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 三人で魔城内を進んでいくと、何度か魔城の騎士とエンカウントして戦闘になる。星崎と朝美は最初こそ手こずっていたが、数体ほど魔城の騎士を倒すと急速にレベルアップしたのだろう。徐々に魔城の騎士が相手にならなくなってきた。


 二人とも、おそろしい才能だ。反則的なスキルを持っていない状態でこんなに成長が早いだなんて。『色褪せし魔城』を普通に攻略するだけなら、星崎と朝美にとっては造作もないことだろう。


 そうして魔城内に踏み込んでから、何度目かの戦闘を終えると、右手の感触を確かめるように拳を握ってみる。


 いける……よな?


 今さら尻込みするつもりはないが、胸中では期待と不安がないまぜになっている。


 ゲーム序盤であっさりとシャディラスに殺される光城涼介に比べたら、今の俺は格段に強い。


 自信はあるが、緊張で動きが硬くなってないか心配だ。


「光城くん? さっきから様子がおかしいけど……いえ、あなたはいつも様子がおかしいわね。それでも、今日は一段と様子がおかしいわよ」


 うぅ、ひどい。人のことを変人みたいに言わないでよね。


 星崎なりに俺を気づかってくれているんだろうけどさ。


「緊張しているみたいでな。それで動きが鈍くなってないか、気になっていたんだ」


 この魔城のどこかにシャディラスがいる。それを意識すると、平常心でいることができそうにない。


「はじめて訪れるダンジョンで、緊張感を持つことは悪いことじゃないわよ。とはいえ、硬くなりすぎるのもどうかと思うけどね。もしも何かあったときは、お互いにサポートしていきましょう」


 そのためのパーティなんだから、と星崎は口にはしなかったが、頼ってほしいと伝えてくる。


 ほんと、心強い味方だ。


「あぁ、頼りにしている」


 唇をゆるめて微笑を向ける。


 星崎は澄ました表情になって、止まっていた歩みを進めた。


 その背中を朝美が追いかけていくと、俺も足を動かす。


 なんだか気持ちが軽くなった。この世界に来てから、いい仲間たちに巡り会えたと、そう思うことができた。


 そして、シャディラスを殺してやるという殺意も高まっていく。


 俺は、俺の目的を果たさなきゃいけない。 


 絶対に生き伸びて、死の運命を変えてやる。

  

 星崎たちについていく足に、自然と力がこもる。





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