続・去る12月25日
誰だよ…俺は寝るんだよ。
今まさに、この聖夜に一人で寝るんだよ!コタツで!
着信はしつこく鳴り続けている。そんな急用なのか?渋々通話ボタンを押した。
「もしもーし、誰?」
「声でわかるだろ?」
なんか、めんど!
「で誰?」
「ヒントだすわ」
「いや、いらん。誰だ」
「つまんねぇなぁ、スカルだよ。ケータイ変えたから電話した」
「そうゆうのメールで済ませばいいからね、スカルちゃん」
「いいやん、せっかくのクリスマスだよ。」
クリスマスだから電話なのか…意味分からない。
「うーん、そうなの。俺よく分からないよ。」
「あと10分くらいでクリスマス終わるね。ふぁみ何してた?」
「ツンドラについてネットで調べるのに時間費やした一日だったよ。」
「へぇー、ツンドラねぇ。その単語聞くの中学の地理以来だよ。お疲れ。」
信じたの?なんか俺のボケが…
「スカルはどーなのよ?」
「俺は彼女と過ごしたよ、今は一人だけどね」
なんだ?嫌がらせか?発する言葉がない。
「ごめん、なんか自慢みたくなちゃったよ!ははっ」
完全に見下されちゃったよ。
「でさー何なのよ。残り少ない聖夜を俺とお喋りして締め括るつもりなの?あと5分もしないうちに宴は終わるわけよ!俺的にはね、一人でしんみりと心静かに過ごすつもりだったわけよ。なぜ邪魔するの?なぜ立ちはだかるの?なぜなの?スカルちゃん!」
「一気に喋るなよ。この通話…この繋がり…なんか違う。この二人で共有している時間は俺が金で買ってるわけだから立場わきまえて話してほしいな」
「結局、通話料は俺が払ってるのだから俺に喋らせろ!ってことね」
「まぁそうだよ、簡単に言えば…とにかくふぁみと話す気分だったってことよ。そんだけ」
「ふーん、でも特に話すことないよ。眠たいし」
バイト疲れは極限に達していた。正直、早く寝たい気持ちで一杯だ。
「あと数分でクリスマス終わるねぇー。じゃあ俺からふぁみにクリスマースプレゼーント!」
「ありがとう、友よ。だが期待はしてねぇよ」
「いやーふぁみには興味あることだと思いますよー」
なぬー!?スカルのこの感じ!なにかある…
ざわ…ざわ…ざわ…
ある漫画をパクっているわけじゃありませんよ。ざわ…
「ふぁみの最近別れた…あれ?名前なんだっけ。とにかく、ふぁみの元カノを駅前で見たよ!」
「かはっ…胸が苦しくなる話題だぜ!く、くわ、詳しく言えよ」
「男の子と歩いてたよ、おてて繋いでな!」
プレゼントちゃうやん…
「マジかいなぁ。だって別れてそんなに経ってないよ?」
「いや、俺に聞くなよ」
「まぁね、まぁね…別れたわけだしね!そんなん関係ないわけですよ僕ちゃんには!でさーその男の子は、どんな奴だったわけ!?」「気になっちゃう感じですかー?」
「モノマネとか挟まなくていいからね」
「モノマネとかそんな立派なもんじゃないって!」
「あのね、そう言うことじゃないから。でどうなのよ?」
聞きたい?と焦らすスカル様。
聞きたい!と聞くしもべふぁみ。それは服装?面構え?内面?と問うスカル様。
じゃあ全て、としもべふぁみ。
全てねぇー、脳内整理するから待ってて!とスカル様。
「スカル君さぁー…いい加減にしてよ!そんなに忍耐強い男じゃないのよ!僕は」
「うん、なんか俺も引っ張るの面倒臭くなってきたよ。じゃあ一言で彼を言い表すよ。」
「おう!いいぞ!心の準備は出来ている!」
「…オタク」
「え?」
「なんか無理して俺はオタクちゃうけど別にそうゆうの嫌いじゃないよみたいな感じのTHEオタク」
「そう来たかぁー!俺の後釜は電車かぁー!」
「顔はふつーに冴えない顔してるよ。どっちかと言うとかっこよくないね。訂正!どっちかと…とか無しにかっこよくないわ」
IちゃんはB専だから本領発揮って感じかなぁ。うーん、かなしいねぇ、色んな意味で。
「以上で俺のプレゼントは終わりです!あ、いつの間にかクリスマス終わってる」
「すごく豪華なプレゼントありがとうね、僕は疲れた。寝るよ」
「そうか…寝ちゃうか。名残惜しいなぁ…」
「もういいだろ?寝かしてくれ、否、そっとしといておくれ」
「しょうがない、ではおやすみ…」
「おやすみ」
携帯電話を閉じると俺は無我、明鏡止水の心で眠りについた。
数日後に聞いた話だが、スカルはクリスマス前に彼女と別れていたらしい。それでもスカルの要望でクリスマスは二人で過ごしたのだと聞かされた。スカルの電話を切るあたりの暗い落ち込んだ感じは、そのせいだったのだろう。
スカルよ…
君も寂しかったのか…
気付いてやれなくてごめん…
この失恋の寂しさを俺と分かち合いたかったんだな…
でもよぉ、あのIちゃんの話聞いたら俺もっと落ちちゃっただろーが!やっぱスカルは侮れん…
終