6話:謎の男(イケメン)あらわる!
今回は短いです!
本当にすみません!
なので、今日できたらもう一本あげようかと思っています。
またレビューをいただきました!
そして400ptを達成いたしました!
この作品を読んでくださってる皆さまのおかげだと思っています。
本当にありがとうございます!
しばらくして他のクラスメイト達は各々帰宅したり、部活に行ったりと教室を後にした。
俺と真星さんは本当の意味で二人きりになる。
九月も半ば。今の時刻は四時半。秋になったとはいえ、まだ夏の暑さは抜けきっていない。
なので、こんな時間になっても暑かった。
俺は廊下側を指差して真星さんに頼む。
「あ、真星さん。そっち側の窓開けてくれる?」
「分かった~」
軽快な小走りで彼女は教室を去っていた。
それを見た瞬間に湧き上がってくるものがあり、俺の全身をぽかぽかさせる。
「和むなー……。おっと、俺も窓開けなきゃな」
ハッと気付いて、俺も窓を開け始める。それも一つの感情を必至に押さえつけ、紛らわすかのように。
真星さんと二人きり……。ドキドキしないはずがない。
少しでも意識するだけでこれだ。
「こういう時ってよく……告白とかするんだよな」
ふとそんな言葉が俺の口から漏れる。
な、何言ってんだ俺はー!
……とりあえず落ち着くんだ、俺。今の聞かれてなかったよな?
今の自分がよく分からない。本能的な感情ばかりが先行して、理性的な感情はほとんど機能していない気がする。
違うこと。
違うことを考えろ。
そうだ! 真星さんに国語を教える内容を決めなきゃな。
しかしかえって意識してしまい、変な妄想が生まれてしまう。
「真星さん。準備はいい?」
『う、うん』
怖いのか少し震えているが、彼女は頷いた。
それが確認できると俺は彼女の頬に手を触れさせる。
自分の体温と違って仄かに温かい。
これが真星さんの体温なんだ……。
何てずっと触れていたくなる温かさを彼女は帯びているのだろう。
彼女のことをもっと知りたい。
一つの想いが俺の体温を上昇させ、彼女にも伝わっていく。
しだいに彼女の顔はうっとりと溶け、妖艶になっていた。
意を決し、俺はゆっくりと顔を近付けて──。
馬鹿かあああああ! 俺は! ……そんなことあるわけないのに。どうしてなんだ。
……簡単なことだ。俺は「もし」というのを期待している。全部ではないにしても期待している。
自分の欲望はなんとも浅ましくて、愚かなものなんだろう。
叶わない想いなんか止めればいいのに。そしたらきっとこんなことを考えて悩んだりしない。
大きく腕を伸ばして深呼吸をする。
するとやっとのことで俺は落ち着いてきた。
それと共にあることをするのを忘れていたのに気づく。
「あ、やべ。窓開けなきゃ」
急いで窓を開けていこうとすると誰かにぶつかった。
「ひゃっ!」
向こうも突然俺が動きだしたのに反応できなかったのか驚く。
「ごめん!」
ぶつかった方へ振り向くと、そこにいたのは真星さんであった。
「真星さん大丈夫?」
「うん私は平気。八代くんこそ大丈夫? さっきまで何か考えてぼーっとしてたから」
痛いとこを付いてくる。
真星さん、あなたのことを考えてました! とはさすがに言えないよなー。
「特にどーでもいいことだよ」
「…………そう」
声のトーンが一段と下がり、明らかにテンションの下がったと感じる。
嘘をついたからか!? 嘘をついたから彼女はそれを見抜いて怒っているのか!?
と思ってもいい言葉は見つからず、俺はこう言うことしか出来なかった。
「とりあえず勉強始めようか」
「……そうだね」
◇◇◇
私は今、八代くんと二人きりだ。
彼と二人きりになるのはこれで二回目か。
正直言って……本当は怖い……。
おぞましくて思い出したくない記憶が重なるようで、今にも叫びたくなる。
けどそれよりも、彼の近くにいて彼のことをもっとよく知りたい、という気持ちが勝った。
彼に勉強を教えてほしいというのは本当のことだけど、実際は彼に慣れたいというのが目的である。
私が抱いている感情はきっと私が求めてはいけないものだろう。
ひょっとしたら……彼を傷つけることになるかもしれないから……。
私はそれが頭が破裂しそうなくらい怖い。
考えるだけで目も当てられなくなり、逃げ出したくなる。
でも逃げちゃダメなんだ。
逃げたらきっと私は彼に一生手が届かない、自分だけの彼に出来ない。
だから勇気を出して頼んだ。
頼んで良かったと、心の底からそう思う。
私の顔は今笑っているだろう。
少し鼻歌混じりに窓を開けていく。
「よし、と」
両手を腰に置いて私はうん、と頷いた。
「八代くんの方は終わったかなー」
少し軽んだ心で、私は教室へと入っていく。
しかし彼を見た瞬間、その心は空から地へと一気に突き落とされた。
憂いを帯びた表情で、何かに悩んでいる彼。
胸が締め付けられるようだった。
もしかしたら考えているのが、私ではない他の女の子だと思ってしまったからだ。
いつから私はこんなに独占欲が強くなったんだろう。彼を前にすると、どうしようもなく我が儘な女の子になってしまう。
だから私は彼の考えていることが、他の女の子のことでありませんようにと祈るしかなかった。