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さくらー図書館の怪異と紙人形1

桜坂まほろ…時々霊が視える女子高校生

春吉 律…幼馴染 寺の息子



挿絵(By みてみん) 


私の母方のおばあちゃんは、私が生まれる少し前に病気で亡くなったそう。

子どもの頃、おじいちゃんに「さびしい?」と聞いたことがある。

神主だったおじいちゃんは 


「おばあちゃんは、神様と一緒にいるんだ。

そしておじいちゃんのお仕事が終わって、来るのを待ってる。

今は、まほろも、まほろのお母さんも、律くんもいる。さびしくないよ」


そう言って、私と律くんの頭を大きな手で撫でてくれた。


神道では「人は、神様から生まれて、死後、神様に帰る」のだそう。


おじいちゃんは、今、おばあちゃんと、神様と一緒にいるのかな。

嬉しいかな? 

幸せかな?

でも……私は、季節が巡っても、まださびしいよ。



幼馴染の律くんが、放課後、市の図書館で調べ物があると言ったので、学校帰りについていった。

古地図とかお寺の歴史とか調べたいのだそう。

さすが律くん。

お寺を手伝いながら、学校以外の勉強もしてる。毎日コツコツ積み重ねる姿勢は本当に見習わないといけない。

とは思うけど、私は、特に目的もなく、館内をうろうろしていた。

あまり人は多くなかった。古い本の匂い。


目の前を何か白いものが、ひらりと横切った。


目で追うと、紙片……?

その紙片は、風もないのに、本棚の間をひらひらと動いている。

私は、つい、手を伸ばしてそれを押さえた。

バッタを捕まえる時みたいな感覚。


数センチ幅の細長い紙なんだけど、角は切り落としてある。

長方形じゃなくて、太めの十字架のような形。

十字架の横部分の左右に下から一本ずつ、対称的に切込みが入っている。


……何かに、似てる。

あ……わかった、大祓の形代。紙の人形。

思いや、災いを紙にうつすもの。



そう思ったら、その紙片は、私の手から、ひらりと飛び、本棚へ。

意思をもった動き。


たぶん、何かを探している。そう感じた。

そして、あっちにひらひら、こっちにひらひら、一つの場所で止まった。


歌集のコーナー。

その棚で、両手部分をハタハタさせている。

私は、その辺りの本をめくってみる。

ざっと目次など確かめてみるけど、何を探していいか分からない。

全部読んだら分かるのかな?


「何か探してるのか?」


律くんが後ろから、覗き込んだ。


「ううん。何か気になって」


私が数冊目の本をめくった時、ひらり、と紙が落ちた。


 

『春夏秋冬 花を思ひて 過ごしけり

空より君の 春を見まもる』



「短歌……?」


紙人形が、嬉しそうに、はためいている。


(これを探してたのかな?)


律くんが私から紙を受け取って、しばらく眺めて、言った。


「これは、男性が、女性に当てた歌だろうな。そして、おそらく……死を覚悟してつくった」


律くんの言葉に、胸がざわめいた。


紙人形が探していたのは、この歌。

でも、それだけじゃない気がした。


胸が鳴った。

紙人形にやどった思いが、この歌を探していたならば。

歌を作った人なんだろうか。


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