間
座学実験 忙しく
クラブ活動 愉しんだ
デートに誘い 話し込む
自分に見合う 女何処
3 会社勤めの 合間にも
誘ってみたのは 片手ほど
ここが目に付く 嫌になる
四十の坂を 下ってた
真面目さんは 子沢山
うぶなお前
1 うぶなお前の その瞳
俺の目には 痛かった
慕ってくれた 兄さんと
背なの鬼夜叉 すごんでる
あやめた男の 泣き叫び
辛い過去など 話せねえ
2 うぶなお前の その髪に
事故死の妹 思い出す
慕ってくれた 兄さんと
何時しか恋に 溺れてた
アパート一間の 新所帯
辛い過去など 忘れたい
3 うぶなお前の 憂い顔
酒に飲まれて 手を挙げた
我慢限界 兄さんと
娘と供に 家を出た
危篤の知らせに 舞い戻り
看病母娘に 手を合わす
腕白坊主とお転婆娘
1 ここに出ました 腕白坊主
家来引き連れ ガキ大将
メンコ・ベーゴマ 相撲をとって
何時も勝つのは ごますり手合い
夏の墓場で 夜の肝試し
子供神輿に ワッショイ
ワッショイ ワッショイナー
2 ここに出ました お転婆娘
手下引き連れ 姉御の気取り
木から木へと ターザンごっこ
何時もトップの 挑戦者
夏の終わりは 黒んぼ大会
女神輿に ワッショイ
ワッショイ ワッショイナー
3 腕白坊主に お転婆娘
時は二人を 近付け変える
男伊達に 淑やか香り
神の前にて 誓った夫婦
産まれし子達 一姫二太郎
大人神輿に ワッショイ
ワッショイ ワッショイナー
こんな世の中
1 欲がないにも 程がある
業突く張りは いきすぎだ
しょせんこの世は 金次第
こんな世の中 誰がした
こんな世の中 誰がした
2 名人肌にも 程がある
あこぎな奴は いきすぎだ
しょせんこの世は 金次第
こんな世の中 誰がした
こんな世の中 誰がした
3 清廉潔白 生き辛い
バランス感覚 難しい
しょせんこの世は 金次第
こんな世の中 誰がした
こんな世の中 誰がした
後悔人生
1 短気起こして 何になる
相手は不愉快 目をそらす
まとまるものも まとまらず
時は流れて 去って行く
アーアー 後悔 するばかり
2 そんなせっかち 何になる
程ほど成果で お茶にごす
自分ごまかし やりきれぬ
時は流れて 去って行く
アーアー 後悔 するばかり
3 直ぐにあきて 何になる
隠れた才能 芽が出ない
生き甲斐人生 失われ
時は流れて 去って行く
アーアー 後悔 するばかり
一姫二太郎ソング
1 二太郎長男 個性が光る
朝日に誘われ 産声上げる
自分に似てるぜ ふっくらほっぺ
おっとりのほほん 笑顔が素敵
真面目一方 お役所勤め
2 真ん中一姫 個性が光る
三時のおやつに 産声響く
妻に似てるぜ 尖った顎は
ちゃっかりけちけち 抜け目がないわ
小銭貯めてる 銀行勤め
3 二太郎次男 個性が光る
黄昏時に 産声細く
爺に似てるぜ ほっそり顔は
あっさりさばさば 鼻歌まじり
西に東に 営業勤め
結婚哀歌
1 新婚時代は 当たりがいい
気が利くそつなく やりすごす
ドライブ重ね 泊まり旅
気分爽快 心晴れ
アーアー この世は バラ色ね
2 熟年時代は あく強し
外面よくて へそ曲げる
親戚付き合い 困り旅
気分いらいら 心落ち
アーアー この世は 灰色ね
3 老年時代は 押し強し
老いの一徹 つむじ曲げ
老老介護の 終わり旅
気分うつうつ 心なし
アーアー この世は 渋色ね
(二)賢い
(平成二十五年七月)
一休さん
1 一休さん 一休さん
あなたは何故 頓知がすごい
屏風の虎を 退治せよ
虎を出せば 縄を掛けます
足利義満 感服す
オーオー 愉快 愉快
2 一休さん 一休さん
あなたは何故 頓知がすごい
このはし(橋)渡る べからずと
端っこ渡らず 真ん中歩く
桔梗屋あるじ 感服す
オーオー 愉快 愉快
僕でよかったら
1 知的な瞳 曇ってきたね
ここは大雪 雲海広し
可憐な草花 見渡す限り
星満天に 煌きだした
あなたの悩み あなたの心
話してくれないか 僕でよかったら
2 知的な顔付き 歪んできたね
ここは阿蘇山 硫黄の臭い
馬の放牧 緑に映えて
白い三日月 闇夜に浮かぶ
あなたの悩み あなたの心
話してくれないか 僕でよかったら
3 知的な笑顔 弾んできたね
ここは富士山 日本の誇り
水平線は 丸みを帯びて
燃えるご来光 雲間に揺れる
あなたの幸せ あなたの心
そっと寄り添う 僕でよかったら
(三)賢人
(平成二十五年七月)
読み漁る
1 従兄の記憶 抜群は
親にそっくり 羨まし
その上物知り 輪をかけて
新聞紙や 週刊誌
朝からバッチリ 読み漁る
2 政治ネタを 解説し
経済動向 分析す
科学医療 目を開き
スポーツ芸能 幅広く
事故や事件に 目を向ける
3 知識を知恵に 変換し
自らそれを 実践す
会う人ごとに 言い伝え
八十越えし 従兄殿
今日もバッチリ 読み漁る
凡人の道
1 天才奇才 秀才と
色々ござる 才能は
あなたはどこに おりますか
博士物知り 粋人か
いえいえ私は 凡人よ
2 聖聖人 上人と
色々ござる 高徳人
あなたはどこに おりますか
賢人賢者 智者ですか
いえいえ私は 凡人よ
3 この世に産まれ まれなりと
人の道は 外さぬぞ
生きながらえて 今がある
これで人生 良しとする
これで人生 良しとする
(四)偉人
(平成二十五年八月)
母の願い
1 産まれいづるは わが子なり
歩きが遅い おしゃべりも
悩むわたしは 一人ぼち
何とか学校 入れたわ
皆んなについて ゆくのです
母の願いを 叶えてよ
2 産まれいづるは わが子なり
成績悪し 運動も
悩むわたしは 一人ぼち
おまけに弟 出来たのよ
皆んなについて ゆくのです
母の願いを 叶えてよ
3 産まれいづるは わが子なり
身長伸びて 体重も
成績上り 運動も
友に囲まれ 恵比寿顔
大器晩成 信じよう
母の願いを 叶えてよ
歴史音頭
1 女傑卑弥呼の 登場で
産声上げる 大和の国は
奈良から平安 時は移ろい
室町鎌倉 江戸の時代へ
明治維新で 世界に羽ばたく
アーアー 故国日本よ
2 日清日露の 戦い征し
軍事国家は 鼻息荒し
大国アメリカ 怖るに足りぬ
反撃受けし 原爆嵐
降伏します 無条件
アーアー 故国日本よ
3 打ちひしがれし 総国民は
一致団結 エンジン駆ける
戦後復興 世界の奇跡
大正昭和 時は流れ
平成日本 どの道歩む
アーアー 故国日本よ
(五)第一人者
(平成二十五年八月)
洟垂れ名工
1 還暦祝って クラス会
顔を見るのは 半世紀
禿げや白髪の パレードだ
君は誰かな 花ちゃんか
写真と比べ 面影追う
2 話し酔う内に 年は戻る
あの事この事 思い出す
運動会や 学芸会
雨降り遠足 懐かしい
無我夢中で 走り抜け
3 洟垂れ泣き虫 よっちゃんは
今では名工 刀鍛冶
親父の跡を 継いでいる
絵描きに芸者 薬剤師
同じ空気に 包まれて
ねの歌
1 君は聞き上手だね
酒も煙草もやらないね
君が居ると明るくなるね
心が開き話せるね
悩みが薄まる嬉しいね
2 君は聞き上手だね
知識も広く深いのね
君が友で良かったね
勉強を教わったね
溺れを助けてくれたね
3 君は聞き上手だね
特技を生かし切っているね
悩む人を救っているね
試験合格おめでとうね
心の専門家だね
〈 了 〉
あ と が き
『川端康成の若き日の恋文発見』のニュースは文学関係者には宝物になりますね。
ノーベル文学賞作家川端康成(一八九九年~一九七二年)が暮らした神奈川県鎌倉市の自宅から初恋の相手として知られる伊藤初代(一九〇六年~五一年)と交わした書簡計十一通が見付かったことが平成二十六年七月八日に判ったという。
東大に入学した川端は仲間に誘われ、東大本郷のカフェに出入りし、初代と知り合う。マダムが店を閉めたため、マダムの姉がいた岐阜の寺の養女になる。川端は東大国文科二年二十二歳次で十五歳の初代と婚約する。川端の短篇内容やあとがきから、初代は『ある非常』を理由に婚約を破棄したとされてきた。今回発見された川端の未投函の手紙には情熱が綴られている。残り十通は初代からで、最初の頃は尊敬、信頼などの念であったが、その後、『ある非常』のために一方的な別れを告げ、この内容は十三年発表の短篇『非常』に掲載されている。非常の内容を言う位なら死んだ方が幸せとも。最後の手紙には川端への不信感と恨みが綴られているという。その内容も不明。この婚約解消は川端文学解明の鍵とされ、初代による『不可解な裏切り』と言われてきたそうです。新しい方向性、可能性が出てきたと研究者は色めきたっているとのこと。
このように、文豪や有名人の書簡は評価の高い物ですが、一介の自称小説家の私の書簡は大した物ではないし、紙虫もわくし、また東北大震災が起こり、耐震に注目し、物品は極力整理するなどの理由から多くの書籍や全ての書簡を廃棄致しました。振り返れば、川端氏のような恋文は送ったことも貰った覚えもありません。まして、口頭でも。心に秘めていたのです。その理由の一つとして弟が赤ん坊の時に高熱を出し、ストレプトマイシンを投与されたらしく、薬害によると考えられる聴覚障害者であることが陰を落としていたのです。もう一つは、二浪して合格出来た千葉大薬学部の一級先輩に一目惚れし、数回通学途上で出会い話し、デートの申し込みを躊躇していた矢先に子宮癌で二十歳直前の命を絶たれたことです。
これまでの心の旅路を小説や詩に書き残し、どなたかの心に届いてくれればとの思いで、生きている限り、執筆を続けてゆく覚悟です。
さて、今回の詩集の第二作目の出版の経緯を記します。ブログを立ち上げた際に、小説の執筆状況と政治・経済、社会、科学、医療、野球の書き込みだけでは、継続した読者が付かないと考え、短歌や詩を創るのが好きでしたので歌謡詞を創作し、追加することにしたのです。平成二十三年一月から平成二十五年八月迄に創作した歌謡詞を『歌謡詞に恋して(その一)』として配本と電子本がある『ホン二ナル出版』で出版することにしました。
毎月一日と十五日前後の二回、gooブログ(http://blog.goo.ne.jp/tokuichit/)に歌謡詞を書き込んでいますが、題材に頭を悩ましますので、小説書きに利用している『日本語使いさばき辞典』(藤本義久発行人、あすとろ出版部発行所、一九九七年)の分類キーワード目次の語彙から夢想して詞を紡ぎました。
一読して、どのような感想を持たれましたか。忌憚の無いご批評を頂ければ幸いです。
また、『ホンニナル出版』(http://www.honninaru.com/web-order/publish/で高木徳一と入力)の存在を、是非とも友人、知人にお伝え下さい。
それでは、次回作でお目に掛かりましょう。
二〇一四年七月 高 木 徳 一
高 木 徳 一
1944年6月5日東京都葛飾区新宿(現高砂)生まれ。 区立住吉小学校卒、区立桜道中学校卒、
都立蔵前高等学校(電気科)卒、千葉大学薬学部卒、同大学院修士課程(薬物学)修了。
山之内製薬(現アステラス製薬)中央研究所入社、薬理研究グループ(消化器)、開発部、国際開発 室、瀋陽山之内研修部、国際アジア事業本部、日本シャクリー製品開発本部
資格:薬剤師、薬学博士
著書:『抗潰瘍剤ファモチジン(ガスター)の薬理学的研究』
『炎に死す』(筆名高徳春水、第1回『鶴』シニア自分史大賞佳作、鶴書院、1996年)
『ホンニナル出版』Web公開(07/5~14/7)
http://www.honninaru.com/
上記アドレスをクリックし、左端の『CARGO物販サイトをクリック後、検索の窓で『高木徳一』と入力すれば作品が現れ、立読みは無料です。
小説
第1作目:『北京の月季(ばら)』
第2作目:『愛と死の絡繰-北京の月季(ばら)増補版-』、
第25回新風舎出版賞の2次通過作品
第3作目:『生かされて華開く-世界的新薬開発の裏窓-』
第4作目:『ネガの絆-歌咲くクラス仲間-』
第5作目:『縁の環』
第6作目:『南無妙物語(心の一滴)』癌シリ-ズ①
第7作目:『挑戦の座標軸』癌シリーズ②
第8作目:『希望の確率』癌シリーズ③
第5回新風舎出版賞の2次通過作品
第9作目:『赤い笹舟』戦争シリーズ①
第10作目:『炎に死す(改訂版)』
第11作目:『いろはにほへと』戦争シリーズ②
第12作目:『ナナカマド』戦争シリーズ③
第13作目:『愛の万華鏡』
第14作目:『逆走の闇』
第15作目:『黒服の男』
第16作目:『花風に魅せられて』
第17作目:『武蔵野の氷雨』時効事件①
第18作目:『金門橋の恵風』時効事件②
第19作目:『赤い心海底』 時効事件③
第20作目:『富士が泣いている』時効事件④
第21作目:『半挫折』
第22作目:『悪の浸透力』
第23作目:『恫喝退院』
第24作目:『地雷で助かった兵士』時効事件⑤
第25作目:『カメレオンで何が悪いの!』
第26作目:『愛の氷点』
第27作目:『鰐皮の財布』
第28作目:『赤の償い/白球と海星』
詩
第1作目:『旅情詩に恋して』
第2作目:『歌謡詞に恋して(その一)』
定年後は、自治会の地区副部長を務め、幼馴染みと旧交を温めながら執筆活動を続けております。
趣味:文化的散策、小説・詩創作(過去;軟式の野球と庭球)
現住所:〒125-0054、東京都葛飾区高砂8-27-13
電話番号 03-3607-9829
Eメール toku-6.5@crest.ocn.ne.jp
gooブログ http://blog.goo.ne.jp/tokuichit/
検索方法(友人、知人への紹介):グーグル、グー、ヤフー、MSNなどで『高木徳一』と漢字入力して検索すると、30社の『無料ブログ』にリンク。そこから主ブログの『gooブログ』を覗くと、トップ画面の左に『ホンニナル出版』へのリンクが張ってあります。