1・日常の朝
思いついた新作ですわ。見切り発車みたいなので、『転生したドララー』を優先してしまうかもしれませんが、皆さん宜しくお願いしますわ。
目覚ましの音と共に、広橋 零華は覚醒する。
「ううん…もう朝か…」
寝ているベッドの上に置いてあるスマホを手に取り、時間を確認しながら体を起こす。
「昨日遅くまで、ネット小説読んでいたから…眠い…」
そう言いながらも零華は、体を伸ばして、すぐ傍に置いてあった、紺色のリボンの様な布を取った。そして勉強机の上に置いてある鏡を覗き込んだ…其処には絶世の美少女とも言える顔が写っていたが、零華は特に反応しなかった…何故なら、それが広橋 零華なのだから…。
零華は鏡を見ながら、右目の辺りに布を巻き付ける。左の眼は日本人の黒色であったが、右の眼は灰色に濁った様な眼をしていた。
「鏡見ないと上手く巻けないなんて…かと言って理奈にも変に巻いてるって言われるし…」
そうぶつぶつと言いながらも、零華は器用に巻いていく。
布を巻き終わると、パジャマを脱いで部屋のハンガーに掛かっている、自身が通う中学の制服に手を伸ばして、手早く着替え始めた。しかし零華が着ている制服は、どう見ても男子生徒の制服だった。それもその筈、零華は見た目や名前は女の子の様だが、れっきとした男の子であった。
「さて、朝食の支度をしますか…」
そう言いながら零華は、部屋を出て行った。
※ ※
チン!
トースターからパンが焼けた音が聞こえ、零華は手際良くパンを取り出し、パンにバターを塗って皿に置き、それとマグカップに入ったコーヒーを持って、ダイニングテーブルに置いた。
朝食を置いた後、零華はテレビを点けた。朝の情報番組がやっている。
「昨日の夕方に事故か…家族を庇って、三十代の男性が死亡か…」
椅子に座ってパンを齧りながら、テレビを見ている零華。
パンを食べ終えて、コーヒーを飲んでいる内に、登校時間近くになった。
「そろそろ準備しないと…理奈が文句を言うしな…」
零華は食べるのに使った食器を洗って、通学カバンを持った。そして壁際の棚に置いてある写真に近づいた。
「じゃあお父さん、お母さん。行ってくるね」
そう言って玄関へと向かった零華。
零華が見ていた写真には、幼い零華と一人の男性、更に零華によく似た女性が写っていた。
本作の主人公・零華ですわ。名前からして女の子みたいですが、れっきとした男の子ですわ。見た目も女の子のイメージでお願いしますわ。今までと違って暗い過去がある主人公ですわ。
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