0.親愛なる貴方へ
空に輝く星々が一つ一つきらびやかな光を放っている様子をただじっと師匠と眺めるのが好きだった。いつもの私たちの住んでいる家のボロボロになって少し錆びた部分がある屋根にいつ落ちるかヒヤヒヤしながら慎重に登って、全体重を乗せても平気だと安心するとそこでそっと腰を下ろして2人で寝そべって上を見る。
この世界の運命なんて忘れて、二人でずっとこうしていたかった。私を救ってくれた師匠、エミー・ラストリアはいつでも笑っていた。明るい茶髪にぼさぼさのショートカットヘアで身だしなみはあまり気にしない、いや、気にする時もあったが、それは誰か特別な人と会ったりしていた時だ。それ以外ではまるで無邪気な子供のような方であった。私も彼女も魔女である。この世界で嫌われる忌み嫌われる存在である魔女。ただし、憧れを強く抱く存在でもある魔女。その辺に捨ててあった私を拾ってここまで立派に育ててくれた師匠はとてもお人好しで、私の大好きな師匠だった。会いたい。嗚呼、もう一度貴方に会いたいのです。師匠。ただ貴方にまた会えるだけで私は、私は。
もう、届かないんですけどね。師匠。もし、私が世界の真実を暴けたら貴方にお話をしてもいいですか。私の見た事、知った事、全てを貴方に聞いてもらって、よく頑張ったなっていつもみたいに笑って頭を撫でてください。普段あなたと居る時は頭を撫でられると怒ってしまいましたが、実はあれとても嬉しかったんです。小さいけど、微かに感じる温もりが私の頭から全身を駆け巡って師匠の優しさに包まれる感じがしてとても、とてもとても嬉しかったんです。こんな駄目駄目で、未熟者の弟子ですけどまた会った時は頭を撫でて欲しいです。なんて、