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さくら色
それはとある春の日の出来事で、
―――天使が降ってきた
あの時の俺は本気でそう思った。
その天使は、突如桜の木から舞い降りてきた。
少女の姿をしたその天使は、日の光に晒らされて煌めく黒みを帯びた赤黄色の柔らかい髪に桜を纏っていて、それを揺らしながら俺の方を振り向いた。
その天使を目にした瞬間、俺の身体中を巡る血液が沸騰してしまったかと錯覚するようで、振り向いた瞬間ぶつかる視線にと自分でもわかるくらい顔中が真っ赤になってしまったと感じるくらいで、
そうしてその天使の、桜さえも霞むような花のような笑顔を見せられて、見せ付けられて、魅せられた。
その瞬間に俺は溶けてしまいそうで、蕩けてしまっていて、
とある春の日、そんなさくら色の景色の出来すぎたシチュエーションの元で、
俺はそいつに 一目惚れしたんだと思う。