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23/26

23:N3の登場、そしてN2

 一方、ジミーはドアーズ・10のオペレーションルームに入ることに成功した。低レベルロボットは全て破壊し、自分をネットに接続した、ものすごい早さでドアーズ・10のプログラムを書き換えはじめた。部屋にいた人間のプログラマーたちは部屋の奥に引き下がって、ジミーの操作を見守っている。

「ジミー、私たちもっと奥に入るつもり、大丈夫かな?」

 鈴がジミーに確認した。

「その奥には薬剤センターがあるはずです、気をつけて、必ずロボットを前後に護衛でつけてください」

「了解、行ってみる、あの角を曲がると何かありそうね」

イチロウを先頭に鈴たちは進んだ。

「イチロウ、何か感じる?」

「何も感じません、大丈夫と思います」

 イチロウが先頭で角を曲がった。

「バンっ」「ガシャーン」

 イチロウは何かに弾き飛ばされて反対側の壁に吹っ飛んだ。壁にあった鏡が割れて飛び散った。しかし幸いにイチロウは壊れてはいない、すぐに立ち上がった。

「キイー、キイー……」

 金属を引っかくような気持ちの悪い音が聞こえる。

「カシャカシャカシャ」角の向こうから黄色いロボットが姿を現した。

「キイー、キイー、キイー……」

 不快な金属音はさらに大きくなり、耳をふさがないと我慢できない程だ。黄色いロボットはイチロウの二倍近い大きさだ。

「オマエタチハ、キシダ(岸田)ノ ナカマカ?」

ロボットが初めて言葉を発した。異様に金属的な声だ。

「そうよ、あなたたちを壊しに来た」

 ここまで来て、もう怖いものなどない、鈴は少しもひるまない。

「ソウカ、ワタシハN3ダ」

 そう言うと、N3はいきなりジロウを持ち上げ投げ捨てた。

「ガシャーン」ジロウはイチロウの近くまで飛ばされた。

「速い!」

 鈴はN3の速さに目を見張った、しかもパワーは神谷ロボットの二倍はありそうだ。

無駄口をたたかず、もくもくと攻撃してくる、こいつは本当に危険だ。

「ジロウ、光線よけのガスを出して」

N3の視覚センサーを妨害することが出来れば戦闘力が半減するはずだ、そして三体が一度にかかれば倒せる。

「シューッ」薄いガスが放たれた。案の定、N3の動きに正確さが無くなった。

「いまだ、三体一緒に攻撃して」

 これで作戦通りだ、敵の動きが鈍いうちにダメージを与えられればなんとかなる。

イチロウとジロウが同時にN3の足に絡みつく、そうしておいてサブロが全力で体当たりを食らわせた。

バランスを崩されたN3が「ガッシャーン」と大きな音をたてて転倒した。

 しかし肝心のガスが薄れてきた。

「ガスがもうありません」

 視覚が回復したN3は勢いを盛り返しジロウが捕まった。他のロボットには目もくれず、ジロウを壊しにかかる。

「まずい、一体ずつ壊すつもりね、悔しいけど頭がいいわ、このままじゃ負ける」鈴は焦った。

「バリッ、バリッ」ジロウの手足がもぎ取られた。次に他のロボットがやられるのは時間の問題だ。

 何か、何か弱点はないか、鈴は山神がロボットの構造について説明したことを思い浮かべた。

「ロボットは金属で出来ているので、電波を受けるには通信のアンテナを身体の外に付けなければならない、そこを攻撃されると防ぎようがない。」と神山から聞いた……それだ。

 鈴はN3の身体を見回した。

 ある、耳の所にカバーがある。きっとあそこがアンテナの場所だ。でもどうやって近づくか、イチロウも弾き飛ばされて、動きが悪くなっている。一瞬でアンテナを確実に壊す方法なんかありえない。

「耳のところが弱点よ、でも近づくこともできないわ、ああっ、なにか武器でもあれば」

 鈴が叫んで考えている間に、ジロウはほとんどバラバラにされてしまった。

「ボクがやる」じっと戦いを見ていた大樹が突然声をあげた。

「そんな、あなた無理よ、どうやってやるの!」

「サブロウにボクをN3の近くに投げてもらう、ボクは体操部だから着地には自信がある」

「アンテナを壊すには?」

「これっ」

 大樹が長細い布袋を解いた、山神から預かった日本刀だ。

「これで刺す」

 そうか! 鈴は全てを理解した、いまとなってはもう残された最後の手段かもしれない。

「やろう、大樹、男だね」

「いい、サブロウ、正確に大樹をN3の近くに投げて」

「一,二の三」

 大樹は空中で一回転してN3のすぐ近くに見事着地した。N3は大樹を無視してジロウを壊し続けている。

 大樹が日本刀の鞘を抜いた。

「エイヤっ」「バシッ」

大樹は狙いを定めて剣道の突きで刀をN3の耳に深く突き刺したのだ。N3の動きが止まった。

「ギー、ヒューン、ヒューン、ヒューン」

 異様な音を出してN3が左右にゆらゆら揺れだした。手足をメチャクチャに動かしている。 

「パチ、パチ、パチ、シューッ」

耳のあたりから火花と白い煙が吹き出した。

「……ガッチャーン」大きな音を立ててN3が崩れ落ちた。

しばらくしてロボットは完全に動かなくなった。

「やった、やった、やったー」大樹が小躍りして喜んだ。

「ああっ……」鈴とミナは緊張が解けてその場にペタンと座り込んだ。

「カン……カン、ガンッ」「この野郎、この野郎、この野郎!」大樹が刀の峰でN3の頭をたたいている。大樹の目には大粒の涙が。


 鈴はすぐにジミーに報告した。

「ジミー、N3をやったよ、この後どうする?」

「すごいですね、さすがは鈴」

「いや、もうだめと思ったら大樹がやってくれたの。あの子はすごい!」

「よかった、次は覚醒剤の解毒剤を探してください、きっとその部屋にあります」

「了解、捜してみる」

鈴とミナは手当たり次第に薬品棚を探してみるが、解毒剤の在り処は見当がつかない。そうしていると、部屋の奥に避難していた生き残ったエーアイ製薬の社員が鈴の周りに集まってきた。

「ああっ、助かった、解放された、ありがとうございます」社員たちは、全員が鈴の手を握って感謝の意を表した。

「私たちはずっと人工知能のロボットに完全に支配されていました。解毒剤は奥の薬品金庫にあります、すぐに配布するべきです」

 社員によるとヒュージソフトの池谷がまず覚醒剤でエーアイ製薬の開発部長をコントロールし、人工知能を使って、エーアイ製薬を乗っ取ろうとした。しかしその経緯を学んだ人工知能に、逆に池谷は抹殺されてしまった。それ以降会社の全ての部門が次々に人工知能に支配されてしまったという。

「わかったわ、あなたたちは具体的に解毒剤を日本中に配布する方法を考えて。それにはOSのドアーズ・10配布が逆利用できるわね、ジミーの方はどうなったかしら」

「ジミー答えて、そちらはどう? ……」

「…………」

 ジミーからの返事がない、おかしい。鈴は危険を直感した。

「すぐオペレーションセンターへ行かなきゃ、ジミーになにかあった」鈴、ミナ、大樹はイチロウとサブロウを連れてジミーのところへ走った。


 ジミーはもう一歩でドアーズ・10のソフトウェアの書換えが完了するところだったが、人工知能N2に不意打ちをくらい、劣勢に立っていた。右腕を壊されて部品が散乱している。

「ジミー !」鈴が間に合った。

「ジミーが壊されてる、ああっ、どうしよう」

 ジミーとN2がにらみ合って膠着状態になっていた。

「鈴、ボクは大丈夫、ボクの身体は山神さんの特製です、腕や足が壊れても問題なく戦えるように出来ています」

 大樹がサブロウに命じて、戦いに加わった。ジミーが叫んだ。

「こいつの特徴は、すごいパワーと強力な電磁波です。それを食らうと、ロボットの身体が一瞬動けなくなります。ボクはそれでやられました。イチロウの感度を最大にしてください、ヤツは電磁波を発する前に、エネルギーを増幅する必要があります、そのとき一瞬ヤツの動きが悪くなり、逆方向の電磁波が出ます、そのときがチャンスです」

「出てます、逆電磁波を検出!」イチロウが叫んだ。

「いまだ!」

 N3の時と同じ作戦だ。イチロとサブロウが一斉にN3の足に飛びかかった。ジミーが体当たり。

「ガッシャーン」狙い通りあっさりとN2を倒すことに成功した。

「やった、一斉に攻撃して!」鈴が叫んだ。しかし様子がおかしい。

「動けない!」イチロウが動けない。

「しまった、逆電磁波はワナです」ジミーが叫んだ。

 なんということか、強力な電磁波を食らって、こちらのロボット三体が同時に動けなくなってしまった。

「フフフ、バカめ、かかったな、電磁波を出す方法は一通りではない。同じことを繰り返すと思ったか」

 N2が初めて言葉を発した。

「待ってろ、1体ずつ壊してやる」

「バリっ、バシっ」

 N2がサブロウに馬乗りになって壊し始めた。サブロウは必死に抵抗したが、N2の方が強い。無残にも頭部を破壊されてしまった。

「むごい……」鈴は残酷さに目をそむけた。

 その時だった。

「鈴、鈴、N2の足もとを見て!」ジミーから通信が入った。

「太いケーブルが延びているでしょう」見ると確かに太い電線が見える。

「それが電磁波のエネルギーを送る電線です。鈴、その電線の表面が破れているのが分かりますか?」

「ついさっき、私が体当たりした時、そこが破れました、中の銅線がむき出しになっています。そこに壊れた私の腕を乗せてください、私の腕はアルミニウムだから運がよければ銅線が大きなショートを起こします、運がよければ」

「運? ……そんなもの私の意思で変えてやる! 」鈴がすごい気迫で意気込んだ。

 鈴はジミーの腕を確認した。――このアルミニウムがむき出しの部分ね!

 もうすこしだ、鈴はジミーの腕を抱えてN1に近寄った。鈴などN2がその気なら腕ひと振りで弾かれてしまうだろう。

 しかしN2はサブロウの破壊に夢中だ、鈴には気づいているが無視している。

(ジミーの腕をN2の二本の電線をまたぐように置けばショートする。)

「女だと思って甘くみるんじゃないよ!」鈴が叫んだ。

「それっ」鈴がジミーのアルミニウムの腕をN2の銅線の上に投げ落とした。

「バンッ、バン、バシーッ」見事に狙い通りに大ショートが起きた。

 落雷のような閃光と、ブーンという電気的なものすごい振動音を出して火花が散った。あたりの空気が振動している。アルミニウムの腕は、まっ赤に燃えて輝いた。光はさらに強くなり、白い光に変わった。

「ビユーン、ギーッ」

 N2の身体が反り返り、身体のあちこちから煙があがった。

「グッ、ギッ」こちらを睨んで何か言ったが言葉になっていない。

 N2はサブロウを投げだし、グラグラと揺れはじめた。

「ビューン、……グシャッ」

N2はゆっくりとうつぶせに倒れ、ビクビク動きながら燃え出した。ものすごい煙と電線の焼ける匂いが充満した。

 それと同時にイチロウとジミーは動きが回復した。

「やった、いいざまだわ」鈴はN2を睨み付けて捨てぜりふを吐いた。

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