ライハルト学園 プリウス·ブルグラス
週末の休みが終わればライハルト学園での生活が1週間続く。生徒個人に何か問題が起きたとしてもだ。
エルミーはランの家で1日泊まったのち、そのまま一緒に登校をした。ちなみにイグニスは今日は別の仕事があるとかで別行動である。昨日の案をどうするかもう少し話し合いたかったが仕方がない。
登校する際、エルミーの制服はどうするのかと思ったが、どこから出したのか、セレスがエルミーの分の制服をしっかり準備しており、これにはランとエルミーは驚きの色を隠せなかった。セレス曰く、「きれいに保存できてるでしょ〜。私のお古」とのこと。確かに綺麗な状態でシワ1つない。セレスがライハルト学園のOGであるという新事実とともに、一体どうやって10年以上前の制服を綺麗に保存していたのかという疑問がわいた朝であった。
ランとエルミーは学年が違うので、特別魔法教室の時間までは一緒にいることはない。昨日、あんなことがあって、精神的、身体的に疲れていないか…と心配していたら、エルミーがそれを察したのだろう。ランに向かって「大丈夫ですよ」と落ち着いた口調で口調で伝えた。
「学園にいれば、授業や特別魔法教室なんかで気が紛れますし。そんなに心配しないで下さい。私は大丈夫です」
そうエルミーは言い、「それでは、また授業後」と自分の教室へと向かっていった。
その「大丈夫」は自分自身に言い聞かせているように聞こえた。
エルミーのいう通りなのか、授業があると悩みや考え事があると、気が紛れるのか時間の流れが早い。あっという間に授業が終わり、特別魔法教室の時間となった。
授業が終わり、教室を出ると、いつも通りエルミーが廊下で待っていてくれていた。
特に何を話すわけでもなく特別魔法教室へと参加しに行くと、教室が入っている棟の周りに人だかりが出来ていた。
ランとエルミーは、その人だかりの間を縫うように、入り口に到着したところ、そこには見慣れない上下真っ白な制服を着た少年と、その少年を守るように陣取っている、スーツを着た男2人の姿があった。
少年がちょうどこちらの方を見るように振り返った。
すると、エルミーの顔に一気に緊張の色が現れた。
「プリウス様…」
「ん?なんだ、エルミーか。なら、この見すぼらしい建物が特別魔法教室とやらか」
エルミーを見下すような口調で答えた少年こそ、現王の息子、プリウス·ブルグラスであった。