50・エグ・マリン王国の城
祝・五十話目♪ そしてとうとう十日連続投稿達成や♪ ただ流石に寝不足気味なので明日はお休みしますんで。
少し休んだらまた投稿するので、ちょっとだけ待ってて下さいなぁ♪
零華達、2‐A三十名の生徒達は、ユリアンに連れられて街中を移動している。零華達は列を作りながら歩いている。先頭にはユリアンが歩き、最後尾の方には兵士が挟む様に続いている。
「なあ、零華」
零華の後ろを歩いている修兵が話しかけた。
「何?」
「俺達何処に連れられていくんだ?」
「…さっき総隊長さんが、ユリアンさんに城へと連れて行けと指示していたから、この国の城じゃないかな?」
「って事は俺ら、この国の王様にでも会うのか?」
「さあ…」
零華は曖昧に回答した。理由としては素性の知らない自分達が王様に簡単に会えるとは思えなかったからだ。更に『城』と表現していたが、もしかしたら先程理奈達が収容されていた牢屋より、更に難解な牢獄の入れられるという、騙し討ちも警戒していたからだ。
『だとしたら不味いな…さっきは奇跡的に僕だけ捕まっていなかったから、何とか救出が出来たけど、今度は僕も一緒だ…絶望的だな…』
そう考えたが、皆を不安にさせたくなかった零華は、ただの憶測であると踏まえて、この事は誰にも言わなかった。
運河沿いを歩いたり、路地を曲がったりしながら街中を歩いて行く一行。すると…
「見えて来たぞ。あれがこの国の王が居られる城だ」
ユリアンに言われて、A組全員は前方を見つめる。
其処には先程まで居た建物に掛かる橋と同じ様な橋の先に、巨大な城が鎮座していた。
「……」
零華は威圧感の様な物を感じながらも、万が一に備えて様々な事を考えながら、ユリアンに連れられて、仲間と共に城へと向かった。
※ ※
城の中へと入った零華達は、城の兵士の案内で城内の一室へと案内された。其処は五十名程なら余裕で入る事が出来る部屋であり、三十名しか居ない零華達は余裕で入る事が出来た。
部屋に入るとユリアンは、零華達に少し待つように告げ、部屋の外へと出て行った。その際に零華は、先程迄使っていた剣を返却した。元々はこの国の兵士の剣であった為である。
ユリアンが出て行くと、A組のクラスメート達は室内の椅子に腰を掛けたり、窓の外を除いたり、あとはスマホや私物の確認等を行始めた。
零華は壁際に寄り掛かり、一応警戒していた。最悪の予想と違い牢屋へと行かなかったが、それでもまだ警戒する必要があったからだ。
「零華」
其処に理奈と修兵と灯里とシエラがやって来た。
「どうしたの理奈?」
「うん…零華、さっきの戦いだけど…」
「あっ…うん…」
零華は少し悩んだが、話す決意をした。
「あれはね昔、父さんと母さんに教わったんだ」
「和樹おじさんと里乃亜おばさんに?」
「うん…母さん何処かの軍人だったのか知らないけど、普通なら知らない技術を会得していたんだ」
「…気配の…消し方か?」
シエラが尋ねた。
「シエラは気付いていたんだ…僕は母さんから気配の消し方を教わっていたんだ。そのおかげで皆を助ける事が出来たんだけど…」
「けど零華…お前今まで一度もそんな事してなかったぞ?」
修兵が言った。
「そりゃ日常生活で使う必要は無いからね…でも此処では使う必要があったんだ…さっきの戦い方…相手の考えを読んで、自分の考えを読ませないのは、父さんから教わったんだ…」
「そういえば…」
其処迄話を聞いた時、理奈が何かを思い出した。
「お父さんから聞いたんだけど、和樹おじさんは昔から、相手に考えを読ませなかったって。お父さんも読めなかった時もあったって」
「父さんそんな昔から…それで僕は両親の教えを活用して、さっきの立ち回りを演じたんだ」
そう告げると、理奈は零華に言った。
「零華、まさかあんなに強かったんだね…昔私が守ってた頃からは、とても想像出来ないよ」
「いや理奈…そんな事暴露しないでよ…ってか何時の間にか皆聞いているし!」
辺りを見回すと、零華の近くに来た四人以外のクラスメート達も、零華の話に聞き入っている。
「何だよ零華。お前あんなに強いのに、昔は理奈に守ってもらってたのか?」
明司がニヤニヤしながら言った。
「昔の話だよ!」
ムキになって言い返す。
「今は強い美少女零華ちゃんも、昔はか弱い美少女零華ちゃんだったんだな」
修兵も便乗して言う。
「だから僕は男だ! 美少女って言うなよ!」
零華が叫ぶとクラスメート達から笑い声が上がった。
その笑い声に零華は怒りながらも、クラスの皆が極度の緊張状態から、何時もの調子に戻ったと安心した。その時…
ガチャ…
扉が開いて皆が一斉に見ると、先程の総隊長が入って来た。
「お取込み中に悪いが、陛下がお会いしたいそうだ…だが全員で来ると色々と問題だから、代表して数人だけで来てもらう」
総隊長にそう告げられるA組一同。
「…では僕が行きます」
立候補したのは、零華だった。
「分かった。他には?」
総隊長が残りのクラスメートに尋ねる。
「零華。私も行くよ」
そう言ったのは理奈。
「理奈は疲れているでしょ? 無理しなくて良いよ」
零華が気遣う言葉を告げる。
「それなら零華もでしょ? 零華と私はクラス委員だから、クラス代表としては正しいと思うけど?」
理奈にそう言われ、零華は正論だと判断した。
「分かった。総隊長さん、行くのは僕達二人で」
零華がそう告げると、総隊長は合意し、残りのクラスメート達は待機する様に告げて、零華と理奈を連れて部屋を出た。
※ ※
綺麗な絨毯が敷かれ、高級そうな絵画や壺が並ぶ通路を、総隊長に連れられて零華と理奈が歩いて行く。その途中何人かの兵士と擦れ違った際、声が聞こえてきた。
「おい見たか今の右目に布を巻いた子…凄い美少女だな」
「ああ…あれ程までの美しい娘…何処から来たんだ…」
「あの美しさ…姫様に匹敵するんじゃないか…?」
「というより、姫様とは別の美しさだ…」
と、完全に零華を女の子と間違えている会話が、嫌でも零華の耳に入った。だがその中で一つだけ分かった事があった。
『この国には…王女様が居るのか…』
王国というだけあって、王様が居る為に子供が居れば、必然的に王子様か王女様の何方かとなる。子供が王子様という可能性も考えられたが、どうやら王女様の様である。
『まあ、僕には関係無いか…』
日本では庶民である為、零華はその王女様と接点を持つ事は無いだろうと考えた。
「…兵士達も気にしているみたいだが、君程の美少女なら、色々とお近づきにと思う男性に言い寄られて大変だろう」
先を歩いていた総隊長が、零華を気遣う言葉を述べる。
「あ、その…実は…僕は男なんです…こんなナリですけど…」
零華が先程と同じ様に告げると、総隊長は振り返って驚いた表情を浮かべる。
「まさか…そんな…」
そう言って理奈の方を見る。理奈に本当かどうか求める視線を送ると、理奈は無言で頷いた。
「信じられない…俺はずっと女の子だと思っていたが…」
「よく言われます」
間違わられる処か、意味不明な逆切れもされた事がある零華にとって、戸惑うだけというのは、まだ軽い方であった。
「驚いてすまない。兎に角陛下の元へ…」
総隊長は零華に謝罪し、再び歩き出した。
やがて立派な扉の前に辿り着いた。
総隊長はその扉の前に居る兵士に何かを告げると、零華達の方を向いた。
「では此れから陛下に会ってもらうが…考えてみたら、君達の名前を知らなかったな。俺はザイル・シンノ。エグ・マリン王国一番隊隊長であり、全部隊の総隊長だ」
総隊長‐ザイル‐がそう告げると、零華と理奈も名乗る事にした。
「僕は広橋 零華です」
「私は中里 理奈です」
そう告げると、ザイルは目を見開いた。
「ヒロハシ…?」
「?」
ザイルが見せたその反応に、零華は不思議に思う。
『何だろう? さっきのユリアンさんも、僕の名字を聞いた時、妙な反応をしていたけど、総隊長さんはそれ以上の反応をしている…』
零華は気になって、尋ねる事にした。
「あの…僕の名字がどうかしました?」
「! いや…何でもない…それより玉座へと入るぞ」
そう零華に告げて、兵士達に何かを告げると、兵士達は扉を開け始めた。
「……」
「……」
その様子を見ながら、零華と理奈は緊張する。一方ザイルはある事が気になっていた。
『…ヒロハシ…あいつと同じ苗字…? まさかな…』
ある疑問を感じながらも、今は自分の任を優先させる為、その事を考えるのを止めた。
いよいよ王様と対面…。
感想・ブックマーク登録・レビュー・ポイント評価・質問等ありましたら、是非皆さんどうぞ♪




