遊園地〜一枚上手な少女〜
色黒で眉毛が繋がりぎみな子でした。
生憎の曇り、午後からは雨が降るらしい。憂鬱だ。とにかく、憂鬱だ。
しかも、こんなインドア日和の日に彼女と遊園地に行く予定を立ててしまった…。あぁーゆーうつ。
なんとか遊園地の件が無しになるように頑張った。
「今日、雨降るって!」
「お金が無駄になるかもよ!」
「こんな日は家でゆっくりだろ!?」
「延期にしよ!ね〜…お願い!!」
無駄だった…
【それから、どーした!!】
某遊園地到着。
蒸し暑い。早くも俺の天然パーマがぐにゃぐにゃ。
しかし、なんだかんだ言ったって遊園地は楽しい。存分に楽しむ俺。ひとつ、気掛かりは吐きそうだと言うこと…若かったあの頃の、体力は何処えやら。2連続以上の絶叫系は身体が頑な拒んだ。
俺は、中年お父さん並に休憩を挟みながら絶叫マシーンを、こなしていった。
メール受信。
「遊園地はどうだい?」
信号機からだ。※信号機とはあだ名、彼の髪には赤と緑のメッシュが入っている。黄が足りないが、そこはスルーする。
彼は俺が某遊園地に行くのを、複雑な思いでいた。その話は、また次の機会に…
絶叫し疲れた俺達は、割りと緩めのジェットコースターに乗ることにした。列に並ぶと、前に居た女の子(推定9才)が話し掛けてきた。
「これ怖い?」
「ブンブン頭が振られるよ!」
昔、乗った経験があるが…細かいカーブを素早く曲がるため遠心力で、ヨダレ注意!な乗り物なのだ。
「ぶえっ!!ホントに?私、一人で乗らないと…$¥!★§」
後半なにを言っているか理解できない。そういえば女の子は一人のようだ。
「じゃあ一緒に乗る?」
笑って頷く女の子。ロリ好きの人に、とっては萌ーな瞬間なのだろう。曖昧3センチ♪……
乗っている最中、女の子は終始なにかを叫んでいたが聞き取れなかった。しかも、手摺りに歯をぶつけていた、ぷっ!
女の子とは、ここでお別れだと思いきや…「もう一回乗ろ!」と言い出した。俺は丁重にお断りした。女の子の元気をほんの一握りでも分けてくれたら、もう一回も可能だが…
「ねぇあっち!」
スプラッシュマウンテン系コースターが水を大量放出する橋の上を指差す女の子。俺が返事をする前に走り出していたので、渋々ついていく…
「ここ濡れるよ!」
「じゃあここは?」
中央に移動する女の子。濡れるに決まってる。分かって聞いているのか?
「ねぇーあれ乗った?」
横回転系の飛行機型乗り物。
「乗ってないよ!」
「ぶぇーっ!カプッ…カップルなのに…♪?★×〆」
ぶぇっと言った後は必ず変顔をする女の子。なんでカップル=あれに乗る!になるのか?
「ねぇねぇ!これいくらだと思う?」
質問責め…女の子は、腕時計の値段を聞いているらしい。女の子の腕にはピンクのCASIOの腕時計がしてあった。
「うーん…CASIOだし、8000円くらい?」
「ぶぇーっ!8000円!」
何が?
「正解教えて!」
「うーん、1万くらいじゃない」
知らんのかい!!
「ねぇーあれ乗った?」
また、あれのったぁ?か!
女の子が指差すのはフリスビー型の横回転に縦揺れがプラスされた乗り物。
「乗ったよ!あれは気持ち悪くなるから止めた方がいいよ!」
「あれ一回転する?」
したら、みんな吐いちゃうよ…
「しないよ、あんまり乗ってないみたいだね、二人…三人か。」
ジッーとフリスビーを見る女の子。
「ちがうよ!カップルが1、2だから4人!」
確かに、よく見ると4人。
「ホントだね。」
「カップルが2つだから4人だら。」
うん、同じことさっき言ったよね!だらーってのは、多分愛知の方言だ。
「ねぇ今、何時?」
「今ねぇ…ってか時計あるじゃん!」
腕時計を見る女の子。……アナログ時計の見方が分からないらしい!なんの為の時計だよ!!お飾りだね…
気が付くと女の子と、ずっと話をしていて彼女をほったらかしだった…俺は女の子に、「彼女ほったらかしにしたから怒ったみたい…もう行くね!」と言って、その場を離れた……
つづく