15・それはある意味公開処刑
書いた後思った事…今回の話、必要あったかな…。
「いや待って…理奈…嫌だ…」
零華が理奈達に連れて来られたのは、どう見ても女の子向けの服を売る店だった。
「良いじゃんか零華。零華は元々男の子の服より、女の子の服が似合うんだから」
麻美が言う。
「僕は男だし…ってか僕はお金出さないよ…」
必死で足を踏ん張って拒絶する零華だが、並みの男子よりも非力な零華か、空手をやっている理奈に敵う訳も無く、徐々に店に引っ張られる。
『僕、男の子なのに…女の子の理奈に、力負けしている…』
自分の非力さに悲観する零華。そんな気も知らずに、理奈が言う。
「大丈夫だって! 今日は買う訳じゃないんだから…此処の店長さんとは仲が良くて、『女の子の衣装が似合う、男の子を知らない』って聞かれたから、零華を紹介しようと思ったんだ」
「何その限定的な条件!? 嫌だよ僕は!」
「諦めなって…ってか麻美達も手伝ってよ」
先程から傍観している麻美と千秋と灯里に、助力を求める理奈。
「え~だって迂闊に零華君に触れたらさ…クラス処か学校中の女子生徒と、全面戦争になるよ? 理奈は幼馴染だから許されるけど…」
「ちょっと待って! 何で僕に触ったら、学校全体の問題になる訳?」
千秋から伝えられた事態の凄さに戸惑う零華。
結局零華は理奈に、店の中へと引きずり込まれてしまった。
※ ※
「あ~ら、いらっしゃ~い♪ 理奈ちゃん達」
そう言って女言葉で出迎えたのは、化粧をしているが、どう見ても中年の男性にしか見えない人物であった。
「店長さん。約束の子を連れてきたよ」
灯里が零華を示しながら言う。
「あら、その子? どう見ても女の子の様だけど…」
「いやホントに男の子なんですよ。こんなナリですけど」
麻美が弁解する様に言う。
「…とてもそうには見えないけど…まあ貴方達が言うなら、この子にしようかしら♪」
「ちょっと待って下さい!? 僕に何する気ですか?」
軽く生命の危機を感じた零華は、必死に尋ねる。
「んふふ…ちょっと新製品の服の試着をお願いしたいだけよ? アタシみたいな子達が、そういう服を好むので、貴方の様な『女の子にしか見えない男の子』の協力が必要なのよ」
「そんな!? 僕は女の子の服を着るのは嫌だ!」
「あれでも、理奈ちゃん達に聞いた話では、貴方って去年、メイド服を『好んで』着たんじゃないの?」
「『好んで』ませんよ! 何で過去が改変されているの理奈!?」
「まあまあ良いじゃない零華君。此処まで来たんだから、いっぱい着ようよ」
千秋が能天気に言う。
「やだ! 止めて!?」
零華は必死で抵抗をしたが、抵抗虚しく零華は店の奥に連れられた。
その後零華は、様々な女の子の衣装を着させられた。それはある意味零華にとって、処刑に近い物であった。
一時間後解放された零華は、店長から謝礼金を渡されかけたが、モデルになったのが自分だと言わない代わりに、謝礼金を受け取らなかった。
「まさか本当に、男の子だったなんて…また機会があったら、お願いね♪」
「…勘弁して下さい」
ウィンクをしながら言う店長に、零華は小さく呟いた。
零華にとって、悪夢の様な時間であった。
すいません。ホンマは零華が衣装を着るシーンも考えたんですが、投稿に間に合わせる為に、カットさせてもらいましたわ。ホンマにすいません。
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