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ライハルト学園 少年師匠

ライハルト学園も部活動等が盛んだとは言え、ずっと学園内にいることは出来ず、最終下校時刻というものが存在する。

基本、日が長い夏は少し遅くまで、日が短い冬は少し早い時間に設定されている。現在は入学式が行われて日が浅い春。もう少しすると最終下校時刻が延びるが、1年の中ではまだ早い時間に帰らなければいけない季節だ。

そんな訳で、空の色が橙色になり始めて少したった頃には大半の生徒が帰路についており、学園内は静かなものとなっていた。

そんな静けさの中、ランとイグニスは、ランが作ったクレーターの縁に立ち、術式を唱えながら、そのクレーターを元に戻す作業をしていた。

簡単に言えば土で埋めていくのだが、大きさが大きさなので少々時間がかかってしまい、他の生徒が帰る時間になっても残ることになってしまったのだ。


あのあと、ランがゆっくり地上に降りてくる頃には、その轟音を聞いてやってきた生徒たち等が集まって来ており、ちょっとした騒ぎになっていた。

教師陣がその場は抑えたが、広場に出来た大きなクレーターは元に戻さなければいけない。

という訳で、そのクレーターを作った張本人であるラン、それに加え、ランをけしかけたイグニスが責任をとり、後始末をすることになったのだ。

その間に特別魔法教室の生徒と教師陣は室内に戻り、教師陣たちが、これからの活動方針を再度説明し、今日のところはお開きになった。本格的な活動は明日からとなる。

反応を見る限り、もうランの力を疑うものはいないだろうが、今度は恐怖の対象として距離をあけられるのではとランは心配していた。

確かにランも少しやりすぎた面はある。しかし、そもそもの原因は横にいるイグニスである。

イグニスに文句の1つでも言ってやろうと口を開きかけたトキ、突然背後から「今、お時間よろしいでしょうか」と声をかけられ、反射では後ろを振り向いた。

そこには、とっくに帰ったと思っていたエルミーが立っていた。

イグニスも振り返り、「あれ?エルミーちゃん、どうしたの?道に迷った?」と的外れな質問をする。

エルミーはその質問を無視し、「2人にお願いがあります」と話を切り出した。


「まず、その子…ランくんを問い詰めるようなことをしてしまい申し訳ありませんでした。それで、私、ランくんの魔法を見て、すごく感動しました。私の周りにも魔法を使える大人はいましたが、その誰よりもランくんの魔法は凄かった…。あの魔法はイグニスさんが教えたんですよね?私にもあんな魔法を教えて欲しいんです」


「お願いします」とエルミーは2人に対して頭を下げた。

ランとイグニスは顔を見合わせる。

生徒たちの中で1番ランに対して疑念を持っていたエルミーの考えをこれだけ変えたのだから、ランのあの派手な魔法は無駄ではなかったようだ。

そう思っていると、イグニスがエルミー「顔を上げて〜」と軽い調子で促した。


「ランくんの魔法を褒められて、師匠の私も鼻が高いよ〜。でも、今回のランくんの魔法は私の教えた魔法を、ランくんが自分で考えて改良したもの。あれはランくんの自身の魔法だよ。私がエルミーちゃんに魔法を教えるのもいいんだけど…。ここはランくんが教えた方がいいと思うな。もちろん私も教室の教師の1人として教えるけど、とりあえずはランくんに弟子入りするってことでどうかな?」


今度はランとエルミーが顔を見合わせる。

ひと呼吸置いて「お願い出来ますか、ランくん」とエルミーが頭を下げる。

年下の…ランにとっては年上だが、少女に頭を下げられてまでのお願いをされて、それを断れる程ランは鬼ではなかった。

ランが頷くと、「ありがとうございます!これからよろしくお願いします!」とエルミーは興奮のあまり、ランの手を取り上下にブンブン回した。

年相応の反応が少し可愛く感じられたのと同時に、これからどうしようかと考えを巡らせるランであった。

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