曖昧
「俺さ、多分二十歳まで生きられねぇーわ。」
今日。三月二十日。卒業式の前日。
二十歳になったら、同窓会を開く。という、PTAからの知らせが全員に配られた。
「同窓会かぁ・・・。半分楽しみだなww」
「つか、俺ら二十歳とかあと五年だぜ??」
「まぢかよww早ぇ~なww」
などと同じ班の奴らとしゃべってた。
その帰り。狭間が、職員室に用事がある。とのことでそれについてった途中で言われた言葉だった。
「・・・?ん?何??お前、なんか持病でも持ってんの??死ぬの??」
と、俺が混乱していると。
「あっ??ちげーよ。勝手に殺すな。つか、勝手に持病あるとか思うな。」
と、普段通りに話される。
いや。もちろん、普段通りなのは当然と言っちゃあ、当然で。
突然「俺、余命一ヶ月なんだ。」と、告白されても困る。
だが、こんな言い方をされれば、誰もが嫌な方向の想像をするだろう。
「んじゃ、なんだよ?」
「んー。なんていうかさ。五年後なんていう近い未来の話なのになんでか、全然鮮明に思い浮かべられないんだ・・・。ましてや、同窓会なんていう。曖昧で・・・だけどもリアルな未来ですら思い浮かべられない・・・。そこに。俺はいない気がして・・・。もちろん。仕事で行けないとか。母親が危篤だとか・・・。理由はいろいろあって・・・行けない可能性はあるんだけど。だけど。俺は・・・生きていない気がした。」
・・・なるほど・・・。
「生きてない気が・・・ねぇ・・・。うーん。なんともww・・・うーん・・・。よく分かんないや。あっ。あれ?未来予知的なやつ?ww」
と、俺はあいつの考えにさして真剣に悩むこともなく適当に返事をした。
少し考えようとも試みたが、答えは出ないような気がしたからだ。
「あー。なるほど。おお。なるほど。あぁ。うん。あぁ。そうか。未来予知。うん。なるほど。だいぶ近いのかもしれないな。あれか。だから、あの話が出たときに突然。襲いかかってくるように自分はそこにいない気がしたのか。・・・なるほど。」
おいおいおいおい。俺、完全に置いてきぼりくらってんぞ。
「まぁ。あれだ。もしも、お前が二十歳に死んだら、他の奴らに今日のこと伝えてやるよwwんで、お前の墓に毎日お参り行ってやるww・・・だけど。もし、お前が二十歳に死ななかったら・・・二十一歳とかに死んだら、他の奴らに笑い話として話してやるよww」
と、俺は置いてきぼりに必死について行くように、適当に話を返した。
そんな話をしていると、狭間が笑顔で帰ってきた。
「おおーーーお目当てのものは貰えたかww」
「うんっ!!入学書類と、ゲームww」
・・・なんか、いろいろ間違えてないか??
「狭間・・・入学書類って・・・普通、合格発表の時に頂くもんなんじゃねぇーの・・・??少なくとも俺はそうだったんだが・・・。」
と、俺が疑問の声を口にすると。
「うーんwwそうなんだけどさぁーーww僕、合格発表見て、嬉しくってすぐ入学書類貰いに学校に入ったのねぇーwそしたらさぁーww合格の手続きした瞬間に倒れちゃってwwそんでそのまま病院送りだったからさぁーww入学書類貰わずだったんだよねーwwんで、学校届いてたってわけ♡」
『わけ♡』じゃねぇよっ!!倒れるとか・・・。普通じゃ考えらんねぇーぞっ!!
「あぁー。そりゃ大変だったなぁー。大丈夫か??」
どうして、お前はそう普通に話に乗れるんだよっ!!度胸とかいうレベルですかっ?!
「大丈夫っ!!ゲームも返して貰えたし。今の僕は元気100%だよっ!ww」
「ストップ。そこもさっきから不思議だったんだ。ゲームってなんだゲームって。」
と、俺は話を制す。このまま俺が話に置いてかれたら、こいつらはmyworld全開で俺も周りも大変なことになる。
「ん??あぁwwこの前さぁー。学校でゲームしてたのねぇwそしたらさぁーーwwせんせーに見つかっちゃってwwそんで没収されちゃったのぉ~~。だけど、今日ちゃんと返してもらったのよ~~ww」
あぁ・・・どうしよう。普通こんな話ふわふわとしたテンションで話すことじゃねぇーよな・・・。
それとも、俺が硬すぎんのか??
「あぁー。ならよかったwwもしも、お前が不思議の国の殺人鬼のゲーム一生出来なくなったら俺はどうしようかと思ったww」
「えへへ~~。ごめんねぇ~。暫く、通信出来なくってwまた、協力して兎どもを蹴散らそうねぇ~~ww」
・・・・・・・・・・・・なんていう会話をしているんだ・・・。不思議の国の殺人鬼??不思議の国に殺人鬼デスカ??え??何??どういう内容のゲーム・・・??ホラーデスカッ?!
「そうだなぁ~~ww」
・・・ほのぼのしすぎだろっ!!そんな内容でよくもほのぼの出来んなっ!!
「あの・・・さ・・・。えっと・・・不思議の国の・・・殺人者・・・??だっけ?それってどんな内容のゲームなの・・・??」
俺はつい聞いてしまう。だめだ。聞いたら絶対巻き込まれる・・・。分かってて聞く俺はどうなんだ!と、自問自答に駆られる。っていうか・・・自己嫌悪・・・??
「あぁ!!不思議の国の殺人鬼ねぇー!!あのゲームはねぇー!!不思議の国を滅ぼすっていう内容なのっ!!ハートの国の女王も、兎どもも、Aliceもチシャ猫もぉー!!」
「最終ボスは一度倒したのにもう一度出てくるチシャ猫だな。チシャ猫は強いらしいな。Aliceで手こずってる俺らにはチシャ猫は手強そうだなぁ。」
「あぁーwwあとさぁ、おんなじ人が作ってる『ZOMBIEm@ster♡LOVE♡HEART』(ゾンビマスター♡ラブ♡ハー)も、最強じゃない?」
「あぁー。分かる。『ゾンハー』すっげぇー面白いよなぁ!!女の子可愛くってさぁ!!」
「分かるぅー♡胸キュンよねぇーwwやっぱり、ゾンビの女の子ってかなり照れてる顔が可愛いのよねww」
「犬の目玉上げた時とかな!!」
「人間の時の喜び様半端ないわネ!!」
「分かるぞっ!!あの時の『ありがとう!!』っていうときの照れ具合!!!かわいすぐるだろぉーーーーっ!!!!!!!!!!!」
「そうよね!!そうよね!!やっぱし照れ「ごめん。割り込んで本当ごめん。だけど・・・話に全然ついていけないんだけど。」」
・・・ごめんよ。狭間。戦国・・・。君らの大事な話を中断させてしまって・・・。
だけど。君らの話はついていけないよ・・・。
「あぁー。すまん。勝手に盛り上がりすぐた。」
口調が興奮時の時と変わっていないぞ。
「ごめんねぇー。僕ら二人で話盛り上がりすぎたよぉー。あっ!!そうだっ!タケルも、一緒に『不思議の国の殺人鬼』やらないっ?!きっとすっごく楽しいわよっ!!」
「あぁー。それはいい。あすの家。ゲーム会社で、こういうのたくさん貰えるから、あすから貸してもらえばいいよ。」
と、笑う。
「いやいや!!そんな!!大丈夫だよっ!!」
・・・やりたくないんだよぉーーー。巻き込むなぁー――。((泣
「ん??ユウ?僕別に、そんな貸すなんてタケルが嫌がるようなことしないよおおww」
おおっ!!狭間の奴!!ちゃんと話がわかるじゃないかっ!!
そうっ!!俺はそのゲームがやりたくないん「だ―いじょうぶっ!!ちゃんと、タケルにゲームあげるよおおっ!!どうせ、楽しくなっちゃって、ゲームいいとこまで行くんだしwwそしたら、新しいゲーム買って一からんなんて、やったときのデータ―なくなって寂しい思いしちゃうでしょっ??いーよーーww『不思議の国の殺人鬼』は僕のゲーム会社が作ったやつだしっ!!たーくさん会社には同じやつがあるしっ!!なんなら、『ぞんはー』もあげようかっ?!タケルにも、結構ゲームあげてるしいいよぉーーww」
・・・話が・・・話が・・・。
「おぉーーwwそりゃあいいやぁwwぜひ貰っちゃえよっ!!」
「タケルは、今回それ知らなくって自分で買ったんだけどねwwばーかwタケルぅーーーww」
「ちっげぇよっ!!たまには、お前の力を借りずにだなぁ・・・。」
「まぁ、大体のゲームは僕の会社が出してるしねwwまぁ、いいけどww」
・・・頼む・・・本当に巻き込まないでください。
僕は、ゲームをやりたくないんだ。っていうか、お前らのよくわからんゲームに入りたくないんだ。
「あっ!!んじゃあ、タケル!明日には持ってくるわn「いやっ!!!いいっ!!本当いいっ!!」
「??遠慮すんなやーー。」
「そーよ。遠慮なんかしないのよっ!!」
ちげーよっ!!違うんだよ。遠慮なんてしてねぇーんだよっ!!
「あっ・・・いや。本当にいI「んじゃーー決まりねっ!!明日持ってくるよっ!!」
おいっ!!今の会話でどこら辺に『んじゃあお願いします。』って読み取れるとこがあった?!
「よしっ!!明日楽しみだなぁ~~wあっ。そうだ。明日の卒業式終わったらさ。あすん家行ってみんなで、『不思議の国の殺人鬼』やんねぇー??」
「おお!!楽しそうねっ!!いいわよっ!!」
「んじゃ。決まりな。おっしゃあ。楽しみだなぁww」
・・・あぁ。俺は明日みんなでわいわいも出来ないのか・・・。
「ちょっ!!俺のゲームとんなやぁーー!!」
「いいでしょーー。僕にも『走れメロスと電波な妹がこんなに可愛良いわけがある』やらせてよおーー。やりたい~~!!」
「あぁ??おっまえは!!これも、てめーんとこの家が出してるゲームじゃねぇーのかよっ!!」
「これは、ちがうのおーーー!!これは、風呂札がだしてるところで~~。」
「あっ。たけーー。置いてくぞお――。」
「ほらぁーーw早くう~~。」
まぁ・・・でも。こんな明日も悪くない。