28話:思い出した気持ち
一年も更新を空けて申し訳ありませんでした。
文字数大変少ないですが、投稿します。
以前のような量が書けるよう努力していきます。
俺が真星さんに「友達になってください」宣言をしてから三日が経過した。
真星さんは何も言わないまま、家の中に帰ってしまった。
あれからまだ真星さんは学校に来ていない。
一限の授業が始まる朝。教室の壁は、クラスの人たちが部活であったことや昨日見たテレビのことなどを話して大声をあげたり笑ったりする騒音で溢れていた。俺は机に頬を置いて横目でそんな教室内の様子を恨めしく見つめていた。
……俺は真星さんがいないとそんな楽しい顔出来ねぇよ。
もし、あの宣言が真星さんの気持ちを害するものだったとしたら、「嫌ならごめん!」と言って今すぐにでも謝りたい。
「友達宣言は焦りすぎたのかなぁ~」
「八代にしては頑張ったんじゃねぇの」
「わっ! 和也いつから!?」
「ずっといたよ。というか一緒に登校してきたじゃねぇか」
「そうだったな……。ごめん」
すると後ろの他人の席に座っていた和也が立ち上がり、耳元でこう言った。
「真星さん転校するかもしれないらしいな」
「お前なんで知って――」
勢いよく顔を上げると、和也は、「一旦落ち着け」と席に座るのを促した。
「朝日奈から聞いた」
「真星さんと友達のあの子か」
「あぁ」
「…………真星さんが幸せになるなら俺はそれでいいと思う」
「本気で言ってるのか?」
「そんなわけあるか……」
「だろうな」
「でもさ、俺みたいな奴が友達宣言して本当に良かったのかなぁって」
「女々しいな。もう言ったもんはどうしようもないだろ」
「そうだけどさ~。――いてッ」
デコピンをされる。額を擦りながら喚いた。
「なにするんだよ! お前に俺の気持ちが分かるかよ!」
その時クラスの喧騒が一瞬静まり返り、俺達に視線の注目が集まった。居心地が悪くなって、身を小さくする。和也の方と机を何度か見て、
「悪い……言い過ぎた」
「あぁ」
今の和也の返事は「大丈夫。そこまで気にしてない」という感じのものだ。代わりに顔を横に向けているので、その視線の先を追う。数秒後、理解。
俺は周囲に軽く謝って再び和也の方を見た。
和也は小さく頷いた。今の行動で正しかったのだろう。
「いつもらしく日記でもいいんじゃねぇの。もし友達になったらどんなことがしたいとかさ」
不意に和也が言った。
いつもらしく……? 日記?
そうだ――日記。最近書けていなかった日記。
でも、今なら書けるかもしれない。
――真星さんと
もし友達になったらどんなことがしたいか――
「和也ありがとう!」
「急に名前で呼ぶなよ。気持ちわりぃな」
「そう照れるなって!」
「だから調子に乗るなよ」
「またまたー」
「じゃ、そろそろ席に戻るわ」
和也が自分の席に着いたところで、丁度一限開始のチャイムが鳴った。真星さんの姿は見当たらない。
でも、辛くない。いや辛くないって言ったら噓になるけど、今は辛い気持ち以上に幸せな気持ちで溢れている。まるで初めて真星さんに出会った時のような――そんな気持ち。




