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作者: 野脇幸菜

私が舟に乗ってオールで漕いでいると、いつもあいつが仮契約を済ませた真新しい舟を用意している。


私は今のままの舟でいいのか、新しくするにしても他の舟をもっと自分で見るべきなのに、十分な検討もせずに仮契約という名の何の糸で繋がれているのかわからない、あやふやな言葉に惑わされて急いで契約してしまう。


新しく用意された舟は、見た目は真新しくよく漕げそうな舟なのだが、それは乗ってみると居心地も悪く、前のとそう変わらない。


しかし、前のものよりも安全と称されたその舟に乗り換えてしまう。


私は先のことを見ていない。


それは一年や二年の安全でしかなく、二年経てば旧型。いつまでも長く乗れる安全で高く売れる舟ではない。


今考えると一番始めの頃のものが漕ぎやすく乗り心地もいい。


今頃売ればヴィンテージ品として高く売れただろう。


しかし、もう捨ててしまったものは残っていない。


安全な舟という言葉に惑わされ、次に用意された舟も自分が思っていたものとはまた違う。


ランクが落ちることを知りながら、でも私はあいつの用意した安全な舟に乗ることしかできなくなっている。


そして、私は信じるのだ。


あいつは私にとって神なのだと。


私は信じるしかないのだ。


もう周りにはあいつしか味方はいなくなってしまったのだから。

読んでいただきありがとうございました。久しぶりの投稿でしたが、これからもストックしてあるものを徐々に投稿していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

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