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ライハルト学園 休日のトラブル

ランがライハルト学園に入学して3ヶ月。入学式の時はまだ涼しげだった気候も大分熱を帯びてきております、生徒たちも半袖の制服に身を包んでいた。

3ヶ月の間にランはクラス全体の弟といった感じに皆に可愛がられていた。年が1番下というのもあるが、ラン自身誰とでも分け隔てなく話すので、自ずと周りに人が集まるようになっていった。

ただ、授業が終わると必ずといっていいほどエルミーがランを迎えに来ており、ランはそこから特別魔法教室へ直行させられたので、授業外での交流は皆無であったのだが…。

そんな、授業後はランとほぼ一緒にいるエルミーとは仲良くなったのかなっていないのかよく分からない関係が続いている。

毎朝ランを家まで迎えに来て、イグニスとサンドイッチされる形で登校。授業が終われば教室まで迎えに来て一緒に特別魔法教室へ。特別魔法教室の活動中はランに魔法に関する質問攻め。終われば登校時と同じようにイグニス、ラン、エルミーと並んで下校。

クラスメイトと同じぐらい、もしかしたらそれ以上に一緒にいる時間が長いのだが、今でも敬語のままであるし、丁寧な姿勢も崩さない。

こちらから、エルミーのことを聞けば、だいたいのことは答えてくれたので悪く思われているわけではないだろう。だが、ランからしたら、もうちょっと砕けた感じでやり取り出来ればと思う次第である。


そんなエルミーであるが、特別魔法教室という環境に身を置いたからか、ランの教えが的確だったのか分からないが、特別魔法教室約20人の中ではダントツで優秀であった。

他の生徒は特別魔法教室が始まって3ヶ月たった今でも基礎的な魔法単語等の習得に苦戦しており、魔法の実践というところまで辿り着いていない。人族の魔法にはない、エルフ族の独特な単語や術式を覚えるのには時間がかかるだろうとランも予想していたが、エルミーだけは現段階で基礎的な部分は完璧にマスターしており、1人だけランとイグニスについて、魔法の実践に移る予定である。

イグニスの話によると、魔力量自体も人族にしては高い部類で、鍛錬次第では化ける可能性ありとのこと。

急ぐ必要はないが、ラン自身、年の近いエルミーを教えながら、あわよくば切磋琢磨しながら力を伸ばしていけること密かに楽しみにしていた。まぁ、エルミーがどう思っているかは分かりにくいところがあるが…。


そんなこんなで、ランは充実した学園生活をおくっていた。

休日も、図書館で勉強、もしくは魔法の鍛錬と模範的な生活をおくっていた。

そんなある休日、図書館から家に帰る途中に、知っている人影を目にした。エルミーである。

流石に休日までランと一緒にいるということはないし、そもそも、エルミーの家は、エルミー本人の話だとこの地域ではない。今まで休日にエルミーに会うことはなかった。それに、エルミーの様子を見ると、姿勢を真っ直ぐにし、前をしっかり見据えているいつもの様子ではなく、不安そうに辺りをキョロキョロ見渡しており、明らかに挙動不審である。

そんなエルミーが心配になり、声をかけようとランが近付こうとしたところ、エルミーがこちらに向かって走り出したところだった。

ランは一瞬驚いたが、気持ちを落ち着かせる。

冷静になったランの視線の先…エルミーがいた先から、黒スーツをきた大柄男が2人、エルミーを追いかけていたのが見えた。

状況はよく分からないが、エルミーがあの2人から逃げているのは確かだ。

ランは、こちらに向かって来るエルミーのもとへ走り出す。

そんなランの存在にエルミーも気づいたのだろう。困惑した表情でランの方を見た。

ランは自身の両足にスピード強化の魔法を、腕にエルミーを抱えられるぐらいの筋力強化の魔法を施して、エルミーの身体を抱え、猛スピードで2人の男から逃げ出した。

とりあえず、ここから近くて安全な、ランの家に向かって。

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